第三章:歌う有刺鉄線
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小塚 朱莉の悲鳴は、もはや人間のものとは思えなかった。それは恐怖の限界を超えて強制的に絞り出された、声帯の純粋な軋みだった。
「朱莉ッ!」江戸は叫び、冥の冷たい拘束を振りほどいて声のする方へ走ろうとした。
しかし、冥は微動だにしなかった。それどころか、江戸の腕を抱きしめる力を強め、うねるような青木ヶ原の木々の奥にある暗闇をじっと見つめた。「だめよ、江戸くん。今行ったら、彼女の『振り付け』を台無しにしてしまうわ」
「振り付けだって!? 彼女が危ないんだぞ!」
江戸はどうにか腕を振り切り、藪をかき分けて走った。彼は森の中の小さな空間に辿り着いた。そこはまるで、完璧な円を描くために木々が無理やり遠ざけられたような場所だった。その中心に、彼は朱莉の姿を見た。
彼女はもう傲慢に立ち尽くしてはいなかった。その体は宙に浮き、錆びついた数十本の古い有刺鉄線に絡まりついていた。鉄線はただ服を切り裂くだけでなく、彼女の陶器のような肌を破り、腕の肉に食い込み、その顎を大きく開かせたまま固定していた。
テケ……テケ……テケ……
その音は今、すぐ近くにいた。あまりにも、近くに。
巨大な木の根の影から、彼女が現れた。黄泉津 赤目だ。
江戸は凍りついた。赤目の顔はまだ美しかったが、蝋のように蒼白だった。長い黒髪は血でぬかるんだ地面を引きずっている。最も恐ろしいのは、失われた下半身だった――腰のあたりで切断され、肉の繊維と突き出た背骨が剥き出しになっている。奇妙なことに、その断面は同じ有刺鉄線で荒々しく「縫い合わされている」ように見えた。
赤目は歩かなかった。彼女は黒ずんだ長い爪で地面と幹を掻きむしり、異常な速さで半身を引きずっていた。
「テ……ケ……」赤目が顔を上げた。その赤い瞳は、頭上で苦痛に悶える朱莉を見据えた。
「あ、赤目……ご、ごめんなさい……」朱莉が喘ぐ。鉄線で引き裂かれた口角から血が滴り落ちた。
赤目はただ、口角を吊り上げて笑った。電光石火の動きで、彼女は有刺鉄線を自分の梯子であるかのように使い、木を這い登った。彼女は朱莉の顔に近づき、江戸の総毛立つような言葉をささやいた。
「私を……山に捨てるべきゴミだって言ったわよね? さあ、見てみましょう……あなたの体のどれだけの部分を捨てれば、もっと『軽く』なれるかしら」
バキィッ!
予告もなく、赤目はその強い腕で朱莉の足をへし折った。骨の砕ける音が森の静寂に木霊する。赤目はそれから、朱莉の腹部に有刺鉄線を巻き付け始め、猛烈な力で締め上げた。鉄線が脂肪と筋肉の中に埋没し始める。
「江戸! 助けて!」腹部の皮が裂け始めた瞬間、朱莉が絶叫した。
江戸は前に踏み出そうとしたが、背後から冷たい手が肩に触れた。冥がそこに立ち、その凄惨な光景を満悦の表情で見つめていた。
「見て、江戸くん」冥は愛おしそうにささやいた。「赤目ちゃんがあなたに『ダンス』を捧げているわ。これは如月家が何世紀にもわたってこの村で収穫してきた方法なのよ。綺麗でしょう?」
血が噴き出し、満面の笑みを浮かべる赤目の顔を濡らした。そのテケテケは江戸の方を向き、かつての友人の鮮血に染まった半身をさらけ出した。
「江戸くん……おか……えり……」




