第28話 決着!
御堂のA級0061機は、A級ペルセウスのロングソードを機体を捻るだけの最小の動きで躱す。
突進してきたA級ペルセウスの左肩と、A級0061機の右肩が接触しそうな距離に接近していた。
A級ペルセウスは、もう一度剣を見舞うための間合いを取ろうとする。脚部スラスターが最大推力で稼動し、赤い砂塵を舞い上げた。
刹那。
後退しようとするA級ペルセウスよりも一瞬だけ早く、A級0061機が打刀を振り下ろす!
舞い上がる赤い砂塵に、光粒子が混じる。
……ガキン!
機体からのフィードバックに、御堂は手応えを確信する。
降り積もった柔らかい砂塵の上に、重そうな金属塊が転がっていた。
ペルセウス型重甲機兵の標準武装であるロングソード……その柄を左右の掌が握っている。
A級0061機が振り下ろした打刀は、A級ペルセウスの手首の辺りを見舞ったのだ。そして、剣を握る両腕ごと切り落としていた。
……何が起こった?
A級ペルセウスのパイロットは、自機に起こった事柄を理解するのに数瞬の時間を要してしまう。その数瞬は、A級0061機が再び打刀を構え直すには十分だった。
左脚を軽く引いながら腰を沈める。両手で握る打刀を真っ直ぐ横一文字に引き絞り、機体の上半身に弾機を溜める。
「これで終わり!」
左脚の踏み込みと共に、溜めた弾機が弾ける。
機体の腰を軸にして上半身、肩、腕そして握られた剣が反時計回りに回転していく。最大限の遠心力を乗せた剣先が、A級ペルセウスの腰を目がけて一閃された。
……キン
鋭い斬撃は、さしたる音も発さなかった。A級0061機の打刀は、A級ペルセウスの中空装甲を斬り裂いて内部の主骨格を砕いていた。
……キンキン……キンキン
……キンキン……キンキン
機体に生じた異常事態に安全装置が作動……主動力のZCF機構が緊急停止される。鋼の巨体は、無機質な冷却音だけを響かせていた。
『A級ペルセウス、機能停止しました』
しかし、A級ペルセウスは倒れなかった。
両腕を失った状態でも、A級0061機を前に仁王立ちしたままだ……その気迫に、御堂は息を呑む。
A級ペルセウスのバックパックから、信号弾が撃ち上がった。
『敵側各機への撤退命令です』
信号弾を確認した連邦勢力のB級ペルセウスは、動揺しつつも後退を開始する。ラインゴルドのB級ジークフリードは、それを敢えて追うつもりはないようだった。
『A級のパイロットは、投降の意思は示していません』
「……ん」
戦闘終了の後で機体は鹵獲されるが……パイロットが自死しているのが確認される。




