74、完全防衛?
「しかしこれで完全防衛成功かな?」
ナナサカは視界上部に浮いている防衛対象の研究所の耐久値バーを確認する。
ナナサカやリダのHPバーと違い、1ミリも削れず、100%の文字が浮かんでいる。
「ああ、ありがとうな、ナナサカ、あそこで不完全とはいえ七凪で怯ませてくれて、怯みがなかったらあそこで斬るより早く放電されて、負けてたわ」
「正直もう放電は食らいたくないな……痛いわ……」
「痛いだけで済んでる時点で、メンタルやべーよ、ダメージフィードバック機能強は基本的に8割HP削られると、常人ならば暫くのたうち回る程度に痛いと聞くんだけどな……」
ナナサカが放電の感想を漏らすと、リダが呆れる。
「リダはダメージフィードバック機能強めてないんだっけ?」
「幾ら成長スピードが上がるからといって、痛い目にあいたかねーよ、さっきの放電攻撃、巨大ロボの中にいた俺にも貫通してきたけど、ダメージフィードバック機能デフォルトでも結構ピリピリして痛かったからな?」
「防御技術は卓越しているのに肉体は貧弱だなーー」
「お前の求める肉体の基準、絶対人類の上澄みの上澄みだからな? まあ、そんな事は置いといて、ワールドミッション2つ目クリアだな……くく、ケルン一等兵の次はあの子と交流する形になるのかな?」
ナナサカの言葉に呆れつつもリダは少し嬉しそうだった。
「お? 念願の女の子との交流が嬉しいのか?」
「まあな、このゲームのNPC基本的に男性しか居なかったからな……ケルン一等兵と同じように交流出来たら楽しいだろ」
リダがそう言っていると、2人は軍の本拠地へワープする。
『ワールドミッションのクリアによって、戦況が変化しました』
ナナサカはワールドミッションをクリア事で流れる放送を聞きつつもリザルトを確認する。
「あ、称号に完璧な守護者というのが手に入ってる」
「防衛ミッション完全成功のやつだな、うーーん、こっちの装備箱はハズレか、ナナサカはなんか手に入った?」
「えーーと、なんか強そうなロケランと特殊兵器枠で、身に付けると敵のダメージを軽減するけど代わりに重いから機動力が落ちるらしい防具出た……というか特殊兵器枠で防具あるんだ」
ナナサカはリダの質問に答える、見た感じどちら高レベルなのだが、ナナサカ的にはぱっとしない兵器だった。
「うーん、ナナサカなら防具系兵器着てもそんなに機動力下がらないと思うけど、高難易度になると割と致命的になるかもね」
「ああ、そうだな、そもそも俺の防御は基本的に刀で相殺だったり回避がメインで、防具に頼る可能性低いからそれならエアバイク対空カスタムしたほうが良さげなんだよな」
つまりナナサカもリダもこれと言ったあたり兵器には恵まれなかったみたいだった。
しかしリダは上機嫌だった。
「リダ、さっきの彼女を探すぞ!」
「探すと言っても名前聞いてないよな?」
「あ……で、でも明らかに特殊なNPCだから、探せば軍の本拠地に居るはずだ、ケルン一等兵お同じように」
リダはそう言って辺りを見渡す、最も見渡すだけでは全域を確認出来ないが、少なくともリダの視界範囲に女性研究者の姿は見当たらなかった。
「よし、ナナサカ、研究所捜索手伝え」
「はいよ……と言いたいけど俺は顔をしっかり見てないから、そこまで捜索の力に慣れないぞ」
ナナサカの頭のなかには女性研究者の声と大まかな体格位しか記憶出来てなかった、それだけ切迫した戦いだったし、記憶する余裕があの時のナナサカにはなかった。
「そこは俺がしっかりわかるから安心してくれ!」
リダは意気揚々と、ナナサカを引き連れて、軍の本拠地を歩き回ったが……。
女性研究者の姿は見当たらなかった。
「……今日はもういいや」
リダは投げやりにそんな言葉を口にするとログアウトしていった。
「すねちゃったな……明日もやるのかな?」
ナナサカはこれでゲームやめなきゃいいけど、と思いつつもナナサカ自身もログアウトするのだった。




