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魔法少女は無理がある?!〜魔法の呪文をヘビメタにのせて♪〜  作者: 朱井笑美


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 プリシラの2歳年上の姉ウルスラは、プリシラとは正反対の性格だった。剣を振る代わりに読書をし、呪文を覚える代わりに薬を作り、音楽の代わりに刺繍を刺した。

 そして基本のダンスを学ぶ以外は、薬草の世話をした。


 落ち着いておっとりした優しい姉で、2人はお互いに無いものを補い合う仲の良い姉妹だった。

 兄も2人の妹達を分け隔てなく大切にしてくれる人で、優しく理解のある兄を妹達も大好きだった。


 この国には15歳から通える貴族の学校がある。

 学校は王都以外にもあって貴族のほとんどが学校に通うのだが、王都の学校は特に職業学校に近く、色んな専門の授業を選択して学び、この学校を出ると将来、王宮などで重職に就くことも多い。

 学校は3年間だが紳士・淑女科だけは16歳までの2年間で、卒業後は家業を継いだり、女性はお嫁に行ったりする人向けだ。


 今世でも女性が仕事に就くことには偏見はなく、女性だからなれないという職業もないし、むしろ結婚しても働いている人がほとんどだ。

 私の祖母も母も結婚して出産後も、魔法薬師として働いている。前世より独身の女性は少ないが、職を極めている女性も多かった。


 プリシラは早い内から将来設計をしていて、既に学校での選択授業ももう決めている。まだまだ先なのだが、学校入学が待ち遠しくて仕方がなかった。

 前世ではプレスクールから通っていたし、友達も沢山いた。

 だがハイスクールに入って、これからという時に亡くなったのだ。


 今世での貴族は、どうして15歳からの3年間しか学校がないのだろうか?

 兄が学校に通い始めてからプリシラは、兄の暇を見つけては学校について聞き出していた。両親にも家庭教師の先生にも学校の情報を得ていたが、今世の学校は教育というよりも職業訓練に近い機関である事に、かなり驚いたものだ。


 基礎は既に身に付いている事が前提で、学校の選択授業で応用を身に付け、実践に備えるという感じだ。

 そして、この国の成人は16歳だ。

 学校を卒業後、就業するのが通例で、大学のような専門の研究機関はなく、各々就職後の働き先で研究職に就くのだそうだ。


 母も学校で薬学の応用を学び、わずかながら光魔法を使えたため父と縁があり、伯爵家に結婚兼、薬草園に就職したような感じだった。

 なんか夢のスクールライフが全くないイメージだ。


 貴族なのに交友とか社交とか、一体、いつするんだろう?

 この世界は何だかつまらなさすぎる。娯楽が少ないのは仕方ないが、せっかく楽しみにしていた魔法も長行呪文のアレなのだ。

 しかも自分は光魔法属性なので魔法のつまらなさを共有できる友達もほぼいない。


 時々、歳の近い貴族同士での交流会はあるのだが、趣味が違えばお知り合い程度にしかならないし、次回、いつ会えるかも分からない中で、中々親友とかできなかった。

 姉は趣味の読書や刺繍など、話題を交換する文通友達がたくさんいたが、プリシラは剣術では令嬢とあまり話題が被らなかった。でもピアノや音楽、ダンスなどで話題作りをして、少ないながらも友達作りを何とか頑張った。


 だけど魔法の話題になると光属性に興味は持たれても、他の令嬢令息の水とか火などの、最も多い4大元素の話題には入っていけず、いつも聞き役だった。


 プリシラは学校入学まで暇を持て余したので、乗馬技術まで身に付け、父や祖父達と魔物討伐を想定した狩猟にもついて行くようになった。

 プリシラは前世での乗馬経験はなかったが、運動神経は良かったので直ぐに乗馬技術も身に付き、プリシラ専用の馬もできた。

 プリシラの馬はちょっと生意気な若い雄馬で、白馬になり切れていないグレーのブチが所々にある馬だった。


「所詮オレは白馬じゃないさっ」という少し捻くれた雰囲気と、人を小馬鹿にしたような目がプリシラのツボに刺さる馬だった。

 もちろん最初は「お前のようなチビなんて」って感じで相手にしてもらえなかったし、目が合うと噛みつかれそうになったり、目を離すと蹴られそうになったり、かなり性悪の馬だった。


 だがプリシラは負けず嫌いなので毎日厩舎に通い、4ヶ月で触れるようになり、半年でやっと背に乗せてもらえるようになった。

 この生意気ぶりから、彼は長いこと名前を付けてもらえていなかった。しかも周囲からは「ブチ」とか「ブチ馬」なんて呼ばれていた。

 

 プリシラは初めての自分の愛馬に、前世のペガサスの由来となった「ペルセウス」と名前を付けた。そもそも「ブチ」なんて名前の馬に自分だって乗りたくない。

 厩舎の世話係が「立派な名前をもらったな」とペルセウスに言うと、彼は「ブフフンッ」と満足そうにしていたので、プリシラも嬉しくなった。


 狩猟は弓矢での狩りが主で、プリシラの鍛錬には弓矢も加わった。

 草食動物や小型の動物を狩る時は追うばかりだが、熊やオオカミなどの肉食獣を狩る時は弓矢だけじゃなく剣でも戦い、魔物討伐の支援の仕方や戦闘方法も教わっていった。


 伯爵家の女性陣は討伐に参加しても、主に後方支援で怪我人の治療や食事の準備、待機や宿泊用のテントを張ったり、そういう裏方がメインだった。

 しかしプリシラは男性陣と共に前線に出ることを望んだため、覚える魔法の内容も重要だった。


 回復、バリア、身体強化、魔力強化の補助魔法は最低限できないと使い物にならないと父にも言われた。

 プリシラは魔力が多くはないので、失敗ができない。

 とっさの判断で先にどの魔法を展開するのか、光魔法使いの判断ミスで初手が遅れる可能性がある。


 しかし光属性魔法使いは少ないので、全ての討伐チームに光魔法使いが入れるわけではない。その場合、それに合わせた戦略を立てるのだが、光魔法使いがいる場合は、その存在をあてにして戦略を立てる。

 責任重大な任務位置にいるのだ。


 狩猟に着いて行くようになってから、プリシラは自分の考えが甘い事に、また反省するのだった。

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