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ページの最後、上級攻撃魔法に触れた話題は、残念ながらあれだけだった。そして次女殿下、やっぱり呪文は苦手だったみたいだ。
だけど、だけど…コレ!!
前世、私が小さい頃、父と体を使って遊んだ歌だ!間違いない。
それがこの世界の言葉と呪文でも書いてある。絶対、そうだ。
なんて事だ!
頭、肩、膝、つま先、歌いながら単語が表す体の一部に触れていく。
目、耳、口、鼻、この歌のお陰で、光魔法の呪文が身体のどの部位なのか、明確に分かるじゃんか!
大神官様から預かった魔法書に当てはめてみたら、もしかすると何の呪文か、もっと解明するかも。
でも何で次女殿下の日記にこれが?
私は翌朝、父に相談してみる。
「お父様、今日からもうお仕事なの?」
「明日まで休みだよ。プリシラ、次女殿下の日記を全部読んだのか?」
「うん。お父様、実は最後に気になる文章を見つけたの。これっここ、この文章なんだけど」
「ああ、これは呪文だな。どうして、ここだけ呪文を書いているのかと思っていたが、横の文章は頭や肩、足などの単語を並べた文だろう?」
「これは呪文を横の文と並行して書いているから、呪文が順番的に体の部位と一致しているんじゃないかって思って」
「という事は、この呪文はこれが頭で、これは肩というか腕か?膝、足、目、耳…なるほどそうか!だが、なんでこんな風に書いたんだ?」
「遊び歌だからです。歌を使って体を動かす遊び、呪文を覚える為に歌にして覚えられるようにしたんじゃないかって?」
「お前のようにか?」
「わーそうだ!だけどこれは誰が考えたんだろう?」
「この歌自体は知らないから、初代聖女じゃないのか?お前もよく気付いたな?」
そうだ!私は前世の知識があるから気付いたんだ。
「お父様、小侯爵様と姉殿下の愚痴ノートと次女殿下の日記を交換して読ませてもらう事になってましたけど、今日、連絡してみても良いですか?」
「そうだな。これを知ったなら、あちらも早く読みたいだろうな。直ぐに連絡してみよう」
神殿に連絡を入れると、直ぐに返事が来て、私達は午後には神殿に行くことになった。
私は神殿に向かう馬車の中で、大神官から預かった魔法書を開く。
魔法書は六章に分かれている。恐らく六つの魔法なんだ。
歌は頭から始まるけど、普通に考えたら頭を失ったら死ぬから再生魔法としては除外だ。
ショルダーは肩だけど腕で、本来ならArms。でも歌にしたから肩になった。
膝は足、つま先は指かも?目、耳、鼻…これで六つだ!
この六つの部位を、魔法書の中で呪文として見つけられたら、この魔法書は間違いなく体の部位の再生だ!
プリシラはすごい勢いで魔法書をめくっていく。
揺れる馬車の中でもモノともせず、凄い集中力で魔法書をめくる娘に、父親である伯爵は少し圧倒される。
確かに伯爵家の者は、代々、魔法に関しては研究熱心ではあった。それは魔法に限らず新たな薬草の発見や、新薬の考案に関しても同様だった。
だが次女殿下のように、まずは体が動く者も多くいた。
まさにプリシラがそうだろうと自分は思っていた。
だけどプリシラは、魔法に関しては誰よりも呪文に対する造詣が深い。
それは二つの魔法の掛け合わせを思い付くほどで、恐らく誰よりも呪文を読み込んだから、理解できて掛け合わせに成功したのだ。
それは偉業に近かったはずなのに、第一王子に指摘されるまで本人は「便利だ」くらいにしか思っていなかった。
これまでの伯爵家の者達は、皆、光魔法の長文の呪文を覚えるのと、詠唱に精一杯だったのだ。だから気付きもしなかった。
まさか呪文に意味があるなんて。
大神殿は光魔法の魔法書の保存には力を入れているが、研究機関はない。ほぼ学ぶのは個人に任されている。
それに魔物討伐に特化している伯爵家と違って、侯爵家は魔物の発生を事前に察知する事と、悪意の浄化に労力を使っている。だから呪文の解読も当然、二の次で、プリシラに遅れを取った。
いやすでにプリシラに託したのだ。
15の未成年の娘に…とも思ったが、まあこの様子を見ると間違いのない適任者なのだ。
聖女の杖は本来の役割から外れ、ほぼプリシラの構想と実験を手助けする為の道具となり下がっている。
まあむしろ「聖女の杖があって良かったな?」って感じだ。
「プリシラ、そろそろ神殿に着くぞ」
「えっもう?!」
「何か気付いたか?」
「うん。やっぱりこの魔法書はきっと再生魔法だと思う。“目”という呪文を見つけた!」
「そうか。それはきっと治験に協力したい人も多そうだな〜」
「でもお父様、やっぱり一筋縄にはいかないかも」
「やはり呪文の長文が難しいか?」
「ううん。そうじゃなくて、再生の為にはきっと何かの代償が要りそうなの」
「は〜?!」




