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スキルが「ヒール」で被った女神と俺。攻撃手段ゼロの異世界ケア ~「治ったから戦え」はブラックすぎます。まずはリハビリ3ヶ月、ADLの向上から始めましょう~  作者: A古町
救護施設をグレードアップせよ!

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第11話 白銀の将校と二つの顔

第11話 白銀の将校と二つの顔

 デル・アポロ中尉がフランシア帝国への同行者として紹介したのは、鋭い眼光を放ち、白銀の髪をなびかせる若き将校であった。


「……ローザ准尉です」


 短く名乗る彼女の冷徹な瞳が、太一を射抜く。


(……怖ぇ。リハビリ施設で働いていた時の先輩理学療法士(PT)みたいな鋭さを感じる。必ずやり遂げるという強い意志。だが……この手のタイプは、大抵がポーズなんだよな)


 福祉の現場で数多の女性職員や利用者に接してきた太一は、この手の女性の扱いは心得たものであった。

 一方のローザは、内心で激しく動揺していた。


(……ああ、こんなイエローハート勲章を賜るような御仁の護衛だなんて。ローザ、感激のあまり鼻血が出てしまいそうですわ……!)


 しかし、表向きの彼女はあくまで冷ややかだ。


「ふん。レベルの低いヒーラーと聞き及んでいる。くれぐれも足を引っ張るなよ」

(……ああ、お許しをイエローハート勲章様! 私はなんと不敬な! 私は豚野郎ですわ……! ハアハア、よく見るといい男ね……!)


「うーむ。なんだか心の声が漏れ出ているような気がするが……」


 アマリアが薄着のレース衣装をひらつかせながら、ローザから立ち上る「どす黒いオーラ(心の声)」を敏感に察知していた。


 そんな中、リンが美しい黒髪のポニーテールを揺らし、ローザの腰に目を留める。


「白銀の髪、鋭い眼光、そして赤い鞘のレイピア……ローザ准尉。もしや貴殿は、巷で噂の『白銀のレッドスコーピオン』では?」


「色々、色が重なっているな?」


 アマリアが即座にツッコミを入れたが、ローザは表情を変えない。


「……いかにも。そちらはアーメリアの騎士様か。いつかお手合わせ願いたい」

(カッコ良い! 騎士様! デカっ! いや、胸ではなくあのロングソードのことよ! 私のような非力な者では、レイピアを扱うのが精一杯だもの、羨ましい!)


「うむむ。こやつ、絶対に何かあるわい」


 アマリアが色んな角度からローザを舐めるように見回す。


「……何です? あなたは」


「おっ、ようやくあたしを見たか。あたしはこの異世界を救うべく派遣された、ヒーラーの最高神……!」


「派遣……? 舐めていますの? この異世界には十分な英雄がいますわ、それを、派遣ですって?」

(この子、いじりがいがあるわね。たっぷり可愛がってあげますこと……!)


「うむむ、やはりあたしを見る目だけは、他とは違うわい! ムー!」


 アマリアが地団駄を踏む中、デル・アポロ中尉が旅支度と路銀を渡してくれた。


「帝国までは馬車で四、五日といったところです。なんとしても議会から必要な軍資金を引き出してくだされ! 前線のドリアル城は、帝国にとっても最重要拠点。太一殿の言い分は、きっと届くはずです」


 急性期、療養、そしてリハビリ。有事には兵士を救い、平時には民間に開放する総合福祉施設。


「太一は欲張りじゃのう」


「まあな。生きていたら自分でもやってみたかったことだし、現世じゃ医者の資格もなしに、こんな大それた施設を建てるなんて逆立ちしても無理だからな」


 馬車はゆっくりと帝都へと動き出した。


 果たして太一は、この異世界未曾有のビッグプロジェクトを成し遂げることができるのか。

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