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その後、陛下の侍従がお茶を入れて下さり、歓談のような流れになった。
陛下が聖女の杖を眺めながら「なぜ最初の形状から変化したのであろうか?」と疑問を呟かれた。
「確かに我々が最初に見た時は、記述通りの色形だったのだが…」
と言いながら祖父が私を見る。
「!」ヤベーじゃん!
私が前のデザインだと「持ちたくない」と思ったから、リニューアルされたのかもしれないと言っても良いのだろうか…?
変わった後も微妙なデザインではあるのだけど…。
私の目がキョドッているのを見た父が「娘用のデザインなのでしょう」とフォローを入れてくれて、皆、私だけを置いて納得していた。
その後は国内で小規模の魔物発生がしばしば報告されているという話になった。
だけど例年、夏から秋にかけての時期は魔物の発生はそう多くはないそうだ。それに今のところ発生場所に駐留している騎士団や領主による討伐で済んでいて、被害もほとんど無いとのこと。
人々の悪意は無くなるはずがないので、日々、魔物の発生は色んな場所で起こっている。流行り病や自然災害などが起こり、国や領主の対応が遅れたりすると中規模以上の魔物が発生するという。
特に戦争が起こると同規模の魔物の発生にもつながると言うから、それもあってどの国も戦争を起こしたりしないのだ。
多夫多妻、男尊女卑や女尊男卑、奴隷制度など、悪意発生源になりそうな制度も、この世界ではことごとく禁止されている。
魔物の発生は、一見、悪い事をしたら悪い目に遭うという因果応報の流れのような気もする。だけど神は人を守る為に、わざわざ聖女を異世界から召喚した。それは一体どういう意味なのか?
人を守りたいだけなら「悪意=魔物発生」の図式を無くせば良いだけだ。だけどやっぱり、それはしないのだ。
何か神様のご都合というか事情があるんじゃないのか?と思える。
プリシラは疑問を陛下と魔法師団長に聞いてみる。
だけど結果、2人ともご存じなかった。ただ建国以前の時代から、人々の悪意による魔物の発生は起こっており、討伐が追いつかない時に聖女が召喚され、魔物駆除と共に悪意を払うことで平和を取り戻している、としか記録にないのだと教えてくれた。
聖女は度々、召喚されている?
だけど恐らく、我が国に限った事ではないとの事だ。
そりゃそうだ。
しかしプリシラはなんか納得いかなかった。
と言うか、この世界に納得がいかない!
絶対に悪意が魔物に変わるシステムはおかしいのではないか?
そうなった理由が絶対にあるはずなのに。
神様が何か隠してる!
プリシラはモヤモヤしたものを抱え王宮を退出した。
帰りの馬車で、自分よりも何か深刻な様子の父に「お父様、聖女の杖を没収されなくて良かったですね?」と言うと、父はそれには応えず真面目な顔で「もしかしたら陛下は近い将来、平和な時代が崩れることを想定されているのかもしれないな」と、そう返事が返ってきた。
What?!
祖父も同じ事を考えていたようで「この時代に聖女の杖が復活したことも意味があるのかもしれん」と物騒なことを言う。
聖女の杖は復活したんじゃなくて、爺様が勝手に宝物庫から掘り出してきたんでしょうが!!
とプリシラがイラッとしていると、父が「プリシラが嫌々使わなくてもいいように、最初の形状まで変わったんだ。プリシラに使わせようとする神の意志を感じるな」なんて事まで言い出したのだ。
って言うかお父様は、私が聖女の杖を嫌々持っている事に気付かれていたんですか?!
最初に杖を気に入り、欲しがっていた兄に持たせても良かったのではないか?
兄は17歳だが外見は王子殿下には敵わないが…まあまあのイケメンだ。あの杖を振り回してもギリいけたのでは…?!
あ〜でも兄より先に自分が手に取ってしまったのだ。自分が先に杖に認知されてしまったのが、いけなかったのかもしれない。
すでに後悔先に立たずだ…。
プリシラは帰宅後、兄に「聖女の杖を、私が先に持ってしまったから私の物になってしまった」と説明してから詫びると、兄は「杖の持ち主の条件は、光属性だけではないのかもしれないぞ?」と言ってきた。
もしかして聖女の杖のデザインが、前世のアニメから来ているとするなら“少女”じゃないとダメだという事か?
と考えていると兄は「プリシラ、聖女の杖は多分、どこか魔法使いとして不完全なことも条件なんじゃないかな?」と失礼な事を言ってきたのだ。
そっちか!?私の詫びを返せー!!




