106、装甲確保作戦、墜落編
ボタンを押すと同時にけたたましいアラームが鳴る、その音は明らかに墜落か或いはそれに相応しい事が起きそうな音だった。
「脱出するか!」
押した張本人であるナナサカはやっちゃったなと言わんばかりに縮地消音歩で駆け出す。
「しかしこれ妖刀で輸送船落とすというミッションだったけど、これ判定どうなるんだ!?」
妖刀でボタンを押して、輸送船が墜落して爆発四散するなら、ある意味妖刀で撃墜した事にしたならくもない気がするが、正直怪しい判定だった。
「ああ、念のため斬っておくか、剣坂流、辻流れ!」
輸送船内をずたずたに切り裂きつつ、侵入した場所に辿り着く。
「よし、自動修復じゃないな!」
輸送船から脱出するナナサカだが……。
ガコン!!
「うおお!?」
輸送船が地面に向けて落下し始める、ナナサカは妖刀で輸送船を突き刺して体を固定する。
「やべぇ……今更だけど、こっからどうしよう」
爆発しながら落下してないので攻撃による墜落ではないのは明らか、心当たりは操縦室で押した謎の危ないボタン。
よくよく考えたら、破壊後の脱出手段を考えてなかったナナサカ。
空歩で落下スピードを殺す事が出来るが、空歩を使う段階でその落下スピードを足で受け止めねばならないし、4回の空歩ではナナサカの足が持つか分からない。
エアバイクスカイジエンドを出すにも墜落中で不安定な状況でエアバイクを出しても、乗れずに終わる可能性が高く、無理やり乗れば暴走エアバイクに事故で瀕死にされるだろう。
爆発四散ではないので時間があるのが不幸中の幸いだろう。
「……空歩で無理やり降りるんじゃなくて、このまま輸送船をクッションに着地したほうがいいかな? それなら比較的安全に着地出来そう」
そんなナナサカの独り言が空に消えたと思ったらその独り言は通信機能越しにリダに届いていた。
「おい、ナナサカ、何やらかした?」
「え? 味方に被害になることはしてないよ?」
「……敵の全員が撤退、いや、ナナサカのいる方向へ移動し始めたんだよ、こっちがバチバチにヘイトを稼いでいたはずなのに、異常な行動を起こしているんだよ」
「ふぇ?」
男らしくない声を出しつつナナサカが戦況を確認する為に辺りを見渡すとそこそこの数の鉄の箱が輸送船へ向かって移動していた。
そして鉄の箱がミサイルを発射し始める。
「え?」
ナナサカはそのミサイルの軌道を見て目を丸くする。
そのミサイルはナナサカを狙ってなかった、輸送船を狙っていた。
「なんで!? 同士討ち!」
ナナサカの言葉に応える存在は居らず、ドカンドカンと輸送船に鉄の箱が放ったミサイルが突き刺さる。
「くそ、このままじゃ爆発四散する!」
輸送船が爆発四散すれば間近にいるナナサカは確実に巻き込まれる、そうなったら大ダメージで下手したらそこから落下ダメージで瀕死になってしまう。
「くそ、こんな時にミサイル兵器捨てちまったよ!」
ミサイル兵器があれば、ミサイルを迎撃出来なくても、鉄の箱にミサイルを叩き込んで、迎撃出来るが、今のナナサカはミサイル兵器を破棄して、その場所に、謎の箱を装備している。
特殊兵器枠のエアバイクスカイジエンドは戦力としては論外なので、今のナナサカは妖刀しか使えないが、その妖刀は命綱として、輸送船に刺しているし、そもそも鉄の箱との距離や位置的にミサイル迎撃に妖刀は使えない。
「た、助けて〜〜リダ助けて〜〜高くて降りられにゃい」
「うわ、見捨てたい」
ナナサカが猫ぽく助けを求めると、その声が嫌だったリダに見捨てられそうになる。
するとケルン一等兵の声がナナサカの耳に入る、リダの通信機越しでナナサカに伝わったのだろう。
「リダ少将! 変な事言ってないで、助けましょう!」
「わかったよ、どちらにせよ鉄の箱は潰さないといけないからな」
そんな会話が聞こえると同時に空から砲弾が降り注ぎ、鉄の箱を鉄屑に爆散する。
「さっすがリダ! 愛してる!」
「この世で最もいらない愛してるだな……」
「すまんな、女の子じゃなくて、女の子に生まれてたらラブロマンスしてやれたんだけどな」
「キメーー!!」
リダの悲鳴と共に鉄の箱が爆散していく。
「なんか、ここまで拒絶されるとそれはそれでちょっと傷つくぞ、1ダメージ位」
「男のお前を知っているからな、生憎TSネタは好きじゃない、男のお前を知らず、最初からお前が女なら……無いな、暴力系ヒロインは今時受け入れられないぞ」
「女の俺は負けヒロインとでも言うつもりか!?」
「なんでそんなに通信で会話する余裕があるんですかーー!?」
ナナサカの耳にケルン一等兵の悲鳴が聞こえる、そしてナナサカを乗せた輸送船は墜落するのだった。




