表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/42

Road to Logout

初心に帰って、目指せ週イチ投稿!


…また目指すだけになりそう。

「しまった…宿屋の場所を聞いてなかった……まあいっか」


 『Die dritte Arche』を後にして、ログアウトするために宿屋に向かおうと思ったんだけど、どこにあるかわかんないや。しまったね。うーむ、あのとき天夏ちゃんに聞いておかないといけなかったね。まあでも、天夏ちゃんじゃなくてもそのへんの人に聞けばわかるよね。わたし、頭イイ。


 それに、わたしおじいちゃんだからね。孫娘におんぶにだっこじゃあね。うむ。話し方からして、わたしがおじいちゃんとはバレていないみたいだからね。今度こそバシッとカッコよく活躍して、そのときに「実は!おじいちゃんでした!」って自慢したいね。よーし、がんばるぞー!


「あ、あのっ!すみません。ちょ、ちょっといいですかっ!」

「ん?わたし?」


 おお、いきなり見ず知らずの女の人から声を掛けられてしまったね。わたし、なんか落とし物でもしてたかな?それくらいしか心当たりないし。女の人は『エミリー』ちゃんで、プレイヤーだね。背丈がバンジョウさんとおんなじくらいしかないけど、ひげは生えてないね。お顔は可愛らしい系かな。なんだろう。アメとかあげたくなる感じ。


「は、はいっ!そ、その…あなたが着ている服のことでお聞きしたくて……」

「このメイド服のことで?なにかな?」

「い、いいんですか!?」

「いいよー。わたしに分かることならねー」

「あ、ありがとうございます!」

「あはは。まだなんにも答えてないよ。それで、なにかな?」

「は、はい。お聞きしたいのは、それをどのようにして手に入れたかなんですけど……。あ!も、もちろん教えていただければ、報酬は払いますっ!」

「ああ、なーんだ。そんなことかー。えっとね、そこのね、人がいっぱい並んでる屋台があるでしょ」

「えーっと、人の山は見えますが……」


 ありゃ、ちょうど屋台とわたしたちがいるところの間に並んでる人がおっきい人ばかりで、屋台が隠れちゃってるね。もしかして、あれがキャラ作成のときにお姉さんが言っていた、ジャイアントって種族なのかな?


「あのおっきい人たちの後ろ側に屋台があるんだけど、そこで売ってもらったよ」

「ホ、ホントですか!ありがとうございます!」

「うむ!…あ、でも、なんかまだ服は一般販売はしてないみたい。これも試作品みたいな感じだったし」

「そうなんですか…そ、その、いつ頃から売り出したりとかは…」

「うーん。わたしもそのへんは詳しく聞いてないからなー。なんかあっちも手探りって感じだったしね。詳しくは、本人たちに聞いてみるのが早いんじゃあないかな?」

「な、なるほど!そうしてみます!…そ、それで、報酬なんですが…」

「あー、どうしようか?正直大したことは言ってないからね。別にいい気もするけど…」

「そ、そんな!ちゃんと払いますよ。こういうことは、しっかりしておけって教わりましたし。」

「そっか。うーん、じゃあ…あ、そうだ!このへんで、宿屋がどこにあるか知らない?ログアウトしようと思ってたんだけど、知らなくってね。教えてくれたら、それでおあいこってことにしようよ」


 うむ!これなら、報酬の相場がわからなくてもなんとかなるね。いや〜、これくらいでお金をもらうのもなんかね、って思ってたから、いい考えだと思うな!やっぱりわたし、頭イイ!


「そ、それなら分かりますよ!東側の大通りに宿屋がたくさんあります。行ってみれば、いっぱい並んでるので、すぐに分かると思います。で、でも、本当にこんなことでいいんですか?」

「ふふふ、わたしもさっきからおんなじこと思ってるからね。おあいこでいいと思うよ」

「分かりました!で、では、教えていただいてありがとうございました!あ…え、えと…」

「ん?どうしたの?」

「す、すみません。お名前をお聞きしてもいいですか?わ、私はエミリーです!」

「なるほど!わたしはアヤだよ。エミリーちゃんは、キャラインフォを切ってるんだね」

「きゃらいんふぉ?ってなんですか?」


 あれ?なんかわたしも似たようなセリフを言った覚えがあるね。


「なんかね、オンにすると、相手の名前と相手がプレイヤーかどうかが分かるんだよ。べんり!」

「そ、そんなものが…知らなかった…」

「ふふふ。わたしも今朝教えてもらったばかりなんだけどね。オンにする?」

「は、はいっ!変更はステータス画面からですか?」

「そうそう……」



〜15分後〜



「…えーっと、これを押して…あ!できました!」

「おおー!やったね!いや〜、わたし教えるの苦手だから時間かかっちゃったね。ごめんね」

「い、いえいえ!そんなことないです!わ、私の覚え方が悪かったので…」

「そんなことなかったよ。エミリーちゃんは、すごくがんばってたよ」

「そ、そうでしょうか…」

「うむ!じゃあ、これもおあいこってことにしとこうよ。ね!」

「は、はい!じゃあ、おあいこで。」

「ふふふ、じゃあ、わたしは宿屋を探してみるね。色々ありがとうね〜」

「こ、こちらこそありがとうございました!」

「あはは。じゃあ、またね〜」

「は、はいっ!また!」


 頭を下げてわたしを見送ってくれてるエミリーちゃんに手を振りながら、広場を後にする。うむ、エミリーちゃんすごくいい子だったね。今日は、なんか親切でいい子によく会うね。これであのおバカたちに会ってなければ最高だったのにね。うむ、やっぱり次に会ったときは、出会い頭に首を刎ねたほうがいいね。そうしようかな。


「えーっと、こっちが東側だよね?…うむ、太陽が向こうだから、こっちだね。」


 広場を抜けて、東側の大通りへと入る。あ、そこかしこに「INN」の看板があるね。おおー、これならバッチリ分かるよ。エミリーちゃんありがとう!


「さーってと、どこに泊まろうかな〜♪」


 お金はいっぱいあるから、宿代が足りないってことはないよね。そうなると、このたくさんある宿屋を選び放題なわけなんだけど、宿屋の違いがわかんないんだよね。多分、しばらく寝るだけになるだろうし、パッと思いつく違いがベッドの寝心地くらいなんだよね。


 …よし、明らかにぼったくりなところじゃなければ何でもいいかな。適当に数軒の値段とか聞けば、相場もわかるよね。それでいこう!そうと決まれば、とりあえず目の前の宿屋に突撃じゃー!



〜20分後〜



 なんかね、どこも思ってたよりも安いね。とりあえず3軒回ってみたけど、一番安いところが1泊100Rで、高いところでも200Rだったからね。倍額だけど、ちょっと休むだけなら正直誤差かな。お金いっぱいあるし。それに、高いところのほうが値段なりに豪華だったから、別にぼったくりってわけでもなさそう。


 と、いうわけで、最後に入った宿屋でもういいかなって思ったからね、ここに決めました!宿屋の名前は『踊る小兎亭』で、1階は酒場になってて、2階と3階が宿屋になってるね。ちなみに、さっき回ったところは全部そうなってたから、この街じゃこれが普通なのかもね。


 宿代は、2階が1泊160Rで、3階が200Rになってたね。3階のほうが部屋が広いのと、酒場から離れるからその分静かなんだって。今回は、どうせ数時間しかいないだろうから、2階の部屋にしたよ。宿屋の受付してたおねえさんは、一人なのに昼間に数時間だけの利用って聞いて不思議そうな顔をしてたけど、異界の旅人だからねって伝えたら、一応納得してくれたよ。料金は先払いで、一応明日の朝までは部屋を使えるみたい。出るときは言ってねってことだった。


 今、わたしはその2階の部屋で、このゲームのヘルプを見てるよ。うむ、ホントはね、部屋に入ってすぐにログアウトしようかと思ったんだけど、部屋で何をすればログアウトできるのか知らなかったからね。いや〜、ついうっかり聞きそびれてたね。


 そんなこんなで困ってたら、さっき天夏ちゃんが言ったことを思い出して、このゲームのヘルプを確認してるところだね。ログアウトのしかたが載ってるって言ってたからね。どこかな?



〜10分後〜



「やっと見つけた〜!」


 いや〜、関係ないヘルプまで読んじゃってて時間がかかってしまったね。肝心のログアウトの方法は、ベッドで寝ようとしたらログアウトするかどうか聞かれるから、するって選んだらいいみたい。かんたん!


 じゃあ、クロちゃんもユニちゃんもずっと起きそうにないし、わたしも寝ちゃおうかな。ベッドに体を乗っけて、…あ、ちょっと窮屈。次からはおっきめのベッドがある部屋にしようかな。じゃ、おやすみ〜。


【ログアウトしますか?Yes or No】


いえーす







「…んあ?…あ!もどってる!」

「おはようございます。御主人様。」

「あ、おはよー。…おはよう?」


 現在、時間は午後6時3分。寝起きの挨拶だけど、夕方だしなんか違和感あるね。実際、寝てたわけじゃあないしね。わたしに声をかけたのは、メイドのエマちゃん。彼女は、人じゃなくてロボットだよ。10年くらい前に、娘たちからわたしの監視役ってことでプレゼントされたんだよね。お父さんは目を離すと怖いからって言ってたね。そうかな?


 わたしは、横になっていたベッドから起き上がって、うーんって伸びをする。うむ!このベッドも実験品っていってたけど、思ってたよりも寝心地は悪くないね。いや、寝てないんだけどね?


「御主人様。夕食と入浴はどちらからいたしますか?」

「んー、お風呂にしようかな!」

「かしこまりました。準備はすでに完了しております。」

「ありがとー。今日の晩ごはんはなーに?」

「ご希望どおり、今朝畑で採れましたゴーヤを使用した、ゴーヤチャンプルーとなっております。」

「わーい」


 うーむ、有能!エマちゃんは自律思考型のロボットで、簡単なお願いをしておけば、後はある程度勝手に動いてくれるからね。すごく助かるね。ちなみに、見た目は殆ど人間と変わらないかな。パッと見てわかる違いは、耳の部分がヘッドホンつけてるみたいになってて、そこからアンテナが上に伸びてるくらいかな。それについても、そういうアクセサリなんだよって言われれば、わたしは気が付かないと思うね。それくらい人間そっくり。


 さてと、じゃあちゃっちゃとお風呂入ってこようかな!…あ、忘れてた。


「くろちゃーん。お風呂はいるよー」

「にゃ!」


 かわいいおへんじをして、てててててーっとやってきたのは、我が家のアイドル、黒猫のくろちゃんだね。この子はなぜかお風呂大好きだからね。呼ばないと不機嫌になっちゃうからね。ちなみに、見た目はゲームのクロちゃんとそっくりだね。帽子はかぶってないけど。あれ?逆なのかな?向こうがこっちに似てるのかな?うーん、どっちでもいいか。


 どうでもいいけど、この子もわたしのことを自分専用の乗り物かなんかだと思ってるね。しょっちゅうわたしに乗っかって寝てるし。そんなにわたしは寝心地いいのかな?悪い気はしないね!でもお顔の上は勘弁してほしいかな!


 わたしの家は、昔ながらの純和風建築だね。少なくとも見た目は。まあ、今の時代は便利なものがいっぱいあるからね。わたしは、風情を邪魔しなければ、どんどん新しいものは取り入れていいと思ってるから、おもしろそう!って感じたものはついつい買っちゃうんだよね。最近のお気に入りは、全自動草むしりロボット「ザガーン」くんかな。夏の間はもう全部任せようと思ってるよ。


「よーし!お風呂入ろっか」

「にゃー!」

「ごゆっくりどうぞ。」


 うーむ、悩ましい。のんびりお風呂入りたい気持ちもあるけど、やっぱり向こうが暗くなる前に戻って、冒険もしたいよね。まあいいや。なるようになるでしょ!どうせ今日は軽くシャワーで済ませるつもりだし。さーて、ちゃっちゃと入ろうかな。





「ふう〜!さっぱり!」

「にゃあ〜。」


 お風呂から上がって気分爽快!くろちゃんもリラックスできたみたいだね。うむうむ、よきかな。ちょっとのんびりしたら、晩ごはんを食べようっと。


「御主人様、西条茜様よりお電話が入っております。いかがなさいますか?」

「おっけー。出るよー」

「かしこまりました。」


 壁際に設置された、小型のスピーカーからエマちゃんの声が響く。どうやら、知り合いからの電話みたいだね。この家の機械・ロボット類は、エマちゃんが一元管理してる状態だから、エマちゃんは家のことならホントに何でもできる我が家のメイド長だね。ありがたい!


「あ、どもども〜。西条っす〜。アヤさんっすか〜?」

「やっほー。わたし!」

「アヤさんっすね〜。こないだぶりっす〜。」

「そだねー。今日はどったの?」

「いや〜、アヤさんログアウトしたっぽかったんで、一応感想を聞いとこうかなって。」

「あはは、なるほどね。リアファンすごかった!とっても楽しかったよ!晩ご飯食べたら、また冒険するもんね」

「そっすよねそっすよね!マジ自信作っすもん!どんどん楽しんじゃってくださいっす!」

「うむ!…あ、そうだ。いっこだけ聞きたいことがあったんだよね。」

「どぞどぞ。攻略情報以外なら何でも答えるっすよ。」

「ゲームでさ、結構戦ったんだけど、相手も自分も結構傷とかまでリアルだったんだよね。これって年齢制限大丈夫なの?」


 そう!これが気になってたんだよね。わたしは満足できたけど、あれ絶対全年齢だと通らないよね。わたしが!これまで!それで!何回!ボツ食らったか!うわーん!


「あー、それっすか。コンソールの個人設定で18歳以上なら、超リアルモードが選択できるようになってるっすね。一応そのへんも宣伝してるんで、大丈夫なはずっす。」

「なるほど!じゃあきっと大丈夫なんだね!いやー、みんなおんなじなのかなって思ってからね。ちょっとびっくりしちゃったね。そんなふうになってたんだね。」

「そすそす。ちなみに、ノーマルモードだと、肝心なところはポリゴン片にしてるっすね。それでも苦情が出たらまた考えるっす。」

「そだね。18歳以上だと、みんなその超リアルモードになるの?」

「いや、むしろ基本的に全員ノーマルモードのはずなんすよね。なんで、アヤさんがコンソールの設定でいじってるはずなんすけど…」

「んー、多分さやちゃんに泣きつ…手伝ってもらったときかな?」

「ああ、多分それっす。そういうことしそうっすもん。」

「そっか。まあいいや。わたしは別に困ってないし」

「なら良かったっす。じゃあ、こっちから連絡しといて申し訳ないっすけど、サービス初日でバタバタしてるんで、このくらいでまた仕事に戻るっす。アヤさんの冒険を応援してるっすよ!」

「ありがとー!がんばるよ!じゃ、またねー!」

「またねっすー!」


 別れの挨拶とともに、スピーカーを通じての電話が切れる。うむ、アカネちゃん忙しそうだからね。邪魔したら悪いよね。


 アカネちゃんは、何を隠そうリアファン開発の責任者さんなのだ!スゴイ!

補足

キャラインフォ:天夏は2分43秒で教えた。 ???「これでも時間かかったほう」


くろ:「断じてクローディアとはなんの関係もない。これっぽっちもない。」


さやちゃん:1話に出てきた次女。フルネームは「海音サヤカ」。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ