117、ケルン三等軍曹!?
「どういうことだ!? ケルンの階級は一等兵じゃないのか!?」
「むぅ、いくらナナサカ師範の言葉でも3個も下の階級に見られるのは傷付きますよ」
ナナサカの動揺から溢れた言葉にケルン三等軍曹は僅かな怒りを含んだ返答をする。
「……ケルン三等軍曹、キミは何時三等軍曹になったか答えてくれないか? 俺達と会う前からか?」
「そうですよ、何言ってるんですか?」
混乱状態のナナサカの代わりにリダが質問する、そして帰ってきた質問の答えは2人眉間に皺を寄せる物だった。
「すまん、ケルン三等軍曹、ちょっとナナサカと2人だけで作戦会議したい」
「いいですけど……?」
リダはナナサカを引っ張り、2人で秘密会話出来る程度にケルン三等軍曹と距離を取る。
「リダ、もしかしなくてもあの謎の物体のせいだよな!? リダさっきの兵器はケルンに装備的な意味で渡したのか?」
「いや、渡してない、俺が装備している状態で渡したんだ……その結果、俺の装備画面から謎の物体が消えた」
「大丈夫じゃないよな、この状況、どうなってやがる、会う前から三等軍曹になってるて、明らかに俺らの記憶と矛盾が生じてるぞ!? 明らかにただのパワーアップではないよな!?」
ナナサカは混乱する、もしもさっき一等兵から三等軍曹に昇級したというのなら、まだ納得する範囲ではあったが、最初からとなると色々と矛盾が生じる。
「ああ、階級アップ、パワーアップというよりか、過去改変と言ったほうがいいな」
「とんでもアイテムを無計画に使ってしまったんだな、俺達……」
過去改変という言葉に度肝抜かれるナナサカ。
「ああ、ケルンだけに作用したのか、他のなにかにも影響があるのか、取り敢えず調べる事にしないか、ケルンが剣坂流を覚えているかも確認した方がいいな」
「そうだな、強くなったか、逆に弱くなったか、調べたいな、よし早速師範として試すぞ!」
ナナサカはそう言うと、木刀を取り出し、縮地消音歩で一気にケルン三等軍曹に近付く。
「うわ!? ナナサカ師範、それはやめてください! びっくりします」
「慣れろ、それよりも特訓するぞ! 木刀を握りな!」
「慣れろて……無理矢理が過ぎますよ、だけどナナサカ師範にこれまでの特訓の成果を見せますよ!」
ケルン三等軍曹はナナサカの唐突の特訓を受け入れる。
そしてナナサカとケルン三等軍曹は木刀を持ち、お互いに構える。
「それじゃあ、先手はケルン三等軍曹からどうぞ……三等軍曹て長くて言いにくいな」
「行きますよ、ナナサカ師範! 接歩木断ち!」
ケルン三等軍曹は接歩で一気に距離を詰めて、木断ちを放つ、ナナサカはそれをバックステップで回避する。
「剣坂流、関節断ち!」
「ほう!」
次の瞬間、追撃の関節断ちが放たれる、ナナサカはそれを受け流す。
「やっぱり受け流されますか!」
「階級だけじゃなくて剣坂流の仕上がりも上がってやがる」
ナナサカは、ケルン三等軍曹の放つ剣坂流がナナサカやリダ未満ではあるが、それでも付け焼き刃とは言えないレベルまで仕上がっていた。
「階級階級て、ナナサカ師範、リーダー少将には何が見えているんですか!? 大断ち!」
「色々とな! 少なくとも太刀筋はよく見えるぜ!」
縦振りの一撃をサイドステップで避けて、ケルン三等軍曹の首元に木刀を添える。
「リダ、見てたか?」
「ああ、剣坂流序とは言い難い鋭さだったな、お前が定期的に稽古つけている生徒以上にはなってないか?」
「ええ!? ナナサカ師範、他に生徒が居るんですか!?」
リダの言葉にケルン三等軍曹は目を丸くする。
「居るぞ、まあそこまでやる気ないせいでケルン三等軍曹程の実技で使えそうな程の技には至ってないけどな」
「……まあ、剣技を学ぶより銃の扱いを覚えた方が生き残りやすいですからね」
「そう言いながら、ケルン三等軍曹は剣坂流を学ぶんだな」
ナナサカの言葉にケルン三等軍曹は少し考えてから答える。
「はい、だって、それが生存率が一番高いとそう思ったので、それにナナサカ師範みたいに動けたら、高確率で逃げられるかなと思って」
「まあ、ナナサカの縮地消音歩みたいに動けたらそりゃあ地球の果てまで逃げれるわな」
「縮地消音歩は逃走技じゃないんだけどな」
リダの言葉にナナサカはムスッとする、しかしケルン三等軍曹が一等兵の頃と性格が殆ど変わらないと判断して一安心するのだった。




