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スキルが「ヒール」で被った女神と俺。攻撃手段ゼロの異世界ケア ~「治ったから戦え」はブラックすぎます。まずはリハビリ3ヶ月、ADLの向上から始めましょう~  作者: A古町
ダメな女神と不運な男

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第4話 女騎士の診察

第4話 女騎士の診察

 騎士は、悪夢を反芻するように語り出した。


「俺たち『栄えある』フランシア帝国騎士団の精鋭五百が前線に立ったのは一週間前だ。この城はフランシアの属国が治めているんだが、援軍要請で配属された。……貧乏くじを引かされたのさ」


 騎士は太一に問う。「魔王が復活したのは知っているか?」


 太一は首を振ったが、隣のアマリアは気まずそうに目を逸らしている。


(こいつ……ガチで魔王がいる場所に俺を飛ばしやがったな)


 太一の冷ややかな視線を、アマリアはスカスカの口笛を吹いて誤魔化した。


 騎士は大きな汗をかきながら、なおも続ける。


「並の魔物なら倒せる。だが奴らは桁違いだ。俺たち『栄えある』騎士団でも、奴の前では紙切れのようだった。……ゲルゾラーダ。そう呼ばれた悪魔は翼を持ち、俺たちの上空を飛んだかと思うと、仲間たちの首が次々に飛んだんだ……。俺は右腕で庇い、後ろへ吹っ飛んで命拾いした。だが、逃げ帰ってこのザマさ」


「なんてこった、太一よ……。あとは任せて、あたしは帰ってもいいか?」


「ダメに決まってるだろ。急変時には残業するのが当たり前だ。仲間を置いて帰るな」


「誰が仲間じゃ……」


「おい、それを言っちゃおしまいだぞ。こんな職場に連れてきやがって……」


「……それは……謝る」


 アマリアが珍しく素直に謝罪した。


「初出勤でこんな戦場に連れてくるような仕事紹介業者は、次から顧客がつかないぞ」


 太一は騎士の肩を叩いた。「まあ、今は安静に。腕を治そう」


「ああ、ありがとうな」


 その時、太一の頭にアナウンスが響いた。


「お、太一よ、今の処置でまたレベルが上がっておるぞ。スキル、『ライブラ』……? なんじゃらほい?」


「ライブラ。……相手のステータスを読む魔法だな。これは使える」


 太一はさっそく次の患者に目を向けた。


「太一……次の騎士はやたら美人だな。わざと選んだな?」


「何言ってんだ、順番だろ! 順番!」


「ふん。ライブラで何を『見る』つもりやら。その娘のプライバシーを覗くことは、この女神アマリア様が許しません!」


「言ってろ、駄女神が!」


 太一は目の前の美しい騎士に、アイスブレイクを兼ねて声をかけた。


「……あなたもフランシアの騎士団員ですか?」


 すると、彼女は鋭い視線で太一を射抜いた。


「私をフランシアの弱腰騎士と一緒にするな」


 その言葉に、周囲のフランシア騎士団がざわつく。


「あ、まあまあ。で、どちらの方で?」


「私はアーメリア騎士団のリンだ」


「なるほど、リンさん。では症状を見てもいいですか。……ライブ――」


「待てーい!!」


 アマリアが割って入る。


「なんだよ、アマリア!」


「ライブラでスリーサイズなんて読むなよ!」


「うるさいよ、仕事中だ!」


 そのやり取りを見て、リンがふふふ、と声を漏らした。

「ここは戦場だろう? なんだ、その緊張感のなさは」

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