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わたし、頭イイ!

毎回このくらいのペースで投稿できたらなあ。

「あれー?また会っちゃったじゃん。もしかして、オレら相性いいんじゃなーい?」

「もうマジ最高っしょ。おネーサンたちさあ、もうこれ運命だって。」

「ぶふっ!あっははははは!!もう、あははは!せっかく収まったのに、あははははは!!」


 あーあ、またラブちゃんがツボにはまっちゃったね。広場についたら、なんとさっきのナンパ兄弟たちも広場に来てたみたいで、またナンパされちゃったね。さっき断られたのに懲りないなあ。


「もう!さっきこの子も言ったけど、わたしたちはそっちに用はないからね!」

「…にゃ?」

「ああ!まったく、せっかく寝てたクロちゃんまで起きちゃったでしょ!」

「そんな事言わずに一緒に楽しくやろうぜ。」

「別に猫ちゃん起きてもどうでもいいじゃん。そんなことよりもさ、オレらマジ雰囲気いいとこ知ってんだけど。」

「こらー!そんなことなわけ無いでしょ!こっちのほうがよっぽど重要だもんね!」


 まったく!プンスカだよプンスカ!下半身でしかものを考えられないおバカ二人とクロちゃんの睡眠とどっちが大事かなんて火を見るよりも明らかでしょ!うがー!


「おいおい、なんの騒ぎだ?なんであの変態はバカみてーに笑い転げてるんだ?」

「なんかあいつ等がそこの二人をナンパしてる感じ?」

「いやそれでそうはならんやろ…」

「なっとるやろがい!」


 人が集まる広場で騒いでたから、周りに見物人が増えてきたね。別に見てるだけじゃなくて、このおバカたちを追い払うのに手を貸してくれてもいいんだよ?


「おい、なんか面倒なことになってねーか。」

「チッ、恥かかせやがって。行こうぜ。」


 ん?ギャラリーが増えてきたから、おバカたちが逃げてくね。うーむ。全く反省してないだろうし、逆恨みで絡んできそう。めんどくさそうだなー。クロちゃんも興味なくしてまた寝ちゃったし。まあ、今はそれよりも…


「ラブちゃーん。しっかりー」

「はーっ、はーっ、はぁっ!あー、もう大丈夫です。…ん?見せもんじゃないぞ、散れ散れ!しっしっ!」

「まあまあ」


 笑いの発作?が収まったら、ラブちゃんが周りの人だかりを散らしてくれたね。頼りになるなあ。…言い方はどうかと思うけど。


「よし!今度こそ冒険者ギルドへレッツゴーだね!…何回目だろねこれ」

「おー!…さあ?」


 気合を入れて出発したから?したけど?…どっちでもいいや。とにかく、その後は特に何もなく冒険者ギルドに着いたよ。


「ようやく着いた!神殿を出てからそんなに時間はたってないはずなのに、なんかすごく長かったね」

「原因は明らかですけどね〜。」


 まさか二回も遭遇するとはね。次あったときは、出会い頭に息の根を止めたほうがいいのかもしれないね。そうすれば、それ以上時間を取られることもないでしょ。わたし、頭イイ。


 そんな事を考えながら、冒険者ギルドの扉を開ける。ギルドの中は、昨日よりもいくらか閑散としてるね。やっぱり昨日はゲーム初日でプレイヤーが多かったのかな。えーっと、まずは依頼達成の報告だね。やり方は確か、報告用の窓口があるんだったよね。どこだろ?


「いらっしゃいませ。ようこそ【冒険者ギルド ワンダル支部】へ。どのようなご用件でしょうか」


 窓口を探してたら、昨日聞いたのとおんなじ言葉が聞こえたね。おおっ!この声は!


「やっぱり!昨日案内してくれた職員さん!」

「ああ、昨日の方ですか。」


 昨日といい、私が困ってるタイミングで来てくれるからすごく助かるね!


「依頼達成の報告は、どの窓口ですればいいのかなって」

「それでしたら、あちら右手側にあります依頼報告カウンターへどうぞ。」

「ありがとー!」


 あっちだったか。よーし、場所がわかれば報告するだけだから簡単だね。


「アヤさんアヤさん、今の職員さんは知り合いですか?」

「ん?えっとね、昨日ここに来たときに、色々案内してくれたんだよ。説明もわかりやすかったし、丁寧で優しかったね!」

「へえ、βじゃもっと無機質な感じでしたね。基本的に言うこと同じでしたし、やっぱ結構変わってますねえ。」


 そういえば、そういうことに興味を持ったから情報屋を始めたって言ってたね。やっぱり気になるんだね。


 ラブちゃんと話しながら窓口へ行くと、そこには昨日登録したときに受付にいたおねえさんが座ってたね。


「いらっしゃいませ〜。どちらの依頼のご報告ですか〜?」

「わたし!えっとね!…あれ?どうやって示せば…わっ!?」


 びっくりした。急に目の前にウィンドウが現れたね。ウィンドウの上の方に、【受付中依頼一覧】って書かれてる。なるほど!ここから選べってことだね!なっとく!


「ていっ!うむ、このウルフ討伐依頼だね。がんばった」

「それでは〜、冒険者カードも一緒にお出しくださ〜い。」

「はーい。どうぞ」

「ではでは〜。少々お待ちくださ〜い。」


 ウィンドウにあった【ウルフ討伐(常設)】のところを押したら、依頼票がでてきたね。それをおねえさんに渡したら、冒険者カードもいるみたいだった。確かに、このカードに何を倒したかの情報が入ってるって天夏ちゃんが言ってたもんね。


 おねえさんは、依頼票と冒険者カードを自分の後ろにあった秤の上に乗っけたね。あの秤が、ちゃんと依頼をやったかを確認するのかな?聞いてみよーっと。


「ねえねえ、あの秤はなーに?」

「あの『はかるくん』は〜、依頼票とカードを乗せると〜、達成度までちゃんと測った上で〜、報酬計算してくれる優れものなんですよ〜。常設依頼に限りますけどね〜。」

「はえ〜、よくわかんないけど、スゴイんだね!」

「そうなんですよ〜。つい最近できたものらしくて〜、すごく助かってます〜。」

「あー、すみません、ちょっと聞きたいんですけど、達成度ってなんですか?」


 おねえさんとお話してたら、ラブちゃんがなにか気になることがあったみたいだね。わたしは、わかんないことだらけだから、もうあんまり深く考えないことにしてるよ。あの秤はスゴイ!それでいいのだ!


「常設依頼で〜、今回みたいな『魔物を○体討伐』とか〜、『アイテムを○個納品』っていう依頼のときにですね〜、指定された数を成果が上回ったときは〜、頑張ったご褒美に報酬がプラスされるんですよ〜。」

「はえ〜」

「へえ〜、常設依頼全然受けたことなかったから知らなかったな。」

「そういう人は珍しいですね〜。それで〜、そのご褒美の基準を【達成度】って言うんですよ〜。」

「なるほどなるほど。どうも、よくわかりました。…ちなみに、ご褒美ってどれくらいあるもんなんですか?」

「そうですね〜、例えば今回のウルフ討伐ですと〜、通常の5頭倒したときの報酬を10として〜、普通は10頭倒せば報酬は20になって〜、20頭倒せば40になる計算なんですけど〜、たしか大体10頭区切りくらいで〜、報酬が10%増しになるんじゃなかったかな〜。」

「そうすると、10頭倒したときは110%で22の報酬になって、20頭のときは120%で48になるってことですか。」

「そういう感じですね〜。ただ〜、もとの報酬基準の2倍までが〜、基本的に限度となっております〜。それ以上になると〜、上の判断次第みたいです〜。」

「はえ〜」

「元の2倍ですか。結構いい稼ぎになりますね。まあでも、ウルフ100体は死ねるな〜。」

「ちなみに〜、ウルフ討伐は期限設定のない依頼ですが〜、依頼を達成するまでの期間によって〜、達成度の査定が上下します〜。」

「はっはぁ、いっぱい報酬を得るために、あえて報告せずにチマチマと数を水増ししても無駄ってことですね。」

「はえ〜」

「そのとおりです〜。鋭いですね〜。」


 天夏ちゃんもいってたけど、ラブちゃんはかなり頭の回転が速いよね。まあ、わたしほどじゃないけどね!!


「それにしても〜、結構計算に時間かかってますね〜。どれくらい討伐したんですか〜。」

「えっとね、ひ…」

「おっと、ちょっと待った。その話はここでするもんじゃあねえな。」

「ん?」


 カウンターの奥の方から、背の高い筋骨隆々な男の人がでてきたね。ごっついなー。自信に満ちた顔つきで、見た目は50代後半くらいだけど、その覇気はまだまだ第一線でも通用しそう。うーむ、体つきといい、纏う覇気といい、なんとなく赤クマを彷彿とさせるね。


「誰です?」

「支部長〜?どうかされたんですか〜?」

「コイツから連絡が入ってな。姉ちゃんたち、俺はここ【冒険者ギルド ワンダル支部】の支部長をやってるキース=ウラカンだ。ちっと奥の部屋で姉ちゃんたちと話がし「ぶふっ!」おおっ?」


 ああ…支部長さんの勘違いがまたラブちゃんに突き刺さったみたいだね。結構我慢してたけど、耐えられなかったか〜。


「あはははは!もう!なんでみんなしてそう…あははは!」

「おおう、大丈夫か姉ちゃん。まあなんだ、真面目な話をしてえんだが…」

「ふふふ、きっと支部長の勘違いがおかしかったんですよ〜。」

「ああん?勘違い?」

「そうですよ〜。このアヤさんは〜、男性ですからね〜。」

「……男?は?男ぉ!?」

「もちろん!」


 イマイチ信用されてないから、胸を張って男性だってことを主張してみる。全く、なんでわかんないかな。


「あー、可笑しい。みんな間違うんですもんね。」

「マジかよ。全然気づかなかったぜ。…おまえはよく気づいたな?」

「昨日わたしが登録受付したので〜。」

「ああ、なるほどな。あー、まあとにかくだ。おまえさんたち二人と話がしたい。奥に来てもらえねえか。」

「わたしはいいよー」

「そうですね。こっちも聞きたいことがあるんで。」

「うっし決まりだ。付いてこい。秤の上の依頼票とカードを忘れんなよ。」

「はーい」


 すーっと歩く支部長さんに付いてくと、立派な装飾の施された部屋に案内されたね。部屋の真ん中にテーブルがあって、テーブルの両側にはおっきなソファが向かい合ってるね。奥には、いかにも偉い人の仕事用って感じの机がドンって置いてある。支部長室なんだって。それよりも、支部長さんが歩くときにあの巨体なのに全然ドタドタって歩くときの音がしないのにびっくりしたね。すごい。


「おう、まあそのへんに掛けてく…。」

「うおっ、すげー!ソファふっかふか!」

「ほんとだ!ふっかふか!」

「…最後まで言わせろよ。」


 ?別に言えばいいんじゃないかな!足音を立てなかった支部長さんに対抗して、わたしも足音を立てずにソファに座ってみたよ!ふっかふか!


「まあいい、俺もそこまで暇じゃねえしな。さっさと済ませちまうか。」


 そういうと、支部長さんはわたしたちが座ってるのとは反対側のソファにどっかと腰を下ろしたね。そういえば、なんで呼ばれたのかまだ聞いてなかったね。


「さてと、まず、俺がお前さんたちを呼んだのは、依頼報告用の秤から連絡をもらったからだ。」

「『はかるくん』から?」

「…そうだ。あの秤は、報告者がこちらの設定した基準を遥かに超えた成果を出したときに、それを上のモンに報告する機能がついてる。今回は俺だな。」

「なんで?」

「そんだけの成果を叩き出せる実力を埋もれさせとくのはもったいねえだろ。それに、…いや、今はいいか。」


 ?なんか言いかけてたね。まあ、今はいいなら気にしないけど!


「……」

「まあ…そういうわけで、だ。秤から報告があったのは、1日でウルフが152体。大したもんだ。それに加え、マナ・ガルムとフレイムーン・ベアの名前がカードの討伐リストにあった。間違いねえな。」

「うむ!わたし、がんばった!漁夫の利だったけどね!」

「そうか…よし!それが分かりゃあ問題ねえ。まだ本決まりじゃねえが、アヤ、お前さんを俺の権限でDランク冒険者にする。」

「ええええええええ!ありですか!?」

「やったー!…でもほんとにいいの?試験とか、依頼達成数とかあるんじゃないの?」


 ランクアップは嬉しいけど、急な2階級特進はちょっと不吉。一応確認しとこうかな!


「ああ。強さについては、ウルフを一晩でそんだけ倒せるなら問題ねえだろ。人柄についても話してみたところ悪くねえ。それに…若手から元気なやつが出るのは、ギルドとしてもありがたい。上位連中のケツを叩くいい機会だぜ。」

「なるほど!そういうことなら、ありがたく受けようかな!」

「おおー。もうDランク。…クラマスに連絡しとこ。」

「おう、受けてくれるか。よっしゃ、まあただ、さっきも言ったとおりまだ本決まりってわけじゃねえ。ほぼ100%通る話だがな。それでもランクアップの手続きが終わるのは、最速でも明後日だ。そいつは覚えておけ。」

「はーい」


 あさって!忘れないようにしないとね。まあ、きっと大丈夫でしょ!


「昇格以外にも、通常の依頼達成報酬はきちっと渡すからな。そっちの方はすぐにでも用意できる。計算も終わってるから、そろそろ金の準備もできる頃だろ。」

「わーい。いくらになるかな〜♪」

「うし!じゃあ、これでこっちの要件は終わりだ。そっちの要件はなんだ?姉ちゃんの方は聞きてえことがあるみてえだが。」


 …そう言えば、その件もあったんだったね。忘れてなかったよ。ほんとだよ。


「そうですね。私が聞きたいのは、噂の()()()内容についてですね。()()()()知ってますよね?」

「噂?なんだそりゃ。噂なんてそこら中に掃いて捨てるほどあ…」

「とぼけても無駄ですよ。()()噂の内容が真実だからこそアヤさんをここに呼んだんですよね?」

「そーだそーだ」

「…チッ。勘のいい姉ちゃんだぜ。箝口令は敷いてたはずなんだがな。どっから嗅ぎつけやがった。」

「アヤさんが直に聞かれたんですよ。噂は本当なのかって。」

「聞かれた!」

「クソッ!どこの馬鹿だ。」

「さあ?私はちょうどその場にいなかったので。それで、話していただけますよね?」

「…いや、だめだ。お前たちは噂の概要しか知らねえみたいだからな。詳しい内容は教えるわけにはいかねえ。そのための箝口令だ。」

「…ふーん。そうですか。じゃあ、()()()()()()噂の通りに、自由に動いても構わないですよね。腕がなるなあ。」


 ?噂が何なのかすら私は知らないからね。もちろん自由に動くよ。


「おい待て。何の話だ。お前が聞いた噂ってのは、どういう内容だった。」

「えー、教えませんよ。そんなの。そっちも教えてくれないじゃないですか。それに、箝口令が敷かれてるので、善良な冒険者の私はもちろん()()()言いませんよ。」

「そーだそーだ」

「……クソが!…しゃあねえ。俺はこういう腹芸は苦手だからな。粘るだけ時間の無駄だ。教えてやるから、お前らが聞いた内容も話せよ。」

「りょーかーい。」


 おお!ラブちゃんスゴイ!わたしもできる限りのサポートをしたかいがあったね!


補足

『はかるくん』:受付のおねえさんが命名。長い正式名称が別にある。みんなは基本的に『あの秤』としか呼ばない。


0-15:腹芸スキルは天夏の取り調べから逃れるために身に着けた。肝心の天夏には大して効果がない模様。

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