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「お父様、光の上級攻撃魔法の七賢人って誰か知っていますか?」
夕飯の時、プリシラは父に質問してみた。
「お前、もうその魔法書を見たのか?」
「プリシラ!まだ上級魔法の回復と補助魔法を完成させてないだろう?」
「そうだけどお兄様、小侯爵様が内容だけ、どんなものか教えて下さったんです」
「えっ?イノ先輩が?!」
兄は学校でイノには光属性の先輩として世話になっていた。
「プリシラ、私もはっきりとは言えないが、次女殿下の日記にそれらしいモノが書いてある…」
「えっ?!」
実はプリシラは次女殿下の日記を全部ちゃんと読んでいない。
なんせ彼女の日記はエンタメ性が強くて、内容も針小棒大の傾向があるのだ。
しかもこれ嘘じゃない?って脚色されているような箇所も多かった。だから途中で読むのを挫折したのだ。
それは兄も同様だったみたいだが、まさか父はアレを全部読破したのか?!
「お父様、アレを全部読めただけで尊敬に値するわ」
「あぁ。実はお祖父様もご覧になったのは最初と最後もページだけだと仰った」
「女性になら読めないか?ってお祖父様に言われたけど、私もちょっとねぇ」
「そうそうあの丸っこい文字が、そもそも受け付けないないのよ!何で全体的に丸文字なのに時々、謎のマークを挟むの?」
母も姉もギブしていた。
次女殿下の日記にはハートマークが盛んに出没する。
きっと母親の聖女様に教えられたのだろう。だけどこの世界にハートマークの概念はない。
マークとは個人の紋章だったり家紋だったり、あとは何の店か識別する為のお店の看板などだったりする。
それに紋章にはルールがある。
なぜなら魔法陣と間違えるからだ。だからこの世界の人はマークを呪いや魔法陣と同等に見る傾向にある。
ちなみに私のステッキの星は立体なのでマークではない。だけどアレを星だと判断する人も居ないから、ただの金色のキラキラ光る立体でしかないのだ。
「頑張って日記を読んでみるかなぁ…」
でも上級の攻撃魔法なんて、まだまだ先だから後回しでもいいか。
「父上、ちなみに七人って誰なんですか?やはり伝説になるような偉人ですか?」
「まあ…読んで見れば分かると思うが、私は知らない方々だったよ。内心ふざけているのか?とも思ったしな」
…やっぱり気乗りしないから上級攻撃魔法を覚える時に確認しよう。
「あ、そうだお父様、回復魔法とかの光魔法を間違って、魔物にかけた場合はどうなるんですか?」
「それっ!広範囲魔法の時は重要だよな?」
兄も興味津々だ。
「補助系の光魔法は悪意の塊である魔物にはかからないよ。むしろ魔物には害になるようだ。だけど私も広範囲魔法は初級しかかけられないから、魔物への影響はちゃんと確認はできていないよ」
「そうね。討伐の時は魔物に試す魔力がもったいないから普通はやらないわ」
なるほど!さすが前線で戦う人は知っている。
実は侯爵家も知らない事実を、伯爵家が知っているって事は案外あるんじゃないのかな〜。いつか情報の照らし合わせを互いにした方がいいのかも。なんなら王家も含めて。
今はそんな提案をしている余裕は自分には無いけど。
それから夏休みも後半に差し掛かる。
プリシラはあれから順調に上級魔法の呪文も覚えている。
兄は王宮魔法騎士団に所属しながらも、プリシラをライバル視しているので負けじと頑張っているようだが、さすがに上級魔法には手を出せていないようだ。
そもそも上級魔法を使える人は、神殿の侯爵家の面々だけだろう。特に伯爵家は騎士でもあるから中級魔法までしか求められていない。
だけどプリシラは聖女の杖を与えられてしまったので、やらなきゃいけない雰囲気になっている。自分でもやりたいから別に良いんだけどね。
夏休みもあと数日で終わるという頃、今日も日課の病院を訪れる。間もなく学校が始まるから、もう頻繁には来れないので常連さん達にはお別れの挨拶だ。
次に来れた時、彼らはきっと退院しているだろうから。
「プリシラ、勉強頑張れよ。これからが大変だからな」
「そうだぞ。こっちは、気にせず授業に励め」
「時々、気休めに遊びに来いよ」
「病院への訪問が気休めになるかぁ!」
「確かにそうだなぁ。痛々しい見た目の怪我人ばかりだしな!」
『ワハハハハハッ』
皆、重い怪我を抱えて入院中なのに明るい。
だけど私にとっては病院での活動は励みにも癒しの場にもなった。だから最後は、覚えたての上級回復魔法を初披露演奏だ!
初挑戦だから実験にはなっちゃうけど、中級魔法だってそう大した効果があった訳でもないしね。
プリシラはピアノの前に座って、やっと完璧に覚えた上級回復魔法をピアノの旋律に乗せ、弾き語った。




