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てんしょく!

書くスピードはもうどうしようもないのかもしれない。

「なるほど〜。『()()』がわたしに唯一合うサイズの服なんだね」

「ええまあ、現状ではそうなりますね。」

「いや〜、しっかし似合いますね。」

「え?そうかな?試しに着てみたけど似合ってる?」

「……そうですね。意外なまでに。」


 そっか〜。似合ってるかぁ。えへへへ、てれる。


「あ〜、アヤさん、それで、結局どうしますか?まさかとは思いますが、その服、というか装備一式を買われますか?」

「そだね。他に着るものもないし、似合ってるらしいしね!」

「あはははは!いいですね!いやホント似合ってますよ!まるで本職の人みたいですよ。」

「でしょう!」

「……はい。では、ご購入ということで。代金は情報料から差し引いておきますね。」

「ありがと〜」


 ふふふふふ。これで破けた服ともおさらば!やっとお外にでられるね。


「じゃあ、準備もできたし、お出かけだね!」

「よし!任せてください!バッチリこの街を案内しますよ!昨日散々走り回って地理は頭に入ってるんで!」

「………ノーコメント。」

「うむ!それじゃあ行ってきまーす!」

「行ってきまーす。」

「はーい、いってらっしゃ〜い。」


 なんか甘夏ちゃん最後投げやりな感じだったけど、やっぱり疲れてるのかな。うーむ、結構長く話に付き合わせちゃったかな。ちょっと申し訳ないことをしたかも。


 まあ、今は切り替えてちゃっちゃと用事を済ませちゃおうかな!いやー、ラブちゃんがいてくれてよかったね。わたし一人じゃ絶対迷ってたよ。そのラブちゃんは、眠ってるユニちゃんを抱っこしながら、道案内で先導してくれてるね。ユニちゃんに夢中で私が忘れられてるとかではないはず。…はず!


……一応確認しとこうかな。


「ラブちゃん!…あれ?おーい、ラブちゃーん?転職できる神殿って結構遠いの?」

「うへへへへ……はっ!いや、広場出て5分も歩けばつくんですぐですよ。」

「そうなんだ。近いんだね」

「ですです。冒険に出るのに活用する施設は、この広場の近くに集まってるんですよ。理由は知りませんが。」

「へー、知らなかったな〜。使いやすくていいね」

「ですね。」


 ラブちゃんとそんなことを話しながら街を進む。うーむ、なんか周りから見られてる気がするね。やっぱりこの格好が目立つのかな。他におんなじ格好してる人見ないし。


 そうやって街の人の視線を感じながら歩いてると、目の前右側におっきな石造りの建物が現れたね。これが神殿かな?


「ラブちゃん、ここ?」

「ですです。昨日はちょっと混んでましたけど、今日は空いてますね。」


 おお、もう着いちゃったか。早かったね。よーし、バッチリ転職しちゃうぞ〜!


「じゃあ、中に入りましょうか。転職のやり方は、中にいる神官さんが教えてくれますよ。」

「はーい」


 神殿の門は開け放たれていて、誰でも出入り自由みたいだね。門番さんもいないし。


 門を抜けて中に入ると、10メートルくらいの回廊が続いていたね。回廊の両側に、羽根の生えた精巧な天使の像がズラッと並んでる。…あ、おねえさんもいるね。


「はえ〜、すごい」

「ほんとすごいですよねー。私も昨日初めて見たときは圧倒されましたもん。」


 ラブちゃんに先導されながら回廊を進む。まあ、わたしが像に見惚れてたせいで遅れただけなんだけどね。あ、まって〜。


 回廊の先は、かなり大きな部屋?というか聖堂になってた。天井までは10メートル以上あるね。聖堂の両側には様々な模様のステンドグラスがはめ込んであって、色とりどりに光を取り込んでる。んー、あの模様は、もしかしてこのゲームのジョブを示しているのかな?


 そんな聖堂の奥には、他よりも高い位置に祭壇が見えるね。祭壇の中央には、丸い鏡を持った落ち着いた印象の女性を象った石像が佇んでる。女神様なのかな?その周りに、ステンドグラスにもあった剣や槍、弓に杖といった武器から、裁ちばさみや金槌、おたまに鍬といった生産用の道具が彫られてるね。おそらく、この女神様がこの神殿で祀られる神様なんだろうね。


「ごきげんようお嬢さん。昨日ぶりだけど本日はどうしたの?」

「どもども、ステラさん。昨日は助かりました。結局捕まりましたが。」

「あらあら。大変だったのねえ。」

「本当ですよ。でも、おかげでこの子と会えたので、結果オーライです。」

「ふふふ、そう。良かったわね。」


 わたしが聖堂の中を見渡してると、わたしと同じくらいの年齢のおばあちゃんが、ラブちゃんに話しかけてた。昨日ぶりって言ってたけど、かなり仲良さそうだね。


「おや、そちらの方は初めてね。当神殿にはどういったご用件で?」

「こんにちは!上位職になれるみたいだから、転職にね!」

「それはそれは。おめでとう。転職は初めて?」

「初めて!」

「なら、こちらへどうぞ。やり方は簡単なので、すぐに覚えられるわよ。」

「はーい」


 おばあちゃんに連れられて、聖堂の奥へと向かっていく。目的地は祭壇かな?


「あなたは異界の旅人さん?」

「そうだよ!よく分かったね。」

「ええ、何となく分かるのよ。お名前をお聞きしてもいいかしら?」

「もちろん!アヤだよ!」

「アヤさんね。私は、アークビショップとしてこの神殿の管理をしている、ステラ=アージェンタムよ。よろしくね。」


 アークビショップ!よくわかんないけど凄そう!このおっきな神殿の管理をしているみたいだし、実は偉い人なのかな?んー、まあいっか。


「ステラちゃんだね。こっちこそよろしくね!」

「ちゃん付け…。」

「あらあら、そう呼ばれるのもいつぶりかしら。悪くないわねえ。」


 怒られたら呼び方考えようと思ってたけど、これでいいみたいだね。そのままお話しながらステラちゃんに案内されたのは、祭壇の前だったね。神殿だしやっぱりお祈りでもする感じなのかな。


「この祭壇の前で、職神サヴァト様に祈りを捧げれば、新たなる職への道が拓けるでしょう。さあ、どうぞ。」

「ありがとー」


 うむ!祈ればいいんだね。えーっと、目を閉じて、職神様職神様、どうか転職させてください。…なるべくわかりやすく。


『転職の意思を確認。希望の転職先をリストより選択してください。』


「どうやら祈りが通じたようね。さあ、目を開けて自分の新たな可能性を見極めて。」

「はーい」


 おお、目を開けると、目の前にさっきまでなかった転職先を選ぶ画面がでてる。ここから選べばいいんだね。あ、上位職ってどう探せばいいんだろう?


「あー、アヤさんアヤさん、多分上位職の探し方がわかってないと思うので教えますけど、画面の上の方に『○次職』ってタブが選択できるようになってますよね。」

「なってる!」

「【見習い従魔士】は初期職なので、その上位職は二次職です。そっから探すといいですよ。」

「ありがとー!」

「あらあら、先に言われちゃったわねえ。」

「まあ、これくらいなら私でも教えられるんで。案内役買って出たからには、これくらいはしないとですねー。ステラさんも昨日から説明ばかりで大変でしょうし。」

「ふふふ、そう、ありがとう。」


 なんか二人が楽しそうに話してるけど、わたしはそれどころじゃないもんね。せっかく教えてくれたんだから、間違えないように転職しないとね!


 えーっと、この『二次職』ってタブだったよね。…よし。さーってと、なにがあるかな〜♪



【転職可能ジョブリスト(二次職)】

下級従魔士



 ……以上!!


 …うん。悩む必要がないのはいいことだよね。正直キャラ作成のときくらいにいっぱいジョブがあっても一人じゃ選べないし。それに下級って書いてあるから、これからもっと強くなってくだろうしね。目指せ上級。


 よーし!悩む必要がないならちゃっちゃとすませちゃおうかな!リストの【下級従魔士】を押してっと。


『【下級従魔士】に転職しますか?YES or NO』


 いえーす!ポチッとな。


 転職はすぐに終わったよ。わたしが一瞬光に包まれて、すぐに光は収まったね。それで完了だったみたい。うーむ、実感がわかない。


「アヤさん、上位職への転職ではステータスが上がったり、新しいスキルがゲットできたりするんで、一応確認しといたほうがいいですよ。」

「そうね。サヴァト様からの祝福が授けられるわ。」

「なるほど!早速見てみるね」



プレイヤーネーム:アヤ 種族:ヒューマーLv10 ジョブ:下級従魔士Lv1 状態:呪い(封)


HP:24/26(1UP) MP:17/26(1UP)

STR:8 VIT:8 INT:9(1UP) MND:9(1UP) DEX:8 AGI:8 LUK:13


スキルポイント:12


スキル: 従魔法Lv6(1UP) 使役Lv5(1UP) 杖Lv3 料理Lv1 錬金Lv1 調合Lv1 剣Lv6 体術Lv6 火魔法Lv4 水魔法Lv1 土魔法Lv1 風魔法Lv3 光魔法Lv1 闇魔法Lv1 幸運Lv4 気配察知Lv3 呪月の魔眼Lv1


称号:ウルフキラー・ジャイアントキラー・月夜の覇者



 おおー!結構強くなってる!新しいスキルはないけど、【従魔法】と【使役】のレベルが上ってるね。頑張ってレベル上げて、早く仲間も増やしたいね。


「うむ!確認完了!ステラちゃん、これで、転職は終わりかな?」

「ええ、バッチリよ。」

「ありがとー!よーし!次の目的地へレッツゴー!」

「おー!…じゃ、私達はこれで行きますんで、ステラさんお世話になりました。」

「ふふふ。がんばってね。あなた達にサヴァト様の御加護があらんことを。」


 ステラちゃんに見送られて、転職の神殿を出て次の目的地へ!……どこだっけ?


 …はっ。そう!冒険者ギルドだったね!だいじょうぶ!忘れてないよ。ちゃんと覚えてたもんね!


 ……ね!!


「アヤさーん。次どこ行くか覚えてますよね?」

「へ?も、もちろん!冒険者ギルドだよね!」

「…まあいいでしょう。」


 ふう。よくわかんないけどいいみたいだね!怒られなくてよかった。じゃあ、早速行こうかなって思ってたんだけど……


「なあなあそこのネーちゃん。今ヒマ?オレらと楽しく遊ばない?」

「オレらマジ強いからさ、一緒に行くべきっしょ!」

「はあ?何お前ら。お呼びじゃないって。こっちは忙しいんだからさ。」

「えー、なになに?忙しいなら手伝っちゃうよオレ。」

「そうそう!そんな連れないこと言わないでさ。」


 あらら、ラブちゃんがナンパされてしまったね!相手は二人組で、どうやらプレイヤーみたい。ラブちゃんも嫌がってるし、ここはわたしがしっかりと断るべきだね。うむ。


「はいはーい。そこまで!この子はわたしの連れだから、そういうのは無しだからね。」

「あーもー大丈夫大丈夫。おネーサンも仲間はずれにはしないから。」

「オレらもおネーサンたちも二人ずつで人数もぴったりじゃん?」

「ん?」

「ぶふっ!あっははははは!!」

「お?なになに?オレらの優しさ通じちゃった?」

「もーマジ優しいからねオレら。バファリン顔負けなくらいよ。」

「あははははははは!しょーがないけど!しょーがないんだけど!あははははは!」


 うーむ、どうやらわたしが女の子に勘違いされてるね。まったく、ナンパしておいて相手の性別もわかんないとはね。そしてラブちゃんはそれがツボにはまった模様。既に笑い過ぎで苦しそうになってるね。


「おーい、ラブちゃんだいじょうぶー?」

「ひーっひーっ。あ、アヤさん大丈夫フッ!」


 ダメそう。しょうがないからそっとしておこうかな。さてと、


「ラブちゃんこんな感じだし、遊び相手は他を探してね〜。じゃ!」

「はあ!?おいちょっ、おい!」


 ラブちゃんを抱きかかえて近くの小路へ全力ダッシュ。後ろでなんか言ってるけど、しーらない!ああいうのは、問答無用で立ち去るのが一番だもんね。


 しばらく走ってると、もう付いてきてないね。やっぱり。さてと、ラブちゃんは収まったかな?運んでる間も大爆笑だったけど。


「もう大丈夫だね。ラブちゃんはどう?」

「あー笑った笑った。すいません迷惑をかけてしまって。後で何かお礼しますね。」

「あはは。いいよいいよ。付き合ってもらってるのはわたしの方だからね。これくらいはしないとね!」

「そういうことなら、お言葉に甘えます。」

「ふふふ。甘えて甘えて。」


 うむ!じゃあ、改めて冒険者ギルドへレッツゴーだね!…あれ?


「ここはどこかな?」

「んー、たぶん昨日通ったことあるんで大丈夫です。案内しますね。」

「はーい」


ラブちゃんに先導されて小路を進んでいく。それにしても、女の子に間違われるとは。やっぱりこの格好のせいかな。うーむ。


 白と黒のコントラストに、余計な装飾を省いて丈の長いクラシカルなエプロンドレス。純白のカチューシャに手袋、ニーハイソックス。黒のメリージェーンで足元を整えたらもう完璧。どこに出しても恥ずかしくないメイドだね。


「いやー、たしかにアヤさんが男だって知らなければ、どっからどう見てもただの美人なメイドですもんね。」

「そうかな。んー、じゃあ…」


 てててーっとラブちゃんの前に出て、両手を前で合わせてお辞儀をしてニッコリ。


「お帰りなさいませ。御主人様っ♪」

「ううっ!…落ち着け私。惑わされるなアヤさんは年上アヤさんは年上いくら美人で可愛らしくても年上だぞ15歳以下じゃない…よし耐えきった。ふう。」


 ありゃ。あんまり反応が芳しくないね。微妙だったか。娘からは好評だったんだけどなー。


「えーっと、ここを右に曲がれば…おっ、出ましたね!」

「すごーい。広場だ。」


 わたし一人じゃ絶対に迷ってここまで来られなかったね。ラブちゃんがいてくれてよかったね。このまま冒険者ギルドまでごーって思ってたんだけど…


補足

娘からは好評:桃○○○鉄で負けた罰ゲームで着せられた。お茶を注いだり、大爆笑で写真撮影された。


0-15:しつこいナンパは嫌い。15歳以下なら相手の性別は気にせず愛でる。???「15歳以下になってから出直してこい。」

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