126、3階級特進、ナナサカ三等軍曹
「これで終わりか」
最後の機械の手を斬り捨てるとナナサカの前にミッションクリアの文字が現れる。
「あ! 装備箱、間に合え!」
最後の機械の手から、なんと装備箱が出てきたので慌てて、触れて回収ボタンを押す。
そして装備箱が消えると同時にナナサカはワープして、ミッション前に転送された部屋に降り立つ、身体は椅子に座っていた、そして目の前には階級管理の人がいた。
「まさか本当に一人であの洞窟にいって全部近接攻撃のみで敵を殲滅したのですか……」
階級管理の人は驚愕の顔で問い詰めてくる。
「何で近接攻撃のみで殲滅したとわかるんだよ? いや確かに近接攻撃のみで敵を殲滅したぞ、それは嘘じゃない」
「それはわかっています、出撃時のデータなら既にこちらも把握済みです、明らかに選択ミスの木刀とゴミバイクを持って出撃した時はああ、死んだなと思ったが、まるでジム帰りのようにケロッとしているとは、化け物ですね」
階級管理の人は文字通り人外、それこそ一歩対応間違えたら殺されるのでは? という畏怖が混じった目でナナサカを見る、しかしナナサカにとっては見慣れた目なので動じない。
「化け物じゃないと、3階級特進の特例作るのは難しいだろ? ちょうどいいじゃね」
「ま、良いでしょう、人類は今最大の危機、貴方の階級を上げるだけで人類の勝ち筋が増えるというなら上げましょう……ただし条件があります、貴方の今回の戦闘データを提供してもらいます」
階級管理の人の言葉と共に、ナナサカの前にメッセージ画面が現れる。
『戦闘データを提供しますか?
戦闘データを提供した場合、全てのプレイヤーがリプレイミッションでナナサカと同じ条件でミッションをプレイする事が可能になります。』
「……交渉したいことがある」
ナナサカは戦闘データを提供した場合のデメリットを考えたが、ナナサカの思考では特に思いつかなかったのでYES一択だ。
AEDはプレイヤー対エネミーがメインコンテンツで、レース等の競争要素はあれど、プレイヤー対プレイヤーで直接戦うコンテンツはない……ブレンドリーファイヤのシステムはあるが、プレイヤー同士が戦う事を想定したシステムではない。
故にナナサカの強さが丸見えになったとしてもナナサカに不都合はない。
寧ろナナサカ的には対人戦は歓迎で、こちらの情報全部与えた上で剣坂流で対戦相手を斬るのが好きなので、どう転んでも不都合はなかった、しかしナナサカはここで交渉を選んだ。
「なんでしょう、これでもかなり譲歩しているんですよ? これ以上何を望むのですか?」
「もしも准尉のリダが階級を上げるためのミッションを受ける場合、難易度跳ね上げてもいいから、2階級特進ルートを作って欲しい」
「……貴方はルールというものを破りたい性分なんですか……? もしかして彼を殺したいのですか? 准尉から2階級特進するとなると、少尉……それこそ貴方がやったミッションよりハードな物を一人でクリアしないといけない、そんなただ犬死に、貴重な人材を壊す行為、到底見過ごせません」
ナナサカの言葉に階級管理の人は眉間に皺を寄せる、階級管理の人の手元には液晶端末があり、そこにはナナサカの出撃記録が表示されている、そこには階級を上げるミッションと初ミッション以外はリダと出撃していることが表示されている。
階級管理の人からしたら、2人の仲が悪いという印象を抱けなかった。
「は、無駄死には絶対にならないよ、あいつは試合なら倒せるけど、戦いでのしぶとさは、俺でも殺せないからな、あーー早く鉄壁の2分を破ってぶった斬りたい」
故に、目の前の男性の狂言と狂信の眼が恐ろしく感じた。
「い、良いでしょう、貴方の交渉に乗りましょう、しかし2階級特進はリダがやる気のみ適応という形にしますからね?」
「それで十分だ、無茶振り聞いてくれてありがとうな、YESと」
ポチリとYESボタンを押すナナサカ。
「戦闘データの受理を確認……良いでしょう、これから貴方は三等軍曹です、これからも人類の為にその刃を振るってください……出来れば味方殺しは辞めてくださいね」
「しないからな、味方殺しは」
階級管理の人がそう言うと、ナナサカは軍の本拠地まで転送されるのだった。
「あれ? リダ居ねぇ、どっかに行ってるのかな? リダも階級上げに行ってるのかな?」
辺りを見渡すがリダの気配はない、ひとまずそこら辺の椅子に腰掛けて待とうとすると、放送が辺りに響き渡った。




