49、2階級特進ノ夜
出撃してナナサカが降り立ったのは、人気すらない廃工場地帯だった、しかも夜で月明かりしかなく、先があんまり見えない。
『ほお、君が今回の無謀な挑戦者か』
ナナサカの周囲には人は居ないが、耳元で傲慢な感じで、敵対的に聞こえる声が聞こえ、目の前にメッセージ画面が現れる。
「誰だ?」
『私は階級管理を任された者です、階級や力によって、兵士達を適切な戦場に送るのが私の仕事です、今回は私自ら作戦概要を説明します』
「何かすごく偉そう」
ナナサカの言葉は階級管理者には聞こえてないのか作戦概要の説明が始まる
『今回2階級特進を望む馬鹿にこなしてもらうのは、この廃工場地帯に潜む巨大生物や敵対兵器の殲滅です、本来は複数人でこなす前提の敵対規模ですが、2階級特進をするならば、この程度の事に簡単にこなせますよ? まあ、仮に瀕死になったとしても、貴方達は心が折れるまで自力で生還出来るのはしっています、精々頑張るといい』
「瀕死になっても自力で生還出来る?」
階級管理者の言葉にナナサカは疑問を抱く、まるで自分と階級管理者は別の存在だと言わんばかりの言葉だった。
「うーん、プレイヤーとNPCの違いと言う奴を知っているのか?」
ナナサカの考えは明確な答えが出ず、ナナサカの目の前には、シンプルな作戦成功条件として、敵全てを殲滅する事がシステム画面で表示される。
「まあ、いいや、細かい考察とかはリダの領分だし、俺は敵を全て斬り伏せるだけだ……と言いたいけど敵はどこだ?」
暗すぎて先が見えないせいで敵を視認出来ないナナサカ、現実世界ならスマホ等の携帯端末に付いているライトで周囲を照らせるが、VRゲームの世界にスマホは持ち込めない。
「あ、そういえばエアバイクにライトついていたよな、外だし要請してみるか」
ナナサカはエアバイク要請用発煙筒を取り出して転がしてみる、すると次の瞬間、目の前に赤いランプ大量に点灯する、その結果、周囲がある程度明かされる。
「なるほど、これはhardモード超えて地獄と言われても少し納得だな」
ナナサカの目の前には口から機関銃が生えた大型の鳥が複数いて、その機関銃すべてがナナサカを向いていた。
赤いランプは大型鳥の目だった。
バーーーー! と弾丸の雨がナナサカに向かって放たれる、ナナサカは暗い中、縮地消音歩での高速移動攻撃を回避するが……。
「ちい!?」
夜の暗がりが縮地消音歩での数メートルの移動先を隠す、高速移動をする際に着地点、足元が目で知覚出来ないのは致命的だった。
ガッと、ナナサカは縮地消音歩での移動先の段差に躓き、ナナサカの体は前のめりに勢いよく体勢を崩す。
そこを狙い撃つように弾丸の雨が放たれる。
「まだ!」
体を捻り片足で地を蹴り跳躍、そこから空歩で高所にいる、機関銃を放つ大型鳥の側面を取る。
妖刀による一閃が大型鳥の翼を断ち切る、切断面からバチバチと機械の配線がナナサカの視界に入る。
「機械なら仕留め損ねたか!」
大型鳥が機械ならば、手足を切断しただけじゃ止まらないのはナナサカはなんとなく察している、実際片翼を切断された巨大鳥の機械は機関銃を未だにナナサカに向けている。
バーーーー! と再び放たれる弾丸の嵐、ナナサカは空歩で床に着地して、再び縮地消音歩で弾丸の嵐を避ける。
「は、暗いがその程度で俺を止められると思うなよ!」
じわじわと夜の暗さに目が慣れたのか、僅かだが視野が広くなる。
そして更に巨大機械鳥が機関銃を撃つことでマズルフラッシュが発生することで、敵の位置を把握する。
「剣坂流、木断ち!」
次なる巨大機械鳥に向かって横一閃、巨大機械鳥を胴体から真っ二つ、その一閃で、巨大機械鳥の重要部位が切断されたのか、爆発四散する、その爆発によって生じた光で一瞬だが、ナナサカの視界が周囲の地形を認識する。
「地形さえ把握すれば後はこっちのもんだ!」
そこから先はナナサカは一筋の弾丸となり、巨大機械鳥の口に付いている機関銃が放つマズルフラッシュを元に巨大機械鳥に肉薄して切断。
そこら一瞬で空歩で距離を取り、爆発で周囲を把握、そこから更に巨大機械鳥を斬りに向かうとうムーブを続け、真っ暗な廃工場地帯をかけるのだった。




