第15話 道連れ?
帝国は、複数の都市国家が連合して一大勢力を形成している。直轄で統治を受ける都市は直轄領あるいは中核都市と呼ばれ、同盟関係で連合に参加する都市は自治領あるいは外殻都市と呼ばれる。
遠江州は、御堂たちがショッピングに出た嵯峨州と同じ外殻都市であった。
「確かに、遠江州は帝国の外殻都市でした。しかし、先に連邦勢力の侵攻を受けた際に無条件降伏し、現在は連邦勢力の支配下にあります」
それなら、やはり帝国民ではないか……「敵の侵攻に晒された同胞を助けるべき」だと、御堂は思う。しかし、ベルーナの考えは異なる。
「遠江州防衛隊は、敵勢力の一部として赤龍の洞へ攻撃してきたんです。敵対する戦力を撃破するのは当然の対応です」
「……にしても、パイロットには投降を勧告とかできたはずです!」
御堂の抗議に、ベルーナの顎がかすかに上がる。ベルーナの双眸が、御堂を見下すかの如く細くなった。そこには軽蔑の色が浮かぶ。
ベルーナの声が低く、ゆっくりになった。
「先兵として使い捨てにされる遠江州防衛隊のパイロットを捕囚したとしても、身代金は期待できません。端的に、撃破を優先した結果です」
「だから! お金じゃなくて、人の命の話じゃないですか!」
御堂とベルーナの論点は、噛み合わない。苛ついた御堂は、思わず声を荒げてしまう。ベルーナのこめかみがピクリと動いた。
「敵パイロットの生存に配慮して、味方に被害が出るリスクを高めるわけにはいきません。軍事的にも正しい選択だと思います」
……味方に被害が出る。その言に、御堂が言葉に詰まる。
「ラインゴルドは傭兵組織なんです。傭兵同士の戦いであれば、互いに被害を出さないよう暗黙の了解もありますが……遠江州防衛隊は正規軍なんですよ。正規軍を相手にする以上は、我々だって本気で戦わざるを得ません」
「……でも」
何とか反論しようとする御堂だが、口に出す言葉が見つからない。
「先日の、御堂少尉の戦闘記録を確認しました。青柳少尉の命令を無視したために、A級0061機は左上腕部を損傷したのですよね」
「……」
「その後にも……投降した敵パイロットが、B級ジークフリードを自爆させていたらどうなっていたと思いますか?」
それは有り得ない……そう直感しての行動だった。
「量産品のB級機体の自爆で、格上のA級機体を損壊できたら大金星なんですよ。それに……貴女が、間抜け行為で命を落とすのは自業自得ですが、Sユニットには青柳少尉もいるんです。貴女の命令違反に、青柳少尉も道連れにするつもりだったんですか?」




