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上級の身体強化魔法の呪文をノートに書き写す。
コレは一字一句間違えられない集中作業だ。前世のコピー機や写メ機能が恋しい。
だけどコレを繰り返し書いて覚えるというのも暗記の手法だから、呪文は写本が基本となっている。
しかもキレイに書き写さないと後で「コレ何?」ってなるから余計に骨が折れる。
でも可能であれば夏休み中に、上級の回復魔法とサポート系の魔法の呪文は制覇したいところだ。
じゃないと攻撃魔法に移れない!
懐中電灯レベルでもいいから覚えたいな〜。
手首を回しなが筆休めで、魔法書の光の攻撃、初級魔法の呪文を見てみる。
《ライトアロー》確か他の属性も、ファイヤーアローとか、サンダーアローとかクラスメイト達が言っていたかも。
その次はファイヤーボルトだっけ…?
他の属性は全く分からない。
でも攻撃魔法が光よりも数が格段に多いのは間違いない。
イノ達は敵がいない場所で、ライトアローを試したから懐中電灯だったのでは?
でも彼らは前線に出ない聖職者だから仕方がない。
懐中電灯でも良いから早く試したいな〜。
やっぱり、まずは上級サポート系魔法を頑張らないと。
プリシラは続きの呪文をまた集中して書き取っていく。
う〜ん…回復魔法の時も思ったけど、歌の歌詞にするなら3番まである感じだなぁ。父の長めのバラードに当てはめるか…。
あ!前世の大物ロック歌手の“○へミアンラプソディ”とかピッタリじゃん!
「ママァ〜」って言いながら身体強化…ちょっとウケる。
呪文を当てはめる作業が楽しみになってきた!早くピアノで合わせてみたい。
「ウシシッ」とプリシラが呪文を見ながら笑っているのを見て、聖女様が麗しいお顔を険しくされながら仰る。
「あの長文を書き写しながら、よく笑えるわねぇ?」
「そう、あの童顔に不気味な笑みがまた堪んないんだよな。やっぱりプリシラと結婚したいなぁ」
「あなたも十分、変だわね。まあプリシラなら反対しないけど」
「プリシラ、終わったのか?」
やっと呪文を写し終えて書庫を出ると、入口の所で大神官にばったり会った。
「まあ!お父様、書庫に何か御用が?」
「いっいや、お前達がまだ全員、書庫に居ると聞いてな」
「寂しくなったんだろ?」
「イッイノチェンツィオ!何を言う!」
目が泳いでいる…寂しかったんだな…。
「大神官様、呪文の書き取り無事に終わりました。長いこと書庫を使わせて頂きありがとうございます」
一応、寂しがりの件はスルーしておいてあげよう。
そして今後も書庫をお借りするので、お礼は丁寧に言っておこう。
「うっうむ。気を付けて帰れよ、プリシラ」
なぜか侯爵家の皆様に馬車乗り場までお見送りをして頂き、プリシラは馬車に乗って帰路についた。
「父上、プリシラの魔法を習得するスピードは尋常ではありません」
「杖の影響か?」
「それもあるかと思います。彼女のこれまでの話だと杖を持たない時は、初級魔法で精一杯だったとか」
「今では中級魔法は全てマスターしたと言っておりましたわ」
「なんと!広範囲魔法もか?」
「それは父親に、まだ禁止されていると申しておりました」
「なるほど。中級まで身に付けたなら、次は広範囲魔法との同時展開を学ぶことが多いが…」
「プリシラは広範囲魔法には、あまり興味を示しませんでした。むしろ次は攻撃魔法に移りそうです」
「そうか。今は多くの魔法を使える方に興味があるのだろうな。あの長行呪文だ。まだ暗記に挫ける事がないなら興味がある方に向かわせるのが良いな」
「いいな〜若い頭は!暗記も苦ではなさそうだ」
「何を言っているの?あなたもまだ最後とは言え10代でしょ」
「そうだ父上、プリシラから質問を受けたのですが、上級攻撃魔法に出てくる七大賢人の七人とは誰なのですか?」
「それと魔物に回復魔法をかけると、魔物も回復するのですか?お父様」
大神官は首を傾げる。
結論はどちらも「分からん」だった。




