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23話 「ないない」くんが伝えたいこと

最近の言霊園では、ないないくんがいつも不機嫌そうに眉間にしわを寄せています。

一日一回、いえ、何度も何度も「ないない!」を繰り返します。


その日は、ないないくんと一緒にひなたくんも、何でも「ないない!」の日でした。


大好きだったはずの、ご飯も


「ごはん、ないない!」


夢中で遊んでいた、おもちゃも


「おもちゃ、ないない!」


しまいには、一番安心できる場所であるママやパパの抱っこでさえ、


「ないない! ないない!」


とのけぞって拒んでしまいました。


「どうしようかしら……。二人とも、何でもないないになっちゃって……」


困り果てたコトハおねえさんに、ゲンジおにいさんは真剣な顔で言いました。


「今は、もう少しだけ様子を見てみよう……。きっと、理由があるはずなんだ」


夜になっても、二人の「ないない!」は止まりません。


それどころか、いつもみんなを優しく包んでくれる大好きなねんねちゃんがやってきても、


「ねんね、ないない!!」


と、ひなたくんはないないくんと一緒に、彼女を押しのけてしまいました。


「ねんねちゃん、大丈夫!?」


コトハおねえさんが慌てて駆け寄ります。


悲しそうにうつむくねんねちゃんを見て、ひなたくんとないないくんは、いろんな気持ちがあふれて、叫びました。


「ないない……ないない……なーーーい!!」


二人はそのまま、激しく泣き出してしまいました。


その時、外の世界から温かな抱っこの感触と、ママの穏やかな声が園を包み込みました。


『そうだね、ないないだね……。ひなたは今、いろんなことがわかるようになったから、心が忙しくて大変なんだよね』


パパの落ち着いた声も聞こえてきました。


『ひなたも、自分の気持ちをどう整理すればいいか、一生懸命頑張ってるんだよね』


二人の声を聞いて、ひなたくんとないないくんは、絞り出すような泣き声から、静かな涙へと変わっていきました。


コトハおねえさんはひなたくんを優しく、ゲンジおにいさんはないないくんを力強く抱きしめます。


「ないないくん……。君は、ひなたくんが『自分がどうしたいのか分からなくなっている』ことを、一生懸命みんなに伝えてくれていたんだね。……気づかなくてごめん、ありがとう」


ゲンジおにいさんが語りかけると、ないないくんとひなたくんは、二人の胸の中でたくさん泣いて、やがて泣き疲れたように眠りにつきました。


「ひなたくんの中に、たくさんの複雑な感情が生まれてきたんだね」


おにいさんが呟くと、おねえさんはひなたくんの寝顔を優しく撫でながら、微笑みました。


「どんどん、ひなたくんは成長してるのね……。嬉しいけれど、なんだか少しだけ、寂しい…。」


静かな寝息と少しの切なさが混ざりながら、言霊園の夜が更けていきました。

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