22話 心がポカポカ「すき」さん
言霊園には、街からよく遊びに来てくれる常連さんがいます。
いつも真っ白なワンピースを着て、おひさまのような匂いがする「すき」さんです。
彼女は、外の世界でパパやママが『ひなたー、大好きだよ!』と言うたびに、ふわりと園へ現れます。
今日は「すき」さんが、その言葉をどんな時に言うか教えてくれました。
「いい? ひなたくん。大事な人や、大切なもの……。それを思い出して、心がポカポカあったかくなった時に言うのよ。『すき』ってね」
それを聞いたひなたくんは、さっそく園の中を歩き回って、自分の「ポカポカ」を伝え始めました。
いつも優しく抱っこしてくれるねんねちゃんに、
「ちゅき!」
ずっと一緒に遊んでくれるブーブーくんに、
「ちゅき!」
この前、噛まれた三毛猫にも、
「ちゅき!」
言われたみんなは、とっても嬉しそう。
「ひなたくん、みんなのことが大好きなんだね」
コトハおねえさんが目を細めると、ゲンジおにいさんも頷きました。
「言われたみんなを、あったかい気持ちにしてくれるね」
その時、外の世界からママの弾んだ声が聞こえてきました。
『ひなたー。ママのこと、好き?』
ひなたくんは、少しも迷わずに答えました。
「ちゅき!」
すると、負けじとパパの期待に満ちた声も聞こえてきました。
『ひなたー! じゃあ、パパのことは……? パパのことも好き?』
ひなたくんは、ほんの少しだけ考えて……イタズラっぽく笑いました。
「パパ……ないない!」
『えぇっ!? なんでーーーっ!?』
外の世界で、パパの悲しいような、でも楽しいような声が響きました。
「ふふふ。パパさん、残念だったわね」
「ひなたくん、パパが反応してくれるのが楽しくて、つい言っちゃったんだろうね」
おねえさんとおにいさんが笑っていると、ひなたくんがトコトコと二人の元へ寄ってきて、それぞれの足にギュッとしがみつきました。
「ちゅき!」
おねえさんとおにいさんは一瞬驚き、それから笑顔でひなたくんを抱きしめました。
「ありがとう、ひなたくん」
「僕たちも……」
「「ひなたくんのことが、大好きだよ」」




