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魔法少女は無理がある?!〜魔法の呪文をヘビメタにのせて♪〜  作者: 朱井笑美


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 生徒会の初学年は2年生の補佐的な雑務しかないので、自分の仕事が終われば時間ができる。

 だからその間は授業の宿題や呪文の暗記をやってもいいのだが…呪文の暗記は生徒会室(ここ)では楽器を弾けないので、自分でも無意識に指でトントンと机を叩いていた…みたいだ。


「プリシラ!うるさいぞ」

 他の役員に怒られてしまった。

「じゃあ家に帰ってやりま〜す」

「待てプリシラ!こっちの書類が間もなく終わるから、あと10分待て!」


「直ぐに逃げようとするのね?」

 2年生の女性役員にクスクスと笑われる。

「プリシラが覚えているのは魔法の呪文よね?」

「はいルシア先輩」


 ルシア先輩は美しい金髪に夜空の様な濃紺の瞳をしている。

「光魔法よね?ちょっと見てもいい?」

「はい。どうぞ」

「私の名前のルシアは光という意味なの。光属性だったらと思ったけど、雷属性だったわ」


「でも雷属性は攻撃魔法がカッコ良いですよね?」

「フフッそうねぇ…って、え?ちょっと待って!この長い呪文、これ何の魔法なの?」

「上級のバリア魔法です。最近、やっと身体強化魔法を覚えたので次はバリアにしました」


「上級なのも凄いけど、この長さ…これを覚えるの?」

「雷魔法の上級は長くないのですか?」

「上級はまだよ。でも中級は…この上の書き出し二行くらいよ。上級でも五行くらいじゃないかしら…」


 なるほど短い歌の一番だけで収まるのか。

 二行なんて出だしじゃんか。なら初級は聞くまでもないか。


 他の役員も気になったのか、自分の仕事を横に置いてプリシラの呪文を書き写したノートを見にきた。

「何だこれ!」皆、口々に驚いている。


「光魔法ってこんなに呪文が長いのか?!」

「上級だから余計にだと思います。ノートの最初のページは中級です」

「中級もハンパない長さだ!」

「そう。だから呪文の暗記は苦行なんです」

「いや!苦行なんて話じゃないぞ!これはヤバい…」


「実は光属性の生徒が入学すると、生徒会に入れるという暗黙の掟みたいなのがあるんだ」

 副会長のチャールズ先輩が語り出した。


「えっそんな掟が、あるんですか?だから入学前に打診があったの?!」

「ああ。人数がとにかく少ないだろう?生徒会が彼らの成長を助けて、守るという意味もあるんだよ。光魔法使いがいると討伐編成も変わるのを皆も知っているだろう?」


「生徒会も少侯爵様が生徒会長だったのは知ってます。兄が入ってたのも。でも姉は入ってなかったですよね?」

「絶対じゃないんだ。希望も取るし、少侯爵様から立て続けに君ら兄妹の光属性が入ってきたのもあるんだと思う」


 今回、私は断ったにもかかわらず命令だったんだが?

「だが君に勅命が降りたのは納得だ」

「プリシラ、暗記の為に机を叩く行為は必要か?なら私が別の場所で作業をするぞ?」

「いやっ!ちょっと待って下さい!私にそこまで気を使わないで下さい。今まで通りでお願いします」


 第一王子レイノルドは少し遅れて生徒会室に来たが、自分の机で各々仕事をしている皆を見渡す。

 プリシラが時期外れで生徒会に所属したが、本人も大人しく従順にしているせいか、意外と早く馴染んだようだ。元々、人に好かれそうな害のない顔をしている上、背も小さいからつい庇いたくなる。


 ピアノ同好会に所属していた時は、人気の侯爵令息のせいで令嬢達に絡まれたりもしていたようだが、今のところは無事そうだな…。

 まあ彼女が光属性だという理由も大きいのだろう。


 彼女の魔法授業の様子は誰も知らないが、剣術や体術の時はあの小さい体のクセにかなりの強者なのだという。

 外見に油断をしてはいけない人、ナンバーワンなのだと聞いた。

 しかも弓矢や槍だけじゃなく斧まで振るってくるのだという。

 その様子を想像すると…ちょっと可愛いな。


 きっと自分も対峙したら外見でまず、戦っていいものか?と尻込みしそうだ。

 いかんいかん!つい顔が弛みそうになった。

 にしても…生徒会の連中の様子が、いつもよりおかしい気も…プリシラは呪文を暗記中か?あの光魔法の長文は大変だろうな…仕方ないから雑用は他に頼んで…


「おい!プリシラ、茶を淹れてやったぞ。暗記頑張れよ」

「チャールズ先輩!神!」

「ハハハッ自分のついでだからな!」

「プリシラ、陽が落ちてきた。そっちは暗いだろ?灯りの下に来い」

「えっいいの?リチャード先輩優しい!」


「あぁプリシラ、帰る時でいいよ。これを馬車乗り場近くの教員用ポストに投函しておいて」

「ルイス!それだけでいいの?私もそっちを手伝おうか?」

「大丈夫だよ。早く呪文覚えなよ」

「そうよ。プリシラ!バリアの次は魔力強化なんでしょ?」


「ルシア先輩、それ悩んでて魔力強化か魔法強化か…」

「そうねぇ魔法のレベルが低い人には魔法強化だけど、魔力が少ない人には魔力強化だものねぇ」

「どっちを覚えても使う時は瞬時の判断だろ?頭使うな〜。ほらっ甘い物でも食べろ」

「わーい!ありがとう。ジェイク」


 一体、いつの間に生徒会はプリシラ中心になった?

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