第24話 精神破壊とマネージャーの介入
第24話 精神破壊とマネージャーの介入
「ふふ、まあ良い。これも想定の範囲内だ!」
メフィストフェレスは余裕の笑みを浮かべ、傍らの泥人形を翼ある魔族へと変質させると、東の空へと解き放った。
「さあ行け! 手薄になったあの出城を、控えの泥人形たちに襲撃させるのだ!」
命を受けた翼の魔族たちが、闇夜の空へ溶けるように消えていく。
「し、しまった! 救護所が狙われる!」
リンが叫ぶが、眼前の包囲網は厚い。
「とにかく、今は目の前の指揮官を討つしかない! 押し通るわよ!」
「我らも暴れるぞ! 騎士の誇りを見せよ!」
城主ドリアルが巧みに馬を操り、鋭いサーベルを泥人形たちに次々と突き立てる。
「おおおおお!!」
ドリアル城守備隊の猛攻により、戦場は混沌を極めていた。
その喧騒の中、一人の男が肩で息を切りながら戦場へ辿り着こうとしていた。太一である。
「はあ、はあ……! 聞こえる、もうすぐだ……!」
メフィストフェレスの周囲には、無数の魔族が盾となって並び立つ。
「届かん、届かん。貴様らの腕では私に触れることすら叶わん……。さあ、今度は私から行こう。貴様らの精神力を試してやろうではないか!」
メフィストフェレスの手から、黒い魔力の波動が放たれた。それは物理的な衝撃ではなく、人間の脳に直接「恐怖」を刻み込む精神干渉だった。
「あ……あれは!!」
到着した太一が、その攻撃を見て戦慄する。
(戦時後遺症……PTSDの正体はこれか! あいつが兵士たちの心を壊していたのか!)
「……!? 太一様!? 何故ここに!」
ローザが驚愕の声を上げ、リンもまた太一の身を案じて駆け寄る。
「アマリア様は大丈夫なのですか!?」
「ああ……『みんなが心配だから行ってこい』と、あいつが……!」
「太一殿、あの指揮官は強すぎます。弱点が見当たらず、あの精神破壊攻撃で周りの騎士たちが次々と戦闘不能に……!」
太一は即座に右手を掲げた。
「ライブラで奴を視る!!」
【魔族メフィストフェレス:レベル99/弱点:立ち上がる意思】
「貧弱、貧弱ゥ!! ふははは!!」
メフィストフェレスの冷笑が荒野に響き渡る。リンとローザが果敢に斬り込むが、奴は距離を取りながら無限に泥人形を生み出し続ける。
「くっ、切りがない……! だが、やるしかない!」
「まだ諦めぬか。ならば……究極の絶望をくれてやろう!」
メフィストフェレスが両手を広げると、リンとローザの視界から音が消え、底知れぬ暗闇が広がった。
「リン……? どこだ?」
「ローザ? どこなの!? 太一殿!?」
二人の心に、芯から凍りつくような恐怖が浸食していく。孤独と絶望が、戦う意思を削り取ろうとしていた。
その頃。
主たちがいなくなった野戦病院では、さらなる危機が静かに忍び寄っていた。




