第24話 連携
『敵・A級ペルセウス、距離を詰めて来ています』
青柳の報告で、御堂はサブ・スクリーンの文字情報をチラリと覗き込む。ちょうど「50」の数字が「49」に変わった。
(敵との距離49メートルか)
まだ十分過ぎるほどに距離はある。慌てる必要はないと判断し、補助カメラの映し出す周囲の状況をサブ・スクリーンで確認しておく。
左方向120メートル地点で行われたB級同士の戦いは、既に終わっていた。A級ペルセウスの撃破に動揺した隙を、ラインゴルドのB級ジークフリードは見逃さなかった。B級ペルセウスは、膝を付いて動かなくなっている。
右方向160メートル地点では、B級ペルセウスとB級ジークフリードが剣で激しく打ち合っている。双方とも一進一退の攻防に見えた。
そして、後方30メートル地点での戦い……二機のB級ペルセウスを、二機のB級ジークフリードが足止めをしている。
「後方のB級ペルセウスは、最初のA級ペルセウスを補佐するために出て来た機体だよね。だったら……あの二機の狙いは、あたし達のA級機体だよね?」
『はい。敵側で信号弾は撃ち上げられていませんから、出撃当初の目的が継続されているはずです』
後方のB級二機を気遣いながら、A級を相手にするのはキツい……御堂の脳裏を不安が過った。
『繰り返しますが、A級ペルセウスだけに集中して下さい。A級二機を想定したシミュレーションは、既にラインゴルド陣営とは打ち合わせ済みです。ラインゴルドのB級ジークフリードが、後方の二機を必ず足止めしてくれます』
御堂の不安を察したように、青柳の指示が飛ぶ。
どうやら青柳は、ラインゴルドへの根回しまでしてくれていたらしい……その指示に、御堂は安堵を覚えると同時に「勝利への確信」を得た気がする。
(そう……そうだったよね)
仮配属でいくつかの実戦に参加した士官候補生の時も、一人で戦ったことはない。常に部隊での一員としての軍事行動だった。士官候補生ながら突出した撃破数を上げられたのも……仮配属で所属する第2戦団の重甲機兵が、優れた連携で敵機を牽制してくれていたからだった。
今は唯一機で第4戦団から派遣されてはいるが、ラインゴルド傭兵機団は能力も信義も、信用してよい相手である。
「了解。味方を信用しろってことね」
根が単純な御堂は、安心すれば「頭の切り替え」も早い。
A級0061機の機械眼球が、改めてA級ペルセウスに向く。後ろに引いている鋼の右脚が踵を上げて、その爪先が『赤龍の洞』の赤い砂塵を踏み締める。




