【批判】トラブル発生!?廃鉱山がヤバすぎた【覚悟】
山崎決戦周回の苦行で、心が折れたので投稿します。忍耐力なさすぎでは?
「いや〜、全然モンスター出てこないな〜。アタシはザコいから助かるけど、くりむーは退屈なんじゃない?」
「そげんこつなかよ。あかりんやみんなと話すのは楽しいけん!」
「くりむ〜♡」
「わっ、もう…みんな見ちょるよ。」
あんまり可愛いことを言うもんだから、思わず相手の豊満な胸へ飛び込む。あ〜ヤバい。最高。ホントは普通に抱きつきたかったけど、身長差でこうなっちゃう。同じエルフでもこの差はなんだろう。エルフは、スレンダーで背が高めという設定の種族だから、低身長な自分のほうがレアなのかも。やっぱり身長は多少いじるべきだったか。いやしかし、だからこそエルフには不自然なこの立派なサイズのモノを堪能できるわけで…癒やされる〜。
パーティーのメンツや、後で動画を見る人たちに見られるのが気になるのか、くりむーから抗議の声が上がるが、向こうもアタシの背中に手を回してきているので、口だけの抗議だ。こうやって女の子同士でイチャつけば、見る人も楽しいし、アタシも楽しい。くりむーもそうみたいだから、誰も損しない。あぁ、至福。
ちなみに「くりむー」は、正式なキャラ名が「緋赫紅」で読み方が「クリムゾン」だ。好きに呼んでね、とのことだったので、呼びやすい「くりむー」にした。カワイイしね。ついでにいうと、アタシの名前は「アカリ」だ。呼ばれ方にこだわりはない。
アタシとくりむーは、ゲームをプレイしてその様子を動画サイトにアップして稼ぐ、配信者だ。アタシは別にゲームが得意とかでもなんでもなくて、ただなんとなくで始めたんだけど、これで結構人気がある。スゴイっしょ。高校生の頃から始めて、今ではちっちゃいけど配信者のプロデュースやマネージメントをする事務所の一つに所属してる。
くりむーはアタシとはちょっと違くて、人気は凄いんだけど事務所には所属してない。だからコラボしても大丈夫だと思ったんだけど…いやー、叱られた叱られた。なんか権利関係めんどいらしいね。しらんけど。
「ん、お二人さん、すいません。そこの角の先を進んだところになんかいます。詳細は不明。数は2。」
「サンキューです。えー、全く相手も空気読んでよ、もう!」
「しょうが無かね。ばってん、時間はかけんよ。」
ここに来る前に募集したメンツの一人から、この先に何かいると告げられる。しょうがないか。ここはモンスターが出て廃鉱山になったというフィールドで、別にここも安全地帯というわけでもないし。教えてくれたのは、確か「タヨト」さんだ。この人は、もう何度かこの鉱山に来てるらしいので、案内役をしてもらってる。【気配察知】のスキルを持ってて、敵が来たらすぐに分かるっていうのもあって、かなり助かってる。まあ、ここまで奥に来たことは無いらしいけど。
あと「ばってん」って何?バツ印?くりむーの方言、ちょこちょこ意味がわかんないんだけど。パーティーで誰か知ってる人がいたら教えてもらわないと。
「モ、モンスター…頑張らないと…。」
「そげ気にせんでもよかよ。さっきまでと同じこつすれば大丈夫やけんね。深呼吸でもしないよ。」
「は、はい!すぅー、はぁー。」
パーティーのメンツに、くりむーが声をかけてる。あの子は確か「エミリー」ちゃんだったと思う。くりむーのファンで、くりむーがさっきから結構気にかけてる子だ。まあ、気持ちはわかる。ちっちゃくて一生懸命な感じが庇護欲をそそるんだよね。くりむーは世話焼きっぽいし。正直、二人のあの純粋さが眩しい。
ていうか、エミリーちゃんはさっきからアタシの倍はみんなの役に立ってる。意外といざってときに力を発揮するタイプみたいで、さっきの戦闘でも、アリの攻撃を器用に躱したり防御したりしてた。アタシは近寄られると何もできなくなるから、あの土壇場での冷静さは見習いたい。
「じゃあ、さっきまでと同じように、エミリーさんと自分が前に出ます。アカリさんとクリムゾンさんが後方支援で、タヨトさんは後方の警戒をお願いします。これで問題ないですかね?」
「だ、大丈夫です!」
「ウチも問題なかよ!」
「オッケー。」
「了解です。」
「じゃあ、油断せず行きましょう。」
戦闘の指揮を取ってもらってるのは、「ガバナン」さん。前衛職でベータテスターだったらしい。武器は槍を使ってる。こういうのはあまり得意じゃないって言ってたけど、他にそれができる人材がいないんだからしょうがない。
最初はもうひとりメンツがいたんだけど、なんかアリ相手にカッコつけようとして死んだ。「こんな奴、自分一人で十分だね」とかいってたけど、相手の体力を半分も削れないうちにそいつはポリゴンの欠片になった。名前もイタかったし、正直笑いを堪えるのが難しかったね、あれは。そのせいで具合が悪いんじゃないかってくりむーに心配されちゃったから、あいつ絶対許さんからな。
「よし、じゃあこれで進みます。タヨトさん、相手は動いてますか?」
「いえ、止まっていま…角のすぐ近くに一体来てます!なお接近中!」
「ええっ!」
「ちいっ!タヨトさん、相手が角から出てくるタイミングを知らせてください!」
しまった。心の準備ができていない。敵はすぐそこらしい。タヨトさんも驚いてる。こっちは人数がいるから気が抜けていたんだね。タヨトさん、普段は敵が来たら隠れてやり過ごすか逃げるみたいだし。ガバナンさんがスキルの準備をしてる。先手を取って押し切るつもりか。まあ、敵はもう一体いるみたいだから、時間をかけたくないんだろう。
「カウント、3,2,1、今!」
「『スティング』!」
「ん?」
タヨトさんの合図に合わせて、ガバナンさんの刺突系スキルが発動する。タイミングはバッチリで、槍は角から出てきた人へと吸い込まれていった。
やらかした!と思った。完全にこちらのミスで相手にダメージを与えてしまった。これではオレンジパーティーになっちゃう。このゲームは当たりどころが悪いと一撃で死ぬこともあるから、下手したらアタシたちレッドパーティーになるかもしれない。そう思ったけど、
「わ!びっくりした」
ガバナンさんの槍は、相手を素通りした。実際はそんなことなくて、ギリギリで躱したんだろうけど、その時のアタシにはそう見えた。気の抜ける声が聞こえて、相手がガバナンさんのすぐ近くにいた。この場に似合わないメイド服が印象的な相手だ。ガバナンさんはスキル後の硬直で動けないようで、ピクリともしない。そして相手の手にはいつの間にかナイフが握られてて…
「待ってください!」
んー、ユニちゃんが捉えた反応って、これ人だよね。いるのがちょうど角の先だからまだ見えはしないけど、動き方がアリさんっぽくないね。アリさんならもっと動きが速いし、もっと統率が取れてる感じ。
うーむ、人なら一応挨拶くらいはしとこうかな。もしかしたら、向こうもこっちに気づいてるかもしれないし、もしそうなら挨拶くらいしないと失礼だよね。うん。
「ベルちゃんベルちゃん、そこの人たちにちょっと挨拶してくるね。ベルちゃんも来る?」
「あー、オレはいいや。こいつらの相手をしてるわ。」
「おっけー」
向こうにいるのが人だってユニちゃんもわかったみたいで、向こうへはすっかり警戒を解いてるね。クロちゃんも鉱石を回収し終わったみたいで、ふたりとも遊んで欲しそうにしてるし、ここは言葉に甘えようかな。
「じゃ、挨拶してくるから、何かあったら呼んでね」
「おう、任せろ。」
頼もしい!じゃあわたしもちゃっちゃと挨拶してこようかな。てててーっと角まで走って、相手とぶつからないように速度を落とす。出会い頭にぶつかるのは、アレ漫画だから許されるけど、実際にやったら超気まずいからね。わたし、しってる。
「『スティング』!」
「ん?」
あ、あれー?角を曲がった途端に槍が迫ってきたよ。びっくりした。なにこれ?おかしい。こんなはずでは…ハッ、ふっふっふ、分かってしまったもんね。きっと、この人達は山賊か何かで、それでわたしに襲いかかってきたに違いないね!わたし、頭イイ!
そうと分かれば、この人達も根切りにするもんね。まず、槍は適当に躱す。そんな雑い突きなんか当たんないもんね!次に、距離を詰めつつ手を軽く振って、袖口からナイフを取り出す。そしたら山賊さんの首を掻っ切って…
「待ってください!」
「あ、エミリーちゃんだ。やっほー」
横から大きな声で静止がかかる。普段なら無視するけど、知ってる声だったからね。エミリーちゃんは、宿の場所を教えてくれた恩人!そのエミリーちゃんが待ってって言うなら、わたしはちゃんと待つよ。わたし、えらい。
「すいません!」
「ごめんなさい!」
「すみません!」
「ごめんなさい!」
「ア、アヤさん!?ご、ごめんなさい!」
「え、なになに?何がどうなってるの?」
えっ?あわわわわ、いきなり山賊さんたち(仮)から一斉に謝られてしまった。なにごと?だ、誰か説明を…
「おいおい、何だこりゃ?お前一体何したんだよ。」
「ええっ!何もしてないよ!…まだ」
ベルちゃんがいつの間にやら近くに来てたね。ちょっとびっくり。まあ、あれだけ騒げば気になるよね。何がどうなってるのかは、わたしが知りたいんだけどね。
「おい、そっちの誰でもいいから状況を説明しろ。見てなかったから何が何やらさっぱりわからねえ。」
「は、はい。一応代表して自分が。いいですよね?」
「お願いします。」
わたしを槍で突こうとしてた人が説明するみたいだね。確かになんでわたしが槍で突かれそうになったのか気になるね。未遂だから、理由次第では水に流してもいいかな。すでにたくさん謝ってもらってるしね。
それで、話してもらったんだけど…
「はあ?なんだそりゃ。相手を確認せずに殺しにかかったってのか?ただの通り魔じゃねえか。」
「にゃあ!」
「きゅう!」
「返す言葉もないです…。」
「申し訳ないです…。」
「「「ごめんなさい!」」」
わたしに襲いかかった理由は、わたしをアリさんと勘違いしたってことみたいだね。まあね。正直気持ちはわかるよね。こんな洞窟の奥で向こうからやってくるなら、普通は敵だよね。
相手のパーティーは、何故か全員正座してる。お説教をされるときの基本スタイルだね。ちなみにわたしも相手パーティーに向かい合うかたちで正座させられてるよ。話の途中でめんどくさくなって、ベルちゃんに丸投げしてクロちゃんたちと遊ぼうとしたら、「正座ァ!」って怒られちゃったね。ついでにもらったげんこつが痛かったよ。
クロちゃんとユニちゃんは、ベルちゃんに倣ってふたりして怒ってるね。ただ、ふたりがいるのは、相手のパーティーにいたエミリーちゃんじゃない女の子二人のそれぞれの膝の上だから、たぶん雰囲気に流されて怒ってるふりしてるだけだね。かわいい!その証拠にふたりとも相手の膝の上ですっごいだらけてるし。うむ、かわいい。
「まあまあ、事情はわかったし、向こうも反省してるみたいだから、そこまで言わなくても…」
「コラ!」
「ふみゅっ」
ベルちゃんを宥めようとしたら、逆に両のほっぺをつままれてしまった。天夏ちゃんにもされたけど、わたしのほっぺはそんなにつまみやすいのかな?別に嬉しくはないね。
「お前が不意打ちを問題にしねえやつだから、こうやって暢気に話してっけど、オレとか他のやつだったら大怪我間違いなしなんだよ。大問題なんだよ。わかってんのか。」
「ふぁーい」
怒られてしまった。ほっぺをギューッと引っ張られながら、何が問題なのかを説明されたね。うーむ、あれぐらいの突きなら当たるほうが難しい気もするけど、たしかに当たったら怪我するよね。それはわかるよ。
「お前らも反省しろよ。不意打ちを決めたかったのも分かるけどよ、最低でも相手の確認はしろ。」
「「「「「ハイ!」」」」」
む、ベルちゃんもほっぺを離してくれたし、お説教もこれで終わりかな。なにはともあれ一件落着だね!むう、まだちょっとほっぺがヒリヒリする。
「あ、あの…アヤさん…」
「ん?エミリーちゃんどうしたの?」
ほっぺをむにむにとマッサージしてたら、エミリーちゃんに声をかけられたね。それにしても、まさかこんなに早々と再会するとは思わなかったな。しかもこんな穴の中で。エミリーちゃんの後ろには、パーティーの人たちが勢揃いしてるね。
「そ、その…今回のことは本当にごめんなさい…です。」
「「「「すみませんでした!!」」」」
「あははは、もう過ぎたことだからね。ベルちゃんも言ってたけど、これから気をつければいいと思うよ」
「は、はい!」
「すみません。今回は本当に申し訳ないです。このお詫びは必ずいたします。」
わたしに突きをした本人は、かなり気にしてるみたいだね。気にしなくてもいいよって伝えたけど、どうしても気がすまないみたい。まあ、本人がそうしたいって言うなら好きにすればいいんじゃないかな!…それよりも、
「エミリーちゃんエミリーちゃん、お昼のときはありがとうね。無事に宿を見つけられたよ」
「ふぇっ、い、いえ、こちらこそお店を紹介してもらってすごく助かりました。あ、ありがとうございます。」
「ふふふ、やっぱりおあいこ、だね」
「は、はい!」
うむうむ、やっぱりエミリーちゃんいい子だね。和む。
「エミリーさん、あのときはありがとうございます。エミリーさんが声をかけてくれなかったら、たぶん死に戻ってたので。」
「い、いえ、そんな…」
どうやら、あのプレイヤー「ガバナン」くんはかなりマメな性格みたいだね。エミリーちゃんにお礼を言ったり、パーティーのほかのメンバーに謝罪をしてる。あの様子なら、今後はちゃんと確認するだろうし、これでなにも問題なしだね。よし、じゃあまた進もうかな!
…あれ?クロちゃんとユニちゃんが戻ってきてないね。なんかデジャヴ!
補足
数は2:クローディアとユニが【気配遮断】スキルの効果で見つかっていないため。
ガバナン:リアルでは会社員。普段からこの口調。ゲームの中でも敬語が抜けない。




