107、装甲確保作戦、完了編
着地時にナナサカは爆音に包まれる、現実ならば耳を駄目にしていたが、ゲームの世界なので、ナナサカは目眩を起こすだけですんだ。
「うう、し、死んではないよな?」
ナナサカはクラクラする頭を片手で抑えつつ、辺りを見渡す。
輸送船は山岳地帯の一角に胴体着陸をしていた。
視界端に浮かぶナナサカのHPバーは墜落時とほぼ変化はない。
「取り敢えずなんとかなったかな?」
「おーーい、ナナサカ、スタン状態から復帰したなら反応してくれ」
「え、あうん、聞こえる、スタン状態かは分からないけど、今復帰した」
耳元で聞こえるリダの通信に反応する。
「そうか、全くとんでも無いことをしやがったな」
「え、何が?」
ナナサカは妖刀を輸送船から抜いて一息ついて、リダの言葉の意味を問う。
「なあ、ナナサカ、巨大生物や飛行円盤等の敵対存在を破壊したらどうなるか覚えてるか?」
「え? 派手なエフェクト発して消える?」
「さっきまでお前が乗っていた物は?」
「え、あ……」
輸送船を見る、輸送船は消滅してなかった。
「えっと妖刀でズタズタにしたほうがいい?」
「まて、速まるな、既に輸送船から敵対状態を示す物が消えている、ミサイル持ってたろ、ロックオン出来ないようになっているからな」
「すまん、装備箱からなんか何もわからないハテナマークだらけの変なもの拾うためにミサイル兵器捨てた」
「子供か!? いやまて、変な物てなんだ、変な物拾う為に装備枠使ったんだろ、へ、どういうことだ?」
リダは混乱する、リダの知る限り、ナナサカが何も分からない物を装備枠を使って拾うなんて事は起きない。
装備箱をその場で開封した場合は、ナナサカで例えるならナナサカの兵種である戦場歩兵が装備出来る物が出てくる。
そして兵器知識:戦場歩兵がある限り、戦場歩兵の装備品の詳細は確認出来るようになっている。
なのでハテナマークだらけの変な物を拾う事はありえない。
ナナサカが誘導爆撃兵の装備を拾ったならハテナマークだらけにも納得するが、ナナサカは装備箱から拾ったという言葉で混乱を増長させた。
「はあ、取り敢えず後ちょっとで残りの鉄の箱を破壊するから、お前はその輸送船を守ってくれ、消滅しないということは、これ鹵獲出来る可能性もあるから」
「おお、鹵獲て敵の兵器を回収して再利用するというやつだったよな、わかった、ミサイルが飛んできても守るからな!」
リダの指示を受け入れるナナサカ、妖刀を構えつつ辺りを見渡すが近くに鉄の箱やミサイルの気配はない。
そして待つこと3分、ドカンドカンと爆発音が断続的に聞こえるのを尻目に、ナナサカは輸送船を調べてみた。
ミサイルとか飛んできても良いように警戒心は出しつつも輸送船をペタペタ触る
「うーん、何もわからん」
SF知識が乏しいナナサカでは、輸送船から情報を得ることは出来なかった。
頭を傾げているとリダの声がナナサカの耳を揺らす。
「終わったーー」
「……今回俺殆ど戦ってないな、輸送船しか落としてないや」
ナナサカの内心では暴れ足りないという感想を抱く。
「それが肝となる所だろ、そもそも輸送船が消失せず、敵対反応が消えているのは、仕様か、バグか、はたまたお前がなんかしたかの2択だろ」
「まあ、変なボタンは押したけど、俺はナニモシテナイノニ、ツイラクシタ」
「ははは、意図的に棒読みすんなし」
なにかした自覚がありつつも思いっきりしらを斬るナナサカにリダが合流したら蹴っ飛ばそうかと思っていると、2人の目の前にWarningの文字が書かれたシステム画面があらわれる。
「へ、特殊そうなミッションなのにワールドミッション出るのか?」
「え、いや、そんな訳無いはず!?」
困惑する2人をよそに2人の通信に割り込む存在がいた、研究者のマトラだった。
「2人とも撤退して、そこに、色んな場所にいた敵性存在が移動し始めたの!」
「え、撃退すれば良いじゃん」
マトラの言葉と共にWarningのシステム画面に撤退するかどうかの確認画面が現れて、2人に戦うかどうかの文字が現れる。
しかしナナサカは戦闘意欲を見せる、リダは冷静に戦況の確認を取る。
「マトラ、敵性存在の種類は分かるか?」
「えっと、飛行円盤のエリート、飛行強襲機、新たな輸送船、後巨大怪獣も居る! 後々なんかデカい何かが来ているわ! リダ様の現状の装備じゃ危険だわ!」
「よし、ナナサカ撤退するぞ!」
リダは即座に撤退を決断する、アラームバトルタワーというデコイと単体型の砲弾攻撃を要請する兵器では厳しいと判断したのだ。
ナナサカはリダの判断に不服を感じつつも、リダの判断を無視していい目に遭った記憶はないので素直にリダに従おうとするのだが……。
「あ、無理」
「はあ、あ!!?」
ナナサカの諦めを含んだ声にリダは一瞬言葉を荒げるが、その意味をすぐに理解するのだった。




