50、夜継続
「ふう、視界不良の夜に放り込まれた際はどうなるかと思ったが……なんとか切り抜けられて良かった」
最後の巨大機械鳥を斬り裂き、一息つく。
流石のナナサカも視界が僅かな中飛び回って疲れたのか、肩で息をしていた。
「結局バイクまた乗らなかったな……」
ナナサカはそう言っていつの間にか届いていたエアバイクに近付く、エアバイク対空カスタムは敵に攻撃されなかったのか、新品なままだ。
「もうそろそろ戻されるだろうし、ちょっとだけ乗るか」
エアバイクに乗り、エンジンをかけると、ライトがつき、前方が照らされる。
そこには廃工場……ではなく、白黒の巨大シャコがいた!
「うわ!?」
ナナサカは驚いた勢いで、アクセル全開にして、白黒巨大シャコに向かって全力ダッシュしてしまう!
「ぐう!?」
次の瞬間、白黒巨大シャコの高速シャコパンチがナナサカとエアバイクに当たり、ナナサカはエアバイクもろとも上空に打ち上げられる。
シャコパンチはナナサカの左足に直撃して、ナナサカは激痛を味わい、視界端のHPバーが半減する。
そして気付く、HPバーの下に見知らぬゲージが出ているのを、そのゲージの上からはエアバイク対空カスタムと書かれていたので、ナナサカはエアバイクの耐久値だと気付く、ゲージの短さ的にはもはや半壊状態だった。
左足が痛み、エアバイクと共に横回転する中、ナナサカはエアバイクのハンドルを捻り、空中で急発進させる、エアバイクにバランスを取るシステムがあったのか、横回転はぴたりと止まり、空を滑空し始めた。
「くそ、散々空飛ぶ大型機械鳥による機関銃乱射攻撃で疲れさせておいて、ここにきて迷彩とか殺意高すぎるだろ!」
ナナサカが上空からエアバイクで滑空しつつ、白黒巨大シャコを視認すると、白黒巨大シャコにロックオンマークがつく。
更にナナサカはエアバイクのハンドルの側にミサイルのマークが書かれたボタンが点滅しているのを見つけた。
「くらえ対空ミサイル! ……対空と言いながら地上相手に使えるのかよ!」
ナナサカはそんな事叫びながらボタンを押すと、背後から熱を感じるとともにボボボボ!とミサイルが4発、発射されたと思えば、垂直に跳んでから白黒巨大シャコに向かって落下していく!
「ウオ、他にも巨大シャコが居る…厄介だな、ミサイル足りるか?」
ナナサカの視界端にはエアバイクに搭載されているミサイルの残数が表示されているが、心許ない。
「まあ、いいや! 使い切ったら降りて斬ればいいし、なんならアサルトライフル撃てばいいか、エンジンつけっぱにしてエアバイクのライトを明かり代わりにすれば十分戦える」
ナナサカはそう判断して再びミサイルを地上にいる白黒巨大シャコに向かって撃ちまくる。
そしてミサイルを撃ち尽くして、エアバイクの滑空も巨大シャコパンチが届く頃になる頃にはナナサカは5匹の巨大シャコに囲まれる。
「暗闇ならピンチだったけど、エアバイクのライトがあれば問題ない!」
片手でエアバイクをアクセル全開までハンドルを握り、運転しつつ、もう片方の手はアサルトライフルを握る。
「曲乗射撃というやつだな!」
巨大シャコの間を通り抜けつつも、アサルトライフルの弾丸をばら撒く、狙いはつけてなかったが、運はナナサカに味方して、1体に大量の弾があたり、撃破する。
そして包囲網を突破してUターンする。
「さて、その外皮からして明かりのない深夜での闇討ちに特化した敵みたいだけど、見えてる以上、こっちのもんだ!」
ナナサカはエアバイクを起動したまま降りる、エアバイクは倒れるが前方を照らすライトは付いたままで、白黒巨大シャコを照らす。
そこからはナナサカを傷付けられる存在は居らず、白黒巨大シャコはナナサカを傷付けることなく、三枚おろしにされるのだった。
「これでここら一帯の敵は斬り捨てられたかな?」
『とんでもないな……こんな夜中の状況で辺り一帯の化け物鳥を殲滅するとは』
ナナサカの耳に通信越しで震え声が聞こえる、階級管理者の声だ、ナナサカは丁度いいやと気になったことを口にする。
「すみません、なぜ夜に送り込んだか聞いていいか?」
『君が倒した巨大機械鳥は明るい間はより連携を取り、超遠距離から機関銃を集中砲火する恐ろしい存在だ、幸い夜だと連携力や射程距離が落ちるから、夜に作戦決行になったのだ、最も1人の剣士で事足りるとは到底思えなかったが、名はなんという?』
「ナナサカ、流派は剣坂流だ、今回位の敵ならば別に昼の方が狩りやすいから次は昼で頼む、あ! リダの下にしかつかないからそのつもりで」
ナナサカは自己紹介しつつも、更に難しい依頼を出すように言うと、階級管理者は笑い声を通信で響かせる。
「どうやら実力も慢心もとんでも無い兵士が入ったみたいだな、覚えておこう、ナナサカ!」
そんな階級管理者の声がナナサカの耳を揺らすと同時にナナサカは軍の本拠地に転送されるのだった。




