71、坂滑親友
ナナサカは反射的に身を屈めてしまう、剣士としての防御反応、或いは爆死する女性を観たくなかったか。
「あれ?」
しかし爆発音が聞こえずに、再び研究所の屋上をみた瞬間、上空から爆殺音が聞こえる、そんな中ナナサカが見たのは女性研究者を守るように立つリダの姿だった。
「は?」
ナナサカは今起きた出来事が理解出来なかった、さっきの上空の爆発は南から飛んできたミサイルでリダが受け流したのだろう、そこは分かるし、自分の奥義も受け流す、リダの坂滑なら可能という確信がナナサカにはあった。
そして自分が身を屈めた後にギリギリでリダが割り込んで女性研究者を救ったのも、ナナサカは理解出来た、あの時リダの位置を確認出来て無かった為、近くに陣取っていたなら、問題無く守れるとナナサカは納得する。
だが1つだけ理解出来ないことがあった、坂滑は刀技、そして技術の流用で性能を落として剣技で使うのは精々だ。
だがリダの兵種、誘導爆撃兵の装備枠はナナサカの戦場歩兵と同じ武器枠2つに、乗り物を要請出来る特殊兵器枠1つだ。
そしてリダの装備状況は通信機を持ったサテライトレーザーに、ビーコンを撃って着弾地点に空からの砲弾を降らせる銃、特殊兵器に巨大ロボフェオウルペオースだ。
刀どころか剣すら持てない状況だ、装備箱を現地で開ければ、刀を手に入れられる可能性はあるが……そんな都合よく出てくる可能性は極めて低い。
「ま、まさか……銃で坂滑を!?」
ナナサカは震えた声で呟く、不可能だ、ナナサカの脳内にはそんな考えが過ぎる、剣坂流を知り……リダの坂滑の再現に滅茶苦茶苦労したからこそ受かんだ考え。
ナナサカが震えていると、リダと女性研究者の会話が聞こえる。
「……無事かい、ジーニアスガール?」
「は、はい!」
ナナサカは確信する、リダがカッコつけているのを、華のある女の子を救えて調子に乗っているのが長い付き合いであるナナサカには手に取るように分かった。
「ジーニアスガールて…カッコつけすぎだろ、リダ……でもそれ相応の事はしたか」
ナナサカの声は女性研究者には届かない、女性研究者が知覚出来ていたか分からないが、ナナサカが北の一方角をカバーしていたが、リダは巨大ロボも活用して、驚異の三方角の防衛を成し遂げたのだ、そして女性研究者の前で最後のミサイルを受け流し救助、ナナサカの視界上にある研究所の耐久度を示すバーに変動なく100%の数字が浮かんでいて、完璧防衛を示していた。
女性研究者は完全に恋する乙女の顔をしている、ナナサカは良かったなーー、と思っていると、目の前にWarningの文字が現れる。
それはケルン一等兵を助けた際に発生した文字と同じ物だった。
「こいつは……ワールドミッションというやつか!」
ナナサカは己とリダの状態を確認する。
ナナサカのHPは瀕死なりかけ状態、リダのHPは7割位、リダはまだ継戦可能だが、ナナサカは危険領域だ、幸い体の痛みは足に突き刺さっていた刃片を取り除いたら消えたが、もう被弾が許されない状況だった。
「回復箱取らないと……」
ナナサカは研究所の防壁の上から回復箱を探そうとするが、それよりも先に敵を見つけた。
ズシーン、ズシーンと現れたのは巨大怪獣だった、いつぞやナナサカがエアバイクジエンドカスタム(爆弾山積み)で特攻したのと同じ種族に見えるが、難易度の違いか、その身体は特攻した時と違い、体格は大きく、力強く手強そうに、ナナサカの目には見えた。
「あのデカブツ1体だけなのは不幸中の幸いか?」
「ナナサカは散らばっている回復箱で回復を、俺は……取っておきであの巨大怪獣に応戦する」
「分かった、なんなら倒してくれても構わんぞ、後で最後のミサイルを坂滑で受け流した件、聞かせてもらうぞ!」
リダの取っておきがなんなのか察したナナサカは、リダに巨大怪獣を任せて回復箱を取りに研究所の防壁から飛び降りた、そして地面に着地する頃、ミサイル群を受けて、ボロボロの巨大ロボ、フェオウルペオースが動き始めた。




