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魔法少女は無理がある?!〜魔法の呪文をヘビメタにのせて♪〜  作者: 朱井笑美


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 王都の屋敷に戻ってから、プリシラはお風呂の後、ベッドに寝転がって侍女殿下の日記を読み返すことにした。


 今、読んだら眠くなりそうだけど…この独特の丸っこい文字…そして頻繁に現れるハートやビックリマークにハテナマーク。

 前世感覚で見れば10代の乙女の日記だが、この世界の感覚で見るなら、まるで暗号だ。


 日記は伯爵家に嫁いだ後、第一子の妊娠中に書き始めた様子だ。

 だけど書き始めは夫との出会いから書いている。

 よほど夫の事が好きだったのだろう。彼女は王女時代、光魔法師として頻繁に魔物討伐に出ていた。

 討伐の最前線で彼女は、補助魔法や回復魔法だけでなく攻撃魔法まで、幅広く聖女の杖を使って活躍していたみたいだ。


 そんな時、彼女が恋をしたのは、いつも最前線で身を粉にして戦っていた子爵家出身の末端の魔法騎士だった。

 彼は特に目立つ容姿を持っていた訳でも、優れた剣技や魔法を使っていた訳でもない。だけど、ただ真面目で優しく誠実な人だったようだ。


 次女殿下は、そんな普通の子爵令息に恋をした。

 聖女であった母親の後押しを受け、無事に彼に嫁ぐ事が決まり、子爵令息は王女を得ることで伯爵位に陞爵された。

 それが我が伯爵家の始まりだった。


 結婚してからも彼女は討伐に出ていたようだが、第一子の妊娠を機に討伐を下りる。それで彼女は暇になってしまったようだ。

 それが日記を書き始めるキッカケだった。

 ここまで読むのも大変、苦労した。


 特に夫の話となると、彼女の文章のテンションも爆上がりする。

「キャー!」とか「ステキ!」とか「ドキドキッ、ハート」とか、とにかく擬態語、擬音語に彼女の気持ちが織り混ざる。

 そして読者に同意を求めつつ、恋愛する事を強くオススメされるのだ。


 プリシラが、唯一、次女殿下に共感できる事があるとすれば、この真面目な子爵令息を選んだ事だけだ。

 こんなミーハーな女性なら、外見だけの男性を選びそうだと思ってしまうが、彼女の心を捕らえたのは意外にも普通の令息だったのだ。

 あ〜次は子育て編か…。


 魔法のヒントに関係なければ、ページを飛ばしたいが、実は飛ばした内容に重要なワードがないとも限らない。

 なぜなら杖の使い方は日記の最後だけじゃなく、最初の討伐中のエピソードにも出て来る。


「杖を相手に向けて「エイッ!」とするの」って書いてあった。

 そして「彼にも向けて「エイッ!」てしたら、私を好きになってくれるかしら?」の文で終わる。

 こりゃあ使用方法を読み逃すわぁ。

 でも「エイッ?」が彼に効いて良かったね。


 子育て編「ヤバッ!」飛ばさないで良かったわ。

 第一子に読み聞かせしている絵本は、なんと母親の聖女様がお作りになった絵本だった。

 だがこれは完璧に異世界のパクりだ。1冊目はほぼ七匹の子ヤギの内容だ。

 だけど!ここに光魔法の上級攻撃魔法のヒントか?


「七匹のヤギさん達なのねぇ。上級魔法の七人と一緒ね」って、え?それだけ?それだと人数しか分かんないじゃん。そもそも人数は分かってるし…ヤギは違うし。


 光魔法の上級魔法の呪文はちゃんと“七大賢人”と書いてある。

 呪文をよく読んでいくと、7カ所、単語が抜けた場所を見つける事ができる。そこに正しい単語を入れると呪文が完成するようになっている。

 埋める7カ所とはきっと賢人達の名前なのだ。


 それが不明で、誰も発動できていないし、そもそもどんな魔法攻撃なのかも分からない。賢人の名前が分からなければ発動イメージも湧かないし、八方塞がり状態なのだ。

 だが今のところ、この上級魔法に頼る必要性はないから急がなくても良いんだけど。


 そう言えばルーズベルト先輩の婚約者さんの国は、うちの国より聖女が現れたのが最近だと言っていた。だったら光の上級魔法のヒントもあるのではないか?!

 ルーズベルト先輩の婚約者さんにお会いできないだろうか?王族の方ならご存知かも。次に第一王子殿下にお会いできたら聞いてみよう…その前に父にも言っとくか。


 あ〜次女殿下、立て続けにご懐妊かぁ。

 しかも女児を産まなかったから、聖女の杖もお蔵入りしちゃったんだ。女の子が欲しかったみたいだけど、ダンナ様と男の子三人に囲まれてとても幸せそうだ。


 ダンナ様の子爵家の領地は元々、山手にあり、お茶農家だったようだ。

 伯爵家に陞爵されて領地も変わり、より王都に近く平地になった。お茶の栽培から平地に合った農作物へ、それで薬草農家になったみたいだ。

 何気に我が家の歴史が分かったりする。


 男の子は三人とも光属性で魔力も強く安定していた。

 それからのお孫さん達も男の子が続く。だから聖女の杖が直ぐには受け継がれず、後世に託されたんだな〜。

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