121、銃無七坂
「……妖刀と木刀しかもってねぇ!」
ナナサカは真っ当に準備し忘れたことを叫ぶ。
ナナサカは知らない、ADEというゲームにおいては、銃縛りという銃器を一切使わず戦う縛りがあるという事を。
実際の所、兵種によって、縛り難易度が変わるが、ナナサカの戦場歩兵の場合、手で投げるグレネードが主な攻撃リソースになる為、空高く飛ぶ敵や全力で接近して攻撃してくる敵には辛くなる仕様だった。
最も今のナナサカにはグレネードすらなく、完全に戦闘用ではない木刀と戦闘用の妖刀しか無かった。
そして視界端には特殊兵器の名前が浮かんでいるが、バツマークが付いていて、何時ものように発煙筒を出そうとしても、取り出せなかった。
最も特殊兵器枠がスカイジエンドカスタムなので、先の見えない&狭い地下で使えば、一瞬で交通事故になる為、特殊兵器禁止がなくても実質使用不可だった。
「つまり事実上妖刀だけで、真っ暗な横穴の先にいる巨大生物とかを殲滅しろというわけか、というかここどこの地下鉄だ?」
ナナサカは戦いに全く関係ない所に興味を持ち地下鉄を調べようとするが……。
「来たか!」
殺気を感じ取り、横穴をみると、そこから電車並みの大きさのメカメカしいモグラの姿をした機械兵器が現れた!
「デカ!? 明らかに倒したら道ふさがれそうだが……斬る!」
機械モグラが口を開くと、口の中から銃口が現れ、ナナサカを蜂の巣にする為に銃弾を発射する。
「剣坂流坂滑からの……大断ち!」
ナナサカは銃弾を受け流し、機械モグラの頭上に入り込み、そこから縦に一閃、機械モグラは口の中の銃もろとも叩き切られて、派手なエフェクト撒き散らして消滅する。
「ふう、一撃で斬り伏せられたけど……キツいな」
ナナサカの手にはビリビリと、硬いものを無理矢理斬った痺れるような感触が走り、少し待てばビリビリと治ったが、手がビリビリと痺れている状態だと、一撃では斬り倒せない、そんな本能的な感覚をナナサカは得る。
「現状の妖刀だと、連戦になればなるほど、一撃で斬り倒しにくくなっていく感じか……面白い」
今は狭い横穴なので、早々同時に複数の機械モグラと戦わされることはないだろうが、この後に、広い所で複数の機械モグラに襲われるのは、簡単にナナサカの脳は想定出来た。
「よし、機械モグラでも機械ミミズでも何でも来いやーー……あ、でも機械G的なものはやだな、生理的に斬りたくねぇ」
ナナサカは別に現実世界で黒色悪魔Gは倒せはするが、精神的関わりたくない存在だった、どちらにせよ現れたら、ナナサカは全力で倒すのだが。
そしてナナサカは横穴に入ろうとするが、問題に1つ気付く。
「暗くないか? おかしいな、地下ミッション受けるのは2回目だが、1回目は常時暗視状態のように明るかったんだが? もしかして難易度の影響か?」
ナナサカの視界の先にある巨大機械モグラが作ったと思われる横穴は、横穴の側に複数設置されたステック型のスタンド機能付きライトの明かりで照らされてはいるが、明かりが届かない場所は闇と言わんばかりに暗く、ご都合主義みたいな暗視効果も発動する様子もない。
「え、どうしよう、流石に暗闇の中の戦うのはキツいぞ」
剣坂流は目が機能しない状態での戦闘を想定した戦いも出来るのだが、戦闘力はある程度減少する、最高難易度でそれを強いられるのはナナサカ的には極力避けたかった。
「……そう言えばこの棒状のライト、持ち歩き可能だったり出来ないか?」
ナナサカは横穴の側にあった、ライトを引っこ抜こうと試みると、ライトはあっさりスタンドから抜けて、ナナサカの片手に収まる。
明かりが消える様子もなく、コードに繋がっている訳でもなく、内部にバッテリーが入っていて持ち運び出来そうなライトだった。
「成る程、片方塞がるし、形状的に二刀流で技が暴発して、ライトをぶっ壊す可能性があるけど、これなら戦えるな!」
ナナサカは左手にライト、右手に妖刀を構えて、腰には予備のライトを差し込み、ズンズンと進軍し始めた。




