100、一等兵、研究者
次の日の夕方、場所はAEDの訓練場、ナナサカとリダは日常の決闘を行なっていた。
「木断ち、大断ち、関節断ち、凪回し、七凪」
「相変わらず躊躇いがないな!」
ナナサカは流れるように複数の技を繋げて怒涛の攻撃を放ち、リダは慣れた手つきで受け流す。
それを観察するのは2人のNPC、ケルン一等兵と研究者マトラだった。
2人が決闘ついでに、ケルン一等兵のRS習得でケルン一等兵に見稽古をさせるつもりたったのだが、なんと近くにいたマトラもついてきたのだった。
2人は別に決闘を見られても痛くも痒くもないということで、マトラも観戦する事になった。
「相変わらず、すごい速度で、み、見切りにくい!」
「……成る程、初めて見たけど、異次元ねこれは……正直2人の脳を調べたいくらいね」
2人がそれぞれの感想を漏らす。
「2分だ、ナナサカ」
「ち、だめか……」
リダの言葉にナナサカは妖刀……ではなく木刀をしまう。
「あら、貴方のことだから、もっとと言うと思っていたわ」
「スタミナ切れのリダを倒しても勝った気がしないからな、勝つだけなら出来るが、俺が目指しているのは完璧な防御を破っての勝利だ、ただ勝つだけならリダを牽制してスタミナ切れさせてから斬るだけだからな」
「変なこだわりなのね」
マトラの言葉にナナサカは理由を告げる、ナナサカにとっては重要なので少しムッとする。
「リダ、なんでマトラがついてきたんだよ?」
「知るかよ、マトラはケルン一等兵と違って、明らかに戦闘員じゃないし、何が起こるのか、俺も読めんぞ!」
ナナサカはリダをケルン一等兵とマトラから距離を取るように引っ張ってからひそひそと秘密の会話をする。
「貴方達何相談してるのかしら」
「うお!?」
2人がひそひそと会話していたら、マトラが介入してくる、ナナサカはその介入に驚く。
「何驚いて居るのよ、そんなに聞かれて困る話でもしているの?」
「あ、ああ!剣坂流の師範と師範代理の剣坂流の今後の相談だ、部外者に聞かれても困る」
「部外者は俺もで、師範代理はナナサカが勝手に言ってるだけだけどな」
ナナサカが慌てていいと、師範代理の件に関してはリダの否定が入る。
「あはは、俺の必殺技全部防ぐ時点で、お前は師範の資格あるし、お前も師範だ」
「きめぇ、なんかホラー味ある言葉やめろ」
リダが結構嫌そうな顔を浮かべ、木刀でグリグリとナナサカの頰を突く。
「……随分と仲がいいのね」
「まあ、腐れ縁だけどな、それよりもケルン一等兵、さっきナナサカがやっていた技、なんか出来そうなのあったか?」
リダは話題転換するようにケルン一等兵に話しかける。
「大断ちならなんとか出来るかもしれません!」
「大断ちか、パット見た感じ、ただの上段からの思いっきり振り下ろしているだけに見えるけど、手首の動かし方で威力が結構変動する技だから…ナナサカ、ゆっくりと大断ちを放って型を覚えさせろ」
「リダ少将は大断ち使えるんですか?」
「使えるけど、俺は疲れたからやらんぞ、ナナサカのを見て覚えろ」
リダはそういうと素早い歩きで訓練場の端に行き、座り込む。
疲れているリダを見て、ナナサカの脳裏にどうでもいいことが浮かび上がる。
「マトラ、悪いんだけどリダの肩でも揉んであげてくれ」
「ナナサカーー? なに変な事言ってるの??」
「べ、別にそれくらいならいいけど」
ナナサカの言葉にリダが圧の入った声を出す、しかしマトラは別に嫌そうな顔をせず承諾した。
「よかったな、リダ、よしケルン一等兵、大断ちの振るい方教えるからな」
こうしてリダはマトラに肩をマッサージされつつも、ケルン一等兵に剣坂流の技を教えるナナサカを眺めることになった。
「果たしてケルン一等兵は大断ち覚えられるかな……というか覚えた所で使いこなせるかが問題なんだよな……せめてナナサカ以外にも近接武器使ってるプレイヤーがいればな……」
「少なくとも私が知る限り近接武器を使って戦ってる人間は貴方達しか知らないわよ、そもそも時代錯誤で普通じゃないもの」
「まあ、普通じゃないな……ケルン一等兵がナナサカや俺並みになるのかな……それよりも本当に肩を揉んでくれるんだな……」
リダとマトラはそんな会話を交わしながらもナナサカとケルン一等兵を観察するのだった。




