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第八章:蛆虫の誓約、その饗宴

#R15 #残酷な描写あり #都市伝説 #ホラー #村ホラー #サイコホラー #復讐 #ダークファンタジー #ヤンデレ #テケテケ

江戸の視界が歪んだ。燃え盛る倉庫の煙が肺を圧迫したが、引き裂かれた腿の痛みはそれを遥かに凌駕する絶望だった。目の前では、姨捨村の住人たちが手にした数十本の松明が炎の円陣を組み、逃げ場を完全に封じ込めていた。


狐の面を被った老婆が、ゆっくりと前へ進み出た。煤と血に汚れた、古びた白装束の裾が地面を引きずる。


「愚かな子だよ」老婆の声は、乾いた紙を擦り合わせるような響きだった。「肉体を損なえば自由になれるとでも思ったか? この姨捨において、壊れた部位はただの空っぽの『器』に過ぎん。そして空の器は……満たされねばならぬのだ」


古風な野良着を着た大男二人が江戸の両肩を掴み、円陣の中心へと引きずり出した。そこには、うごめく黒い粘液に満ちた浅い穴が掘られていた。


近くでそれを見た江戸は目を見開いた。それはただの液体ではない。黒魔術の呪詛を授けられた、青木ヶ原の数千匹もの蛆虫が、互いに絡み合い、のたうち回っている塊だった。


「冥! 助けてくれ!」江戸は暗闇の中に愛する少女の姿を探し、叫んだ。


群衆の中から冥が現れた。顔は煤で汚れ、髪は乱れ、その瞳は怒りで赤く染まっている。そこにはもはや、歪んだ愛情など微塵もなく、純粋な憎悪だけが宿っていた。


「私の家族の最高傑作を壊してくれたわね、江戸くん」冥が低く唸った。彼女は江戸の傍らに跪くと、顎の関節が鳴るほどの力で彼を組み伏せた。「爆発のせいで、お父様の足は使い物にならなくなった。ドナーを失った今、あなたが新しい『支柱しちゅう』になるしかないのよ」


狐面の老婆が、赤黒い液体――赤目の残った血――で満たされた木椀を掲げた。「飲みなさい、如月の継承者よ。森の住人たちに、お前が壊したものを縫い合わせさせるのだ」


彼らは無理やり江戸の口にその血を流し込んだ。それは腐敗した残り火を飲み込むような味だった。


「さあ……彼を大地の胎内へ戻せ!」


江戸は蛆虫の蠢く穴へと投げ込まれた。傷ついた肌に数千の小さな生命体が触れた瞬間、江戸は狂乱の絶叫を上げた。蛆虫たちは肉を喰らうのではなく、腿の裂傷から体内へと侵入し、皮下を這い回り、彼が自ら断ち切った筋肉と神経の代わりになろうとしていた。


「あああああッ! 出してくれ! 骨の中を這い回っているんだッ!」


「静かにして、江戸くん」冥が耳元で、恐ろしくも安らかな鎮魂の呪文をささやいた。「彼らはあなたの足を治しているの。あなたの新しい筋肉になるのよ。もう人間として歩くことはできないけれど……赤目ちゃんと同じ速さで駆けることができるわ」


突如として、森の闇から再びあの音が響いた。テケ……テケ……テケ……。


だが今度は違った。現れた赤目は力なく、狐面の老婆に服従しているようだった。赤目は江戸の穴に近づくと、焼かれた自らの半身を江戸の体の上へと重ねた。


「ひとつに……なろう……」赤目がささやいた。


数千の蛆虫たちの指揮の下、江戸の肉と赤目の肉が溶け合い、癒着し始めた。この儀式の目的は江戸を殺すことではない。江戸と赤目の体を縫い合わせ、一柱の新しい怪物へと作り替えることだった。


江戸は意識が分断されていくのを感じた。存在しないはずの赤目の足の感覚、そして背中で脈打つ赤目の心臓の鼓動。


「さようなら、人間だった江戸くん」冥が穴の上から聖なる灰を振りまいた。「ようこそ、如月赤目きさらぎあかめ。姨捨の門番よ」

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