83、強者の情報
「はあはあ、生きた心地しなかった……」
敵を殲滅してミッションをクリアした結果、軍の本拠地の兵器開発所の前までにワープしたリダは、床に転げるように崩れ落ちる。
「ミサイルにくくりつけられて、発射される感じだっただろ」
「ああ、少なくとも人が乗るものではないのは確かだ」
「そう入っても俺が残りの敵を倒すまで墜落しなかったじゃん」
ナナサカの予想ではリダは墜落して瀕死とはいかなくても、HPバーを半壊させると予測していた、しかし実際は墜落することも、錐揉み回転することも、戦場領域を区切るゲーム都合の壁にぶつかる事はなかった。
「墜落しないように必死だったけどな、そしてミッションクリアと同時に燃料尽きて、怖かったからな?」
「あ、燃料切れとかあるんだ」
「あるぞ……普通は燃料切れなんてAEDの世界ではまずあってないような物だけど……何なん、あのミサイルバイク、怖いくらいの速度で燃料メーターへるじゃねーか、なんなん、巨大ロボのフェオウルペオース用の動力装置でも組み込んだんかあれ」
リダの怒りの声が迸る、それだけエアバイクスカイジエンドがとんでもない代物だったとナナサカは理解する。
「エアバイクに巨大ロボの動力装置なんて積載量的に無理があるだろ、ともかくエアバイクスカイジエンドカスタムは封印したほうが良いなこれ」
「ああ、封印どころか売っちまえ、ジエットコースター愛好家なら買うかもよ」
エアバイクスカイジエンドカスタムに振り回された精神的ダメージから回復したのか、リダは立ち上がる。
ナナサカはリダの言葉に手放す選択肢が頭を過ったが、せっかくのイベント景品なので、保存することにした。
「……大丈夫? リダ様?」
「え、あ!? 大丈夫だ!」
そんな中、マトラが不安げにリダを見ていた事に気付いたリダは平静を取り繕う。
「会話からして、もしかしなくても、あのとんでもないバイクに乗ったのね、貴方達、頼むから危ない遊びをして死なないでね、貴方達レベルの戦力が事故で死んだら、地球人はそのまま壊滅する可能性が跳ね上がるんだからね?」
「俺等を過大評価してないか? 確かに俺とリダは一騎当千位は出来るけど、流石に2人居なくなるだけで地球人壊滅は言い過ぎだぜ? 探せば俺等並みに戦える人は結構いると思うぞ」
ナナサカは自分だけが強いという考えを持ってなかった、リダの説明からして、このAEDの世界はミッションをこなす程ステータスが上がるシステムになっている。
どれだけステータスが上がるかは数値としては伏せられて居るが、まだそこまでミッションを受けてない自分はまだそこまで強くなってないはずだ、現状敵を殲滅出来ているのは現実で鍛えたリアル戦闘スキルとRSシステムの影響が強いのだろうとナナサカは考える。
そして他プレイヤーはナナサカやリダと違ってもっと色んなミッションをクリアして強くなっているだろう、そんなプレイヤーなら、自分達と同程度の戦力になるだろうとナナサカは考える。
「そうかしら? 貴方達みたいに強い兵士の情報ならば、士気の向上も兼ねて、情報垂れ流しされると思うけど聞いたことないわね」
「え? リダ、そうなのか?」
「俺に聞くなし……いやまあ、心当たりはあるが、ナナサカこっちに来い」
ナナサカに手招きされて、ナナサカはマトラから距離を取りリダに近づく。
「……多分だけど、ワールドミッションをクリアしないと、そんなにNPCに認識されないんだと思う、まあ他にも要因はありそうだけど……」
「他の要因? どんなの?」
「……俺も自己蘇生装置を課金で買えなくなったから、多分死亡判定絡み」
「…………はい?」
ナナサカとリダの間に無音が数秒続いた。




