8、救助乗車
「大丈夫? 今助ける!」
ハーフカットヘルメットのプレイヤーがナナサカに触れると、ナナサカのHPバーは半分復活する。
「ありがとう……済まない、確か蘇生時は君もHP半減するんだったよな? 大丈夫か?」
「大丈夫、HPは0にならなければ敵が落とす回復アイテム拾えばいいだけだから、もし戦いに自信ないなら戦車の副座席に乗る? マシンガン使えるから、撃ち切るまでは活躍出来るよ」
まさかの共闘の誘い、しかしナナサカは戦いに自信がないという言葉にムッとしてしまった。
ナナサカはこのゲームでの戦いに慣れてないだけで、現実の戦いは幼い頃から、ナナサカに誘われて、別のVRゲームで非現実的な戦いもある程度積んでいるのだ。
このまま戦いに自信がないと思われるのはナナサカは嫌だった。
「済まないヘルメットのプレイヤー、もしかして巨大カマキリてヘッドショットすればその分早く倒せたりするのか?」
「え……えーーと、クリティカルやヘッドショットの概念は確かあったはずだよ」
「わかった、なら後は大丈夫です、さっきは自滅したけど、戦いには人よりも慣れてますので」
ナナサカはそう言うと、縮地消音歩でロケットランチャーを拾い直して信号機型グレネードランチャーを投げ捨てる。
「へ、なにあの移動…………バグ?」
ハーフカットヘルメットのプレイヤーが困惑する声を背にナナサカは1歩1歩で瞬時に数メートル無音でスライドするように移動して巨大カマキリに肉薄する。
「そこ!」
跳躍したナナサカはふわりと減速しつつカマキリの頭上ギリギリを通りながらも、アサルトライフルを撃ち出す!
ズダダダダ! とアサルトライフルから放たれた弾丸は至近距離の巨大カマキリの頭に吸い込まれる。
どれだけ撃った弾がそれるとしても、至近距離ならば頭に当たらなくても胴体に当たる場合もあるし、そもそも至近距離故に殆どの銃弾は頭に吸い込まれた。
「うお!? 前見えね!?」
ナナサカの視界いっぱいに紫色のエフェクトが散らばる、敵を撃破したエフェクトだ。
しかし視界不良でもナナサカは華麗に地面に着地する、その頃には紫色のエフェクトが消えて、巨大カマキリも消えて、目の前に回復マークと思われる物が描かれた箱が地面に落ちた。
「これ回復アイテムか!」
ナナサカが回復マークの箱に触れると、箱は消滅して、視界端のHPバーが9割になるほど回復した。
「効率は悪いけど、武器が弱い以上、これで1体1体潰す!」
ナナサカは作戦を定めて巨大カマキリを攻撃し始める、囲まれても跳躍して巨大カマキリの頭上を取ることで攻撃を回避したり、空中でアサルトライフルからロケットランチャーに持ち替えて、撃った反動で少し移動して攻撃を回避したりと器用な立ち回りを見せる。
「後はアイテム回収!」
そして巨大カマキリから出た装備箱に触れてすぐさま回収、もうその場で開けず回収する、ナナサカはもう先ほどのように性能がわからない兵器を手にして自爆はしたくなかったのだ。
しかしナナサカの戦いには問題があった、それは武器の火力不足による殲滅力の低さだ。
ナナサカは知らずにやっているが、本来のこの緊急ミッションはある程度ミッションをクリアしている事が想定されている、そして難易度にEasyとNormalが選べたが難易度Normalは装備している兵器がある程度整っている事前提の難易度だ…………。
故に初期装備のアサルトライフルでは倒す事は出来ても時間がかかってしまう。
それに伴って起きる現象が1つあった。
ドカーン! と視界端に映った戦車が砲撃して、ナナサカが戦っている巨大カマキリを2体吹き飛ばした。
ハーフカットヘルメットのプレイヤーが運転している戦車だ。
「後ここだけだよ、頑張って初心者さん!」
「わかった!」
助太刀が来るのだ、1人で何とかしようと思っていたナナサカ的にはなかなか悔しい話である。
「これで終わりだ!」
「あ、1体になったら手を止めて!」
ハーフカットヘルメットの静止も叶わずにナナサカは既にロケットランチャーを撃ち、最後の巨大カマキリの脳天を爆発させた。
「ああ、早く装備箱集めて!」
「へ?」
慌てるハーフカットヘルメットのプレイヤーの言葉にナナサカは意図を把握しきれなかった。
そして目の前にミッションクリアの文字が現れる。
そしてここでナナサカは装備箱集めてという言葉の意図を理解した。
ミッションクリアしたら戦場で未回収の装備箱は手にはいらないと。
ナナサカは慌てて回収に走ろうとしたが、時すでに遅く、ナナサカは戦場に出る前の拠点みたいな所に飛ばされるのだった。




