110、未完兵器の拡張機兵、ストロンチウムノ奮戦
ナナサカは動きの確認を終えた拡張機兵を動かし、駆け出す、一番近い位置にいた巨大生物を刀でぶった斬る。
「これは……確かに未完成品だな」
搭乗時に、ナナサカの視界端な新たに現れた拡張機兵の耐久値が微かに減る、本当に微々たる物だが、ただの攻撃動作ですら耐久値が減るならば、長期戦は不可能だった。
「マトラ、拡散グレネードは何発撃てる?」
「そんなに詰め込めなかったから5発よ、拡散グレネードを撃つなら拡張機兵にダメージははいらないから上手く使って」
「無茶な注文を!」
ナナサカは更に近付く巨大生物を斬る、もはやシャコやカニ、カマキリどんな巨大生物も一刀両断出来るが、その度に視界端の拡張機兵の耐久値はジリジリ減り始める。
今のナナサカにグレネードを上手く使う才はなかった。
そして慣れない兵器の操作で巨大生物にばかり意識が向いていて、空から飛行円盤のエリート機に狙われているのを感じ取れなかった。
そんな時、遠くからアラーム音が鳴り響く。
「何事!?」
そのアラーム音はナナサカだけではなく、今まさにナナサカを攻撃しようとしていた、飛行円盤エリート機もアラーム音の方を向く。
アラーム音の発生源にはリダが居て、その隣には敵の注意を引き付けるアラームバトルタワーが設置されていた。
「よし、何とかアラームの効果範囲に入ったか! ナナサカ、巨大生物と飛行円盤は俺やケルン一等兵に任せて、お前は巨大怪獣をメッタ刺ししてくれ、俺の今の兵器やヘリコプターじゃ巨大怪獣相手にそんなにダメージ与えられないんだ!」
「わかった、後は頼む!」
ナナサカは反射で縮地消音歩を使おうと構えたが、頭に縮地消音歩をしたらあっという間に、自分の動きに耐えられず、拡張機兵が壊れるだろうという考えが頭を過ぎり、足を止める。
「これ、本当に自分の身体のように動かせるから、いつも通り動いてしまうな……」
ドシンドシンとゆっくりと歩き巨大怪獣まで移動する、道中巨大生物が居たが、リダの側から聞こえるアラーム音に向かって移動して、ナナサカを無視する。
しかし怪獣怪獣はアラームの影響を受けないのか、まっすぐナナサカを見つめ、そして口をナナサカに向けて開いた。
「接歩!」
咄嗟の判断で接歩を使い跳躍、拡張機兵の耐久値が少し削れるが、巨大怪獣の口から雷が迸り、さっきまでナナサカが立っていた所に雷が通り過ぎる。
「ここで使うか、グレネード!」
ナナサカは両手を前に突き出し、グレネードを発射する言葉を口にする、すると拡張機兵の肩についていたグレネード発射装置が大量のグレネードを撃ち出し、巨大怪獣の胴体を爆破する。
「マトラ、悪いがここで一気に拡張機兵を使い切るぞ!」
「相場価値が億単位の兵器を消耗品のように言うわね! それでもやりなさい、敵輸送船の鹵獲の価値は億を軽く超えるわ!」
マトラの許しを得たナナサカは接歩で一気に距離を詰めて刀を振るう。
「剣坂流、拡張機兵版……七凪!」
ナナサカの神速7連撃の奥義が巨大怪獣を斬り裂く。
しかし一太刀、一太刀で拡張機兵ストロンチウムの耐久値が目に見えて減る、七凪全てを放ち終わる頃には、耐久値が半分以下になっていた残りの2割。
「重ね……七凪!!」
ナナサカは更に七凪を放つ、宣言通り拡張機兵ストロンチウムを使い潰すように動く。
3回刀を振るった所で耐久値を使い果たした拡張機兵ストロンチウムの身体はボロボロと崩壊する。
「あれ、これはどう脱出するんだ!?」
「緊急脱出と言いなさい!」
「緊急脱出!」
マトラの指示に従い、そう叫ぶと、ナナサカの身体は怪獣に向けて射出される、そして射出されると同時に拡張機兵は爆発、ナナサカは爆発を背に受けて、HPバーが半分になるダメージを受けつつ、怪獣の方へ吹き飛ぶ。
「いっつ、まだまだ、ぶった斬る!」
ナナサカは痛みを堪え、残りの4連撃を妖刀を取り出して、怪獣に叩き込む!
「流石にまだ倒せないか……」
ナナサカの身体は地に向かって落下し始める。
攻めるか一旦退くか、選択を迫られた。




