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「おはようお兄様」
「…プリシラ、気付いているか?お前…最近、カフェオレじゃないぞ」
兄はそう言って、さっさと仕事に出て行った。
挨拶くらいしてくれてもいいじゃん。
でも確かにそうだ。徐々にだから周囲には違和感を与えてないかもしれないけど、私の髪は間違いなく今はミルクティだ。瞳も濃いオレンジだったと思ったけど…蛍光オレンジ?まあコレは暗い所で見ると変わってないかもな。
瞳より髪の色は分かりやすい。
もしかして今後どんどん白に近付いていくのだろうか?
若白髪はイヤだな〜。なんて思いながら学校に行く。
幸い、昨日の急な公休に関しては、クラスの皆にも何も言われなかった。
誰かに聞かれても「登校前に腹痛を起こした」とでも言っておこうと思っていたし。
良かったよ今日は平和に終わりそうって思ったのに!
教室にまで来るなよっ第一王子!!
「第一王子殿下におかれましては、ご機嫌麗しゅう」
私の友人達もビックリ顔で、一緒に頭を下げている。
「急に悪いな。一緒に来てくれるか?」
「‥‥‥」NOって言えんヤツじゃん。
プリシラは心の中で舌打ちする。
「殿下が直接、迎えにいらっしゃらなくても、お呼び頂けましたら参りましたのに」
直訳すると「何でお前が直接来るんだよ!」だ。
「他の者を呼びにやったら逃げると思ってな」
直訳しなくてもそのまんまだが、更に訳すと「他の者では手に負えないだろう」だ。
「‥‥‥」いちいち腹ただしい。
生徒会室に入ると、生徒会のいけ好かない面々が「ジロリ」と私を見てくる。
「プリシラ、単刀直入に言うよ。今日から〜「お断りします!」
王子の言葉を遮ったな!と更に周りから睨まれる。
だけど絶対にお断りだ!
「プリシラ、だが王命だ!それに大神官命も出た。なので君に拒否権は無い」
完全に詰んだ…。
私だけじゃない、生徒会室の役員の皆様も驚愕の表情だ。
そこまでは聞いてなかったんだな。まさか命令という名の推薦者がこの国TOPの二代権力者なのだから。
「時期外れではあるが、今日からプリシラ嬢は生徒会役員の一人だ。皆、宜しく面倒を見てやってくれ」
「宜しく面倒を見て下さい」
プリシラは観念して皆に頭を下げた。
「良かったな、ちょうどピアノ同好会も辞めたばかりだっただろう?」
第一王子は嫌味ったらしく口の端を上げている。
「じゃあ早速、手伝ってくれ」
これ見よがしに役員の一人がプリシラに何かを押し付けようと企んでるな。私は雑用係か?!
「仕方ない頑張れよ」
そう言って、王子は会長の机で何か事務仕事をやり出した。
私は無表情で一人の役員に着いて行って、行った先で書類の束を抱える。
「大丈夫だ。私も手伝う。それに雑用は1年の時、殿下もされてきた事だ」
オヤッ?意外と私をイジメる様子は無い。
私の表情を見て彼は「私は君と同学年のルイスだ。クラスは違うけど君と同じ魔法科だよ。もしかしていきなり雑用を全部押し付けて、君をイジメるとでも思ったか?」
私がコクコクと頷くと「そんな事しないよ。仮にも生徒会は生徒代表だ。ちゃんとプライドも持っている。それに君の推薦者達…君の生徒会入りを反対したら、私はたちまち反逆罪だ」
おっと危ない!書類を全部落とすところだった。
「生徒会の皆は心配ないよ。誰も君を虐めたりはしないはずだ。まあ君への態度は分からないけどな」
冷たくはされるかもって事か。
「それと生徒会役員の唯一の女性のルシア先輩は大丈夫だろうけど、他の令嬢には嫌がらせされるかもな。でもそれは自分で頑張って」
バサバサッ〜
やっぱり書類を落とした。
「あ〜ぁ、それ一枚ずつ中身を確認して仕分けする書類だから」
プリシラは書類を拾わず、地べたに座って一枚ずつ中身を見ながら拾う。
「何やってんの?」
「書類の確認でしょう?どうせ全部確認するなら拾いながらすれば良いでしょ。要るヤツと要らないヤツはどこに分けて置くの?」
「ふ〜ん。どうやって見分けてる?」
「これ生徒会への要望書でしょ?ただの冷やかしや誹謗中傷はゴミで。殿下や役員へのファンレターもゴミでいい?」
「あっああ」
「じゃあ、とりあえずまともな要望だけ集めて、またそこから必要性のあるものと緊急性のあるもので分ければいい?」
「…意外と頭良かった。ゴメン少しバカにしてた」
「いいよ。この外見のせいで、よくそう思われるから」
見た目、小学生だからお嬢ちゃん扱いも多いし。
お陰でルイスは直ぐに打ち解けてくれた。
そうやって少しずつ生徒会役員とも打ち解けられたらいいか。
私は年齢に似合わない深い溜息を吐くのだった。




