たのしいぼすせん
エタるつもりは全く無いですが、仕事が忙しくて時間と体力が足りてないです。
それはそれとして、転スラの新刊最高でしたね!
「だ~か~ら~!!先に言えよおおおぉぉぉぉ!!!」
「ふぉふぇんふぁふぁーい」
うーむ、通路の奥から強そうなのが来るってことを伝えたら、ベルちゃんに怒られてしまったね。つねられたほっぺが痛い。いやー、今度こそ、気をつけないとね。早めに言ったつもりだったけど、まだ遅かったみたい。まあ、今はそれよりも、
「ベルっち、そろそろアヤを放したほうがいいカモ。タヨトさんが、マジでそろそろヤバそうなのが来るって。」
「わかった。ったく、お前ほんと気をつけろよ。」
「ふぁーい」
「頼むぜマジで。」
そう言うと、ベルちゃんはほっぺから手を離してくれたね。ふふふふふ。頼まれてしまったね!頼まれたからには頑張ろう!よくわかんないけど!とりあえず、今度から気づいたことはどんどん言えばいいよね。かんたん!
そんなことを話してると、通路の奥からどんどん敵の気配が強くなってきたね。んー、この感じだと、これまで以上に強そうなアリさんの集団っぽいね。数はそこまで多いわけじゃなさそうだけど、一体一体がこれまでよりも強そう。それに、集団の中でも特に強そうなのがいるね。うーむ、しかもこれって…
「ギギガガ!!」
「ゴギギギ!!」
「「「「「ギギギギギギイィィィ!!!」」」」」
あ、やっぱり。通路の奥からついにアリさんたちが姿を現したんだけど、特に大きくて強そうなのが2体いるね。片方はウォリアーを更に大きくて重くしたような感じで、全長は2メートルを超えそう。役職は『ジェネラル』だね。将軍様か〜。将軍様の周りには、ウォリアーと将軍様の中間くらいの大きさのアリが10体くらいいるね。こっちは、『ナイト』か。お供の騎士隊だね。アリさんなのになんかオシャレ。
もう片方の大きいのは、全長1.8メートルくらい。将軍様よりはちょっと小さいね。体も割と細身で、将軍様と並ぶと見た目以上に華奢な印象だね。実際そんなことないんだろうけど。これまでに見たことあるアリさんだとメイジに似てるかな。役職は『セージ』。えーっと、賢者くんだね。あんまり賢そうには見えないけどね。賢者くんの周りには、やっぱりメイジと賢者くんの中間くらいの大きさのアリさんたちがいるね。こっちは『ウィザード』ってなってる。賢さを推してくるね。イマイチそう見えないんだけど。わたしのほうがずっとかしこいもんね!
「うえぇぇ。ボスが2体とかマジ?アタシ勝てる気しないんだケド。」
「ウチがついとるけん大丈夫ばい!安心してよかよ!」
「わ、私もがんばります!」
「我々も、力を尽くしますよ。」
「どこまでお役に立てるかは微妙なところですがね。」
「みんな…」
「そいつらの言うとおりだぜ。それに、今回は俺らもいるんだしよ。」
「うむ!いるよ!」
「にゃあ!」
「きゅう!」
「そう簡単に諦めんなよな。お前の悪い癖だぜ。」
「ベルっち…うん、ありがとう。みんな。」
アリさん達を見て、アカリちゃんがちょっと不安がってたけど、他のみんなに励まされてやる気が出てきたみたいだね。うむうむ、アカリちゃんは、ここに来るまでの戦いでも腰が引けてたし、もしかしたらアリさんが苦手なのかもしれないね。
さてと、わたしも頑張んないとね。よーし!とりあえず突撃じ…
「オイ、突っ込むのはちょっと待て。」
「ん?」
おっと、ベルちゃんに止められてしまったね。どうかしたのかな?
「さすがにアレ相手に無策で突っ込むのはナシだ。時間もねえから簡単に今決めた作戦だけ伝えるぞ。」
「はーい」
「まずは……」
「ふむふむ…」
なるほど!作戦はよくわかったよ!まあ、結局わたしは相手に突っ込む役割みたいだけどね。言われたこと以外は好きにしていいってことだったから、それさえ気をつければ大丈夫だね。さーて、それじゃあ改めて、
「よ〜い、ドン!」
「ギギギギガガ!!!」
「「「ギギギギ!!」」」
こっちの様子をじっと見ていた将軍様に向かって一気に駆け出す。将軍様がわたしに反応して声を上げると、騎士隊が一斉に動いた。おおー、一糸乱れぬってやつだね。わたしよりよっぽど団体行動得意そう。
騎士隊は左右に広がると、わたしを包むように取り囲んだね。確実に一人ひとり倒そうってつもりかな。あ、やっぱり。わたしの左右両側から、アリさんが2体突っ込んでくるね。まあでも、これならウルフたちのほうがよっぽど速かったし対処に困る感じだったけどね。
「ていっ!…うーむ硬いね」
迫ってくる右側のアリさんとの距離を詰めて、ツルハシを出して振り下ろしたんだけど、これまでのアリさんより相当頑丈だね。甲殻の隙間にちゃんと当てたのに、HPもあんまり減ってないね。一応ダメージはあるみたいで動きは止まったけど。
「「ギギ!!」」
おっと、左側のアリさんがわたしのすぐそばまで来てたね。あれ?アリさんの突進の勢いが全然緩まないね。これまずいんじゃ……まあいいや。わたしには関係ないし。
(弐番、幽透)
すぐそばまでアリさんが来てたけど、特に問題なく躱せる突進だったからささっと躱したよ。この技は、相手の攻撃をギリギリで躱しつつ相手の後ろに回り込む技なんだけど、護身術って言うなら、攻撃を躱したら回り込まずにそのまま逃げれるようにするべきだよね。先生は、相手を排除したほうが早いって言ってたけど。…確かに。
「「ギギャアア!!」」
「あ、やっぱり」
アリさん同士がものすごい音を立てて衝突したね。もともとアリさんは両方とも止まるつもりもなさそうだったけど、もともとぶつかるつもりだったのと不意にぶつかられるのじゃ受けるダメージも違うよね。
突っ込んだ方のアリさんはそうでもないけど、突っ込まれた方のアリさんは結構ダメージが大きいね。吹き飛ばされてるしかわいそう…でもないか。わたしに突撃してきた向こうが悪いよね。うん。
「ギギギガガ!!」
「「「ギギギィィ!!」」」
「ありゃ?またかな」
将軍様が声を上げると、今度はさっきとは別のアリさんが3体同時に突っ込んできたね。まあ、やることはさっきと変わんないよね。
突っ込んできた内の1体にツルハシ攻撃をして動きを止めて、他の2体がそのアリさんにぶつかるようにギリギリで幽透。そうしたら、さっきとおなじようにガッシャーンってなったね。さっきと違ったのは、2体がかりでぶつかられたアリさんがさっきよりも派手に吹き飛んだことと、
「ギギギギガガ!!」
「わっ!…ていっ!」
将軍様が、アリさんの後ろに回ったわたしを攻撃してきたことだね。ちょっとびっくり。将軍様の噛みつき攻撃をジャンプで躱して、落下の勢いを使ってツルハシで攻撃したよ。うーむ硬い。甲殻の隙間にあてたのに、やっぱりダメージはそんなにないね。ただ、さっきまでおんなじで、動きは止まるみたい。ついでに2回ほどていっ!てしてみたよ。
おお、どうやら固まってるときに攻撃すると、普段よりもダメージが大きいみたいだね。さっきの騎士さんにていっ!てしたときよりもダメージが大きいね。ふふふ、これならそこまで苦戦せずに勝てちゃうかな。…まあ、そう簡単には行かないんだろうなって気はするけどね。
そっちのほうが楽しそうだしね!さーて、あっちの様子はどうかな?
「あああああ!!ヤバい!死ぬ!アタシ死んじゃうってコレ!」
「わりいがもうちっと頑張ってくれ!」
「アカリさーん!頑張ってください!こ、こっちはあと半分くらいですっ!」
「あかりん!きばるとよ!ウチもきばるけんね!」
「にゃあ!」
「ちくしょー!うおおお!やってやらー!」
アタシは今、くりむー、ガバナンさん、クロちゃんと一緒にセージとウィザードの足止めをしてる。アタシたちが足止めしてる間に、ベルっちたちが部屋の岩をアリかどうか調べて、アリならその場で倒してる。まだ相手がヤバいモードに入ってない間に、こっちが動けるエリアを確保しとくのが目的。相手の攻撃を避けた先で、岩に化けてたアリの奇襲を受けて死ぬのはヤダし。
ベルっち、エミリーちゃん、ユニちゃん、タヨトさんがアサシンを狩るメンバーで、どうやらもう半分くらいは岩を確認し終わったみたい。どうやら、全部がアサシンってわけじゃなさそう。戦闘が始まってからまだ2分くらいしか経ってないけど、結構進んでるカンジ。…まあ、その2分くらいでアタシはわりと限界なんだケド。
いや、流石にコレはね。アタシがサボってるとかそういうのじゃなくて、敵が強すぎるのが問題。体がちっちゃくてすばしっこいクロちゃんとか、リアルチートなくりむーとか、βテスターである程度動けるガバナンさんとかはまだ大丈夫そうだけど、クソザコゲーマーのアタシにはちょーっとね、荷が重いっていうか、どう考えても人選間違ってるっていうか、いや魔法使うときにたいして動けないアタシが調査班に入れないのはわかってるんだケド。詠唱はね、ホントはこれから時間かけて覚えていくつもりだったっていうか、そもそもアリ共に魔法の効きが悪いのが悪いっていうか、ね。うん。あーもう!きっつい!
アタシが覚えてる魔法がたまたま風魔法でマジ良かった。アヤが、さっき風魔法が一番効くって言ってたから。ただ、実際効いてるかは正直全然わかんない。まあ、確かに当たるとたまに怯んでくれるけど、それだけだ。ダメージは全然大したことないカンジ。今は、その怯んでくれるっていうのが一番大事だからすごく助かるケド。
セージとウィザード、ついでにメイジは、アタシたちと同じように魔法を使うときに詠唱が必要みたいで、怯むとその詠唱が中断されるみたいなんだよね。本来は、ナイトとジェネラルがセージたちを守るはずなんだろうけど、今はアヤがそっちをひきつけてるし、おかげでいいカンジに足止めできてる。
アタシたちの戦い方は、ガバナンさんが前に出て、槍でアリたちに直接攻撃。アリがガバナンさんに気を取られてるところを、アタシとくりむーが遠距離から攻撃するカンジ。ただ、詠唱時間の関係で、アタシはそこまで攻撃に参加できてない。くりむーも、矢の本数に制限があるから、そこまでバカスカ射れるわけじゃない。それでも、射った矢は必ずアリの甲殻の隙間を捉えてる。「これだけゆっくり狙えるなら当然ばい!」って言ってたけど、ふつーはそんなわけ無いっていうのはわかる。
ちなみに、クロちゃんはアタシのすぐ側で、アリたちに目くらましの闇魔法を使ってる。MP切れにならないように、こっちもそんなに連発できないみたいだけど、これまでアヤと一緒に戦ってきた経験からか、使うタイミングがすごく絶妙。アリが魔法を撃つタイミングで目くらましをうまく使って、なるべくこっちに魔法が来ないようにしてくれてる。マジで頼りになるカンジ。え?掲示板じゃ従魔って扱いづらさで不人気って聞いてたけど、クロちゃん最高じゃん。かわいいし頼りになるし。ここ生き残ったら従魔法取得するわ。
ただ、やっぱりクロちゃんもそろそろMPがヤバそう。さっきの戦闘で使ってた複数への目くらましも使ってないし、なるべく節約してるカンジ。
そういうわけで、こっちは今わりとガバナンさんだよりなカンジ。もちろん、アリたちの詠唱を全部止めれるわけじゃないから、敵の魔法は結構撃たれてる。それでも、魔法の大半はガバナンさんに向けてのものだし、こっちに来た分はなんとか避けて魔法を使ってる。そう!避けながら魔法を使うために、今アタシめっちゃ頑張ってマニュアル詠唱してる!偉くない?このままベルっちたちが戻ってくるまで耐えきれれば、だいぶ楽になるんだけど…
「ギギギギギゴゴゴ!!!」
「「「ギギギギギ!!」」」
「うおっとぉ!」
「あかりん!?大丈夫やと!?」
「いやコレ全然大丈夫じゃな…っぶなー!」
な、なんかいきなりアタシに集中砲火がきてるんですけどー!何コレ!?アレか、敵の一番弱そうなのから仕留めようってことか。ちくしょー!見立てが全く間違ってないのがムカつく!流石にこの状況で詠唱は無理だし、そのせいでこっちの攻め手が1つ減ってるし、そして何よりも、アタシがマジで死にそう。フリーになったガバナンさんとくりむー、そしてクロちゃんが、さっきまでよりも積極的にアリたちの妨害をしてくれてるけど、ウィザードたちはセージの指示に従って、妨害をものともせずにアタシへ攻撃してる。
ヤ、ヤバい。魔法を避けきれなくて、HPがゴリゴリ減っていってる。しかもアリたちの魔法は更に飛んできてるし、コレはマジで死んだな。くりむーとガバナンさんにクロちゃんは頑張ってくれてるけど、アリたちを完全に抑えるのはやっぱりムズいみたい。ベルっちたちは、まだ遠くでアサシンの相手をしてる。アヤは1対11の真っ最中。もちろんアタシにこの状況をひっくり返す力はない。つまり、アタシを助けられる人が誰もいないわけで…
でも、ここで死んじゃっても実は大したことはないのカモ。アタシはまだ初期職でデスペナも全然だし、別にゲームだからどんな強い攻撃を食らっても痛いってこともないし、ただ、よくわかんない光に包まれて街までワープさせられるだけだ。それに、もうこの状況でアタシにできることなんてない。昔、なんかのマンガかアニメで言ってたけど、現実は非情であるってやつだ。いや、ここはゲームの中で現実じゃないっていうのはわかってるんだけどさ。
「あかりん!今行くけん!」
「くりむー…」
必死な声が、アタシを投げやりな考えから引き戻した。くりむーが、さっきよりも更にアリたちへの攻撃を強めながら、アタシの方へ向かって来ようとしてる。その姿を見てたら、やっぱり頑張らなきゃって思った。みんな頑張ってるのに、アタシだけ諦めるのもカッコ悪いし。だめかもしんないけど、勝つために最後まで頑張ってみよう。そのためにも、まずはくりむーを止めないと…
「だっだめ!今来ちゃ…あっ」
すべてがスローモーションに感じられた。アタシを助けようとするくりむーを止めた直後、自分の左足に右足を引っ掛けてしまった。転んだアタシの体の上を、ウィザードが放った魔法が通り過ぎていくのを感じる。それはラッキーだったけど、この状況で動きが止まってしまったことはマジアンラッキーだった。急いで起き上がろうとしたとき、ちょうどアタシに魔法を撃ったセージと目があった。こっちを見る目からは、なんの感情も読み取れなかった。そして、まだ起き上がってないアタシに、魔法が迫ってきて…
アタシの視界は真っ白になった。
補足
アヤ:賢さに絶対の自信あり。
詠唱:詠唱する呪文は、魔法の詳細を見れば確認できる。




