44、勝利、RS、刀
「うーん、極力街破壊しないように、されないようにしたら戦況が好転すると思って、ナナサカを呼び込んだけど……街ほぼ全損してるな」
鉄の箱の全てを破壊して、戦闘に勝利したリダの呟きが、通信システム越しにナナサカに届く。
「そもそもこの戦場に来た段階で街の大半の建物倒壊していたから、俺の実力関係なくどうしようもないんだけど?」
ナナサカの言う通り、2人が戦場に来た時点で市街地はほぼ壊滅的な被害を受けていた。
「うーん、街の壊れぐわいはゲームシナリオに関係ないのかな? 俺の考えは間違っているのか?」
「でもケルン一等兵を鍛えるミッションが出ているし、ケルン一等兵がもしかしたら俺達の命運を握っているかもよ?」
「まあ、確かにNPCを育てるミッションは他のサーバーの掲示板見た感じ、起きてないんだよ、だからナナサカの言ってることは十分にあり得るだけど……」
「だけど?」
ナナサカがリダの懸念点を聞こうとしつつも、その懸念点を考える。
弱さに関してはこれから鍛えればいい、乗り物重視のスキル構成にするなら2人で強力な乗り物兵器をミッションで探し集めればいいし、万が一乗り物が破壊されて生身になった場合は剣坂流の歩法、接歩で逃げ回れば、長時間生存は可能でその間に2人で敵を壊滅させればいいとナナサカは推測する。
しかしリダの懸念点は全く違うものだった。
「女性がよかった、男性とか男3人チームとか華がなさすぎてなんかやだ」
ナナサカはリダに向かってアサルトライフルを撃ちたくなったが、その前にミッションが終わり、軍の本拠地に戻されるのだった。
「お前たまに色ボケするよな」
「良いだろ別に、ゲームの中位、美少女を渇望してもさ!」
そんな欲望を口にするリダをチョップで軽く攻撃してもいいかなと、ナナサカはバイオレンス思考が過ぎるが、ケルン一等兵の声でそれは掻き消える。
「凄いです! あんな破壊の権化を手際よく破壊するなんて! ナナサカ剣士は流れるように敵の守りの脆い面に回り込んで斬り刻むし、リーダー少将は的確に爆撃指示をするし、人類の強さの極限です!」
ナナサカがケルン一等兵の顔を見ると、その表情はヒーローを見る少年のようにキラキラしていた。
ケルン一等兵は軍の本拠地で2人の戦いを見れていたみたいだった。
「俺達の戦い見れていたんだな、まあケルン一等兵にも、あれくらい出来るようになるよ」
「ナナサカ剣士、過度な期待は……その……」
「あんまりプレッシャーかけるな、バカナナサカ、そもそも接歩使えるの身内除いたら5人も居ないだろ、お前はもうちょっと自分が使っている流派の習得難易度自覚しろ」
ナナサカの期待にリダが嗜める、ナナサカはえーと声を出す。
「でもシステム的にケルン一等兵は俺かリダのRSを習得できるんだよな、なら剣坂流を覚えるのは不可能では無いはずだ、俺もリダも剣坂流覚えているからな」
「俺は剣坂流の部外者だからなーー?」
「どうせ情報戦で隠してるRS剣坂流だろ、俺の奥義七凪を完全に防げる程の技量があるのに、RS判定されない方がおかしいし、剣坂流関連よりも凄い技能をリダが持ってるとは思えない、というか持っていたら俺はキレる」
ナナサカは断言する、リダの隠してるRSを、その断言を聞いたリダは何とも言えない顔をする、ケルン一等兵から見たらそれは、ナナサカの断言を肯定的とも否定的にも見える絶妙な表情だった。
「キレるなナナサカ、それよりもナナサカ、頑張って色々と探したら手に入れたぞ、木刀」
「え!? この世界に木刀あるの!?」
「いや、無いからクラフト系のRS持ちのプレイヤーに作ってもらった、そのプレイヤーからは物凄く怪訝な目で見られたけどな」
「すごく嬉しいが兵器の受け渡して出来るのか?」
ナナサカは疑問を発する、兵器の受け渡しが出来るなら新兵に強力な武器を渡して新兵の戦いをイージーモードにすることが出来る、いわゆるバランス的な問題で出来ないのではとナナサカは言っている。
「セーフティエリアじゃ無償での受け渡しは基本出来ない、兵器取引所で最低額で取引するか、戦場で同じ兵種にすれば不可能ではないが……後者はまず不可能で他人が手放した兵器は使えはするが持ち帰る事が出来ないんだよ、そして前者はRSで作られた兵器は兵器取引所で売り買い出来ないから、これも無理だな」
「じゃあ駄目じゃねーか」
「だが手はあるぜ?」
ナナサカが呆れている中、リダはニヤリと悪い顔をするのだった。




