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第十章:如月の王、最後の饗宴

#R15 #残酷な描写あり #都市伝説 #ホラー #村ホラー #サイコホラー #復讐 #ダークファンタジー #ヤンデレ #テケテケ

青木ヶ原の樹海の空はもはや黒ではなく、おぞましい赤銅色しゃくどういろに染まっていた。江戸の足元から、姨捨村の隅々まで激しい震動が伝播していく。大地はひび割れ、鉄の臭いのする熱い蒸気が噴き出した。


「江戸くん……やめて……」冥の声が震える。彼女は巫女の短刀を振るおうとしたが、その銀の刃は江戸のオーラに触れる直前、塵となって砕け散った。


江戸は毅然と立ち上がった。足はボロボロだったが、立つのにもはや筋肉など必要なかった。体内で荒れ狂う如月の血が、戦神の骨格のように彼を支える赤光のつるを形成していた。黄金色の瞳が、狐面の老婆を冷酷に射抜く。


「如月家はドナーだと言ったな」江戸の声が、口からではなく周囲の空気の震動となって響き渡った。「お前たちは間違っている。僕たちはドナーではない。この地獄の所有者だ。そして今日……僕は投資を引き揚げることに決めた」


老婆が悲鳴を上げた。「やめろ! 儀式が――」


言葉を言い終わる前に、江戸は拳を握りしめた。


ドォォォォンッ!


姨捨村に存在するすべての有刺鉄線――木々に食い込み、柵となり、さらには赤目の体内や他の死体の中に埋め込まれていたものまでが、一斉に反応を始めた。鉄線は狂気じみた速さで増殖し、逃げ惑う村人たちを突き刺し、絡め取っていく。


「僕の血は、命令だ!」江戸が咆哮する。


江戸の傷口から噴き出した血は、村の木造家屋へと降り注ぐ結晶の針へと姿を変えた。一瞬にして、隠れ里であった姨捨村は、逃げ場のない屠殺場へと変貌した。


テケテケである赤目が、最期に一度だけ江戸を見上げた。その赤い瞳は、真の主の意志の下で自らの体が赤い光の粒子へと崩壊していく中、まるで安らぎを見つけたかのように静まり返っていた。「あり……がとう……主……様……」


冥が江戸の前に膝をついた。「江戸くん……私を殺して。私がすべてを仕組んだの。私が彼らをあなたの元へ連れてきたのよ」


江戸は冥に歩み寄った。今はもう、結晶化した血となってひび割れ始めた手で、彼女の頬を撫でる。「いいえ、冥。死ぬなんて、あなたには生ぬるい。あなたはこの森で生き続けるんだ……たった一人で……歴史から消し去られた村の墓守としてね」


江戸は村の心臓部――呪いの源泉である古き祠を見据えた。そして、体内に残されたすべてのエネルギーを解き放った。


ドォォォォォォォンッ!!


巨大な赤光の爆発が空高く舞い上がり、すべてを灰へと帰した。青木ヶ原の樹海が激しく揺れ動き、そして、ついに静寂が戻った。


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