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冷酷なるジャスティス、赤塵に舞う -機兵戦記-  作者: 星羽昴


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第20話 三度、赤龍の洞

 一週間が過ぎる。

 御堂と青柳のA級0061(ジークフリード)機の修理は終わり、二人は赤龍の洞の部隊に合流した。

 この一週間に、赤龍の洞では二度の戦いが行われ、遠江《とうとうみ》州防衛隊のジークフリード型重甲機兵は既に全機が破壊されていた。

 遠江州防衛隊パイロットでの生存者は、御堂が助けた一人だけである。



 そして。

 御堂は機体のCユニットでやるせなさ(・・・・・)に奥歯を噛み締めながら、連邦勢力のペルセウス型とラインゴルドのジークフリード型重甲機兵の戦いを見ていた。

 白いジークフリードと剣を交える緑濃色のペルセウスが、いつにも増して憎らしく思える。


『A級ペルセウス、出て来ました!』


 ヘッドセットの青柳の声が、御堂の耳朶を打つ。


「了解!」


 青柳が予測した通りのタイミングで、敵陣からA級ペルセウスが現れる。



 遠江州防衛隊のジークフリード型重甲機兵が、前衛に出て戦っていたのは「時間稼ぎ」であったと推測される。

 何の時間を稼ぐのか?

 連邦勢力軍の増援を待つ時間である。騙し討ちに失敗したのであれば、力尽くでA級重甲機兵を排除しようとするはずだと青柳は予想していた。

 連邦勢力の後方に配置される戦力と補給線の長さから、今日と言う日時をはじき出す。



 A級0061(ジークフリード)機の右手が打刀《うちがたな》を引き抜く。同時に、装甲の隙間から光粒子が吹き出された。

 ジークフリード型特有の、機体に発生する熱を光に変換して排出する光排熱機構である。この機構により、素体の熱膨張による物理的抵抗と電導効率低下が大きく抑制され、ジークフリード型重甲機兵は長時間の安定した継戦能力を実現する。



 A級0061(ジークフリード)機が抜刀したことを確認した前方のB級ジークフリードが、その進路を空けるように移動する。


『ラインゴルドが進路を空けてくれました。一気に突っ込んで下さい』


「言われなくても!」


 A級0061(ジークフリード)機が、引き抜いた打刀の柄《グリップ》に両手を添える。その剣を右に寝かせながら、右脇に回した。

 鋼の、巨大な左脚が踏み出される!

 同時に脚部と腰部のスラスターが点火し、機体の重力を相殺する。

 舞い上がる砂塵が、A級0061(ジークフリード)機の腰から下を覆った。


「行くわよ!」


 鋼の右脚が大地を蹴る!

 背面バックパックの主バーニアが青白い焔に輝き、およそ100トンの機体が滑空し始めた。


『A級ペルセウスの左右にB級!』


 予想された陣形⋯⋯青柳の報告を聞くまでもなく、御堂もCユニットの主スクリーンで認識していた。

 A級0061(ジークフリード)機の機械眼球が、B級ペルセウスの後ろに下がったA級ペルセウスを捉え、右眸を嗅がせる。

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