↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
30/36

第30話 螺旋階段の攻防と一夜城の罠

第30話 螺旋階段の攻防と一夜城の罠

 城主ドリアル率いる正規軍が、地響きを立てて出陣した。


 その後方、かつてメフィストフェレスが陣を敷いた場所に冒険者や傭兵を隠密に配置。


 そこへヴィネの部隊を誘い出し、背後の「一夜城」を奪取する。魔王軍の大幹部の息子を叩いた敵を、今度は自分が叩く――その功名心にヴィネが飛びつくことを、太一は見越していた。


 規律正しく進軍するドリアルの軍勢を、城塞の頂からヴィネが見下ろす。


「ふふ、大人しく籠城するかと思えば……誰の城へ攻めて来ていると思っているのか。こちらも打って出よ」


 ヴィネの命により、石礫と矢の雨が降り注ぐ。しかし、ドリアル正規軍はその歩みを止めない。


 その間に、太一、アマリア、リン、ローザ、そしてリュックの五人は大きく迂回し、一夜城の東側から接近を試みていた。


(頼む……持ち堪えてくれ!)


 太一はドリアルの身を案じつつ、城壁の死角へと急ぐ。


 やがて、ヴィネが冷徹に下した「殲滅命令」を合図に、魔王軍がドリアル軍へ襲いかかった。

 ドリアルもまた、偽装退却の準備を含めた突撃命令を下す。戦場に激しい金属音が響き渡った。


(太一よ……始まったぞ。皆、本当に大丈夫なのお……)


 アマリアにもかつてない緊張が走る。


「ふん、ちんちくりんのくせに人の心配とは。自分の身は自分で守りなさいよ」


 ローザが鋭く城を睨みつけると、アマリアも負けじと言い返した。


「あたしがその気になれば、相手の攻撃なんて全部無効にしてやるんだから!」


「よし、この巨大な円柱の塔を登ればヴィネがいるはずだ。行くぞ!」


 一行が忍び寄ると、意外にも城門はあっさりと開いた。

 内部は不気味なほど静まり返っており、上階へと続く螺旋階段が一本伸びているだけだった。一夜城ゆえ、構造は極めて単純なようである。


 石積みの隙間から外を覗くと、ドリアル軍に退却命令が出されたのが見えた。


「退却しましたわね……私たちも急ぎましょう」


 リンを先頭に、ローザ、アマリア、リュック、そして太一という順で階段を駆け上がる。


「……アマリア様、アマリア様!!」


「なんだリュック、大きな声を出すと悟られるぞ」


 アマリアが嗜めるが、リュックは顔を赤らめて必死に訴えた。


「僕……今日は皮のミニスカートなんです!」


「だから何だ?」


「太一様が、すぐ後ろにいます……!」


「我慢せよ。こんな狭い階段で順番を変えるのは手間だ。リンもローザもミニスカートだ。あたしだってレースの隙間から見られないよう心がけておるわ!」


「僕、先日も酷い目に遭わされました!!」


「おい、お前ら静かにしろって! なら一番後ろへ行けよ、リュック!」


 太一が小声で怒鳴ると、リュックは「一番後ろは魔族が来たら最初に死ぬから嫌だ」と涙目で首を振る。


「全く……」


「しっ! そろそろ最上階ですよ」


 リンの警戒の声が響く。彼女が力いっぱい木製のドアを蹴破った。


 そこには、付き人の魔族を一人従えただけのヴィネが、悠然と座っていた。


「なっ……貴様ら、謀ったか……!?」


 傲然としていた魔女の顔が、驚愕に歪んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。