45、抜け道
「……成る程まさかケルン一等兵の装備枠を使って受け渡し出来るのか、明らかに挙動がバグじみているんだけど、BANされないか、俺達?」
ナナサカは木刀を手に入れた、手に入れた方法は、まずリダがケルン一等兵に兵器を渡すシステムで木刀を装備させる。
そして次はナナサカがケルン一等兵に適当に兵器を渡して、木刀の装備を解除させる、するとケルン一等兵が装備していた木刀がナナサカの所持兵器一覧に入ったのだ。
「まあ、悪用しまくったらBANだろうね、だからこういう目的で使うのは極力控えような」
「あの、さっきの奇妙な手順は何ですか? 悪い儀式とかじゃないですよね?」
木刀を装備することになり、ケルン一等兵が怖い物を見るような目でリダを見る、リダは少し可哀想なものを見る目でケルン一等兵を見る。
「悪い儀式というよりかは、これからケルン一等兵が強さと引き換えに滅茶苦茶にナナサカにボテクリ回される」
「ボテクリ回されるて何ですか!?」
リダの言葉にケルン一等兵は悲鳴をあげる、ケルン一等兵はリダのボテクリ回されるという言葉の意味は分からないが、少なくともいい目には遭わないのは察した。
「リダ、流石にそこまで理不尽な修行を課したりはしないぞ?」
「お前基準の理不尽じゃないは身体能力が人類の上澄みの上澄み基準だからな? 軍人の下っ端であるケルン基準だと、確実に理不尽レベルだぞ」
リダの言葉にケルン一等兵は顔を伏せてプルプルと震え出す、そして次に顔を上げた時には覚悟を決めた顔をした。
「わかりました! その理不尽な修行、こなしてみせます!」
「まじか、修行やる気なのか」
ケルン一等兵の言葉に驚くリダ、そんなケルン一等兵を見て、ナナサカはやる気を出す。
「よし、受ける気ならケルン一等兵が剣坂流の剣技を体得する……のはまだ早いから、まず生き延びる為の歩法、接歩を覚えれるように、頑張って指導するからな! 秘伝の道具がなくても、ケルン一等兵の頑張り次第できっと習得出来るはずだ!」
「お前も随分とまあ、やる気出しているな……普段の生徒の指導じゃそこまでやる気出さないだろう?」
「だって平和な現実だと皆そこまでやる気ないし、そもそも剣道という形でしか教えられないし、全力で力を渇望する人なんてそれこそ、ケルン一等兵みたいに崖っぷちの世界の人が生きたいから死ぬ気で体得しようとする生徒のほうがやる気出るものだろ?」
ナナサカがやる気を出した理由を口にする、フルダイブVRが一般家庭でも買えるようになった現代、地球全体で戦争は未だ消えないが、日本は平和そのものだったので、剣術を本気で体得したいという人はナナサカの周辺では全く居なかった。
「わかったよ、まあ俺は観戦させてもらうよ、見稽古の為に戦えは勘弁してくれよ」
リダがそう言うと、システム画面を操作する、すると3人は訓練場にワープした。
「RSを習得させるを選んだから、全力で教えてみせなナナサカ」
リダはそう言うと2人から離れる、ナナサカとケルン一等兵がそれぞれ木刀を手に対峙する。
「ケルン一等兵、今回の修行は簡単だ、俺の攻撃を全力で回避するんだ、それも回避行動で使っていいのはステップだけだ、しゃがむ、跳ぶのは今回は厳禁だ、最もしゃがむ、跳ぶで攻撃を回避出来ると思わないで欲しい、木刀を持たせたのは何となくだ、攻撃、防御好きに使え、まあ防御に関しては回避の補佐程度にする事をお勧めする」
ナナサカがそう言うと、ケルン一等兵は感じ取る、先程まで纏っていたナナサカの雰囲気が変わったと、それは近づいては行けない、戦ってはいけないとケルン一等兵の本能が叫んでいた。
ケルン一等兵は何度かナナサカの戦いを見ている、けど今目の前にいるナナサカは別物だった、そこでケルン一等兵は理解する、今まで見ていたナナサカは味方だったけど、今は絶対に勝てない敵、いや相手だと。
「頑張れケルン一等兵、そのナナサカは約10%位だから死ぬ気で頑張れば攻撃はギリ回避出来ると思うから」
「わ、わかりました!」
ケルン一等兵はリダのアドバイスというには心許ない助言を聞いてから、ナナサカに木刀を向ける。
「それじゃあいくぞ!」
ナナサカがそう言ってから修行が始まった。




