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スキルが「ヒール」で被った女神と俺。攻撃手段ゼロの異世界ケア ~「治ったから戦え」はブラックすぎます。まずはリハビリ3ヶ月、ADLの向上から始めましょう~  作者: A古町
包囲を突破せよ!

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第25話 立ち上がる意思、そして救護所の危機

第25話 立ち上がる意思、そして救護所の危機

 野戦病院の静まり返った天幕に、弓使いの冒険者リュックが駆け込んできた。


「アマリア様、大丈夫ですか!? 太一様のアセスメントによれば、こちらにも魔族が攻めてくる可能性があるとか……」


「おお……そうであった。こうしちゃおれん……が、空腹で力が出ぬ。食い物はあるか?」


「はい! こんなこともあろうかと、レーションを隠し持っていました!」


「よし、でかしたリュックよ! 危うく餓死するところじゃったわ」


 アマリアは勢いよくレーションを平らげた。

(ふふふ、こんなこともあろうかと付き人を見つけておいたのよ。来ないなら来ないでゆっくり休めるが……)

「来たぞー! 魔族だ!!」


 外からの絶叫に、アマリアは飛び起きた。


「な、なんやてー!?」


 一方、魔王軍の陣地では、メフィストフェレスの精神攻撃に呑まれたリンとローザが立ち尽くしていた。


「リン! ローザ! 聞こえるか!? 俺を見ろ!」


 太一の叫びも届かない。絶望の深淵に沈む二人を見て、太一は一か八かの賭けに出た。


「ええい、ダメか!? ならば……目を覚ませ! ウォータ!!」


 ――バシャァッ!!


 冷たい水の塊が二人の頭上で弾けた。


「……っ!?」


 リンとローザが、ハッと意識を取り戻す。

 二人の目には恐怖の涙が浮かんでいたが、太一の「物理的な介入」によって、閉ざされた精神の檻は打ち破られた。


「な……あんなことで私の攻撃を打破しただと!? まさか、あの女たちの精神力が私を上回ったというのか!?」


 メフィストフェレスが初めて焦燥を顔に浮かべた。


「あーあーあーあー!!もう面倒だ! こうやって立ち向かってくる人間は嫌いなんだ! 私の試練に絶望し、滅びゆく人間こそが美しいというのに!」


 その言葉を聞き、太一は確信する。


(……あいつ、嫌がっているな。これがライブラの言っていた『立ち上がる意思』が弱点だという意味か!)


「よし! 他の騎士たちも立ち上がらせてやる! 全員、再起動リブートだ!!」


 太一は周囲の倒れた騎士たちに片っ端から『ヒール』を叩き込み、活力を注入して回った。


「泥人形ども、何をしている! 人間たちが次々と蘇っているではないか、さっさと殺れ!」


 メフィストフェレスが激昂するが、一度「意思」を取り戻した人間たちの勢いは、もはや泥人形の比ではなかった。


「く……ここは、ここまでか!」


「待て! 逃げるな、メフィストフェレス!」


 リンが鋭く叫ぶ。悪魔は闇を纏い、宙へと浮き上がった。


「逃げる? 人間相手にこの私が逃げるなどあるものか。体制を立て直し、すぐに戻ってきてやる。父上からもっと強力な魔力を授かってな……ふははは!」


 冷笑を残し、悪魔は闇夜に消えた。


 だが、安堵の時間はなかった。


「みんな、疲れているとは思うが、野戦病院が次の標的だ! 全力で走るぞ!」


「「おおおおお!!」」


「全員にリジェネを付与する! かかった者から順に、全力で砦へ向かってくれ!!ドリアル様!!野戦病院を助けてください!!」


「おお!!任せておけ!!行くぞ!!者ども!!」


 太一の指示の下、消耗しきった兵士たちが再び走り出す。


 戦場は今、太一たちが心血を注いで築き上げた「出城」へと移ろうとしていた。

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