表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルが「ヒール」で被った女神と俺。攻撃手段ゼロの異世界ケア ~「治ったから戦え」はブラックすぎます。まずはリハビリ3ヶ月、ADLの向上から始めましょう~  作者: A古町
包囲を突破せよ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/36

第21話 音を立てぬ包囲網、兵糧攻め

第21話 音を立てぬ包囲網、兵糧攻め

 野戦病院の築城から数日間、魔物の群れの攻撃は拍子抜けするほど散発的なものとなった。


「太一よ! あたしたち、よく凌いでいるではないか。このまま魔王軍の拠点まで攻め上がれるのではないか?」


 アマリアが楽観的な声を上げ、リンも「ええ、敵も諦めたのかもしれません」と手応えを感じていた。

 しかし、侵攻初日から戦い続けてきたローザだけは、鋭い視線で東の空を見つめていた。


(確かに太一様とちんちくりん(女神)が来てから壊滅することはなくなった。しかし、奴らの力はこんな程度なのか……?)


 さらに数日が過ぎ、ドリアル城の総合施設建築の報が届く。だが、その直後から異変が起きた。


 野戦病院への物資供給が滞り始めたのだ。毎日来ていた伝令も、ぱったりと姿を見せなくなった。


「おい、レーションが底を突き始めているぞ。水も不足しておる……」


 アマリアの顔は、数日前とは打って変わって栄養不足でげっそりとしていた。


「少し、痩せましたわね……」


 リンがふくよか豊満ボディを悪気なく見せつけると、ローザの眉間に青筋が浮かぶ。


(くっ! この騎士様、ここぞとばかりに太一様へのアピールを!?)


「ええ……私も、少し痩せすぎてしまいましたわ」


「そなたは元々それくらいの『サイズ』だったであろうが」


 頬のこけたアマリアに指摘され、白銀髪のローザがキッと彼女を睨みつけた。


 太一はこれまで現世で培ってきた経験から、リスク予測を働かせる。


「物資、食料、水が滞る……籠城中にこれが起きるということは、まずいぞ。魔王軍には、知識のある軍師がいる」


「ど、どういうことじゃ太一よ?」


「これは……『兵糧攻め』だ。餓死かつえ殺しだよ」


「兵糧攻め? 初めて聞く作戦だな」


 リンとローザが顔を見合わせる。太一は苦々しく説明した。


「城の周りを包囲して、物資の供給を断ち、城兵を飢えさせる残忍な作戦だ」


「な、なんと……! このままではうら若き我らが干からびてしまうではないか!」


 アマリアが叫ぶ。すぐに伝令を出してドリアル城へ援軍を要請すべきだが、すでに出した伝令が戻っていないことが答えだった。


「は、腹が減る。酒でも飲むしか……」


 アマリアが酒瓶に手を伸ばすが、太一が厳しく止める。


「やめとけ。栄養失調を起こしかけている体で酒を飲めば、脱水とアルコール中毒を招くぞ」


 そこへ、一人の伝令が命からがら、ボロボロの姿で戻ってきた。


「太一殿……! 予想通り、野戦病院とドリアル城の中間に魔王軍が押し寄せていました。物資運搬隊は……壊滅です」


 太一はさらに先を読む。


「ドリアル城とここの兵で挟撃させ、野戦病院を孤立させる。俺たちを飢えさせてから炙り出し、手薄になったこの砦を焼き払うつもりだ」


「……どうする、ゼロ攻コンビよ?」


 ローザが鋭い視線を太一に向けた。


(ああ……このイエローハート勲章のマネージャー太一様なら、きっとここから連れ出してくださる。信じておりますわ!)

 絶体絶命の兵糧攻め。攻撃力を持たぬ太一に、この危機を脱する手立てはあるのか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ