第3話 幽霊が出た!
「♪かいだんのぼって……こちょこちょこちょ……」
歌が、どんどん近づいてくる。
ぼくは、階段の途中で立ちすくんだまま、動けなくなっていた。頭では「逃げなきゃ」ってわかっているのに、足が床にはりついてしまったみたいに重い。心臓はバクバク鳴って、手のひらには汗がじっとりにじんでいる。
「♪いちだんのぼって……こちょこちょこちょ……」
歌と一緒に、パタン、パタンという足音も聞こえる。それは確実に、階段をのぼってきている。ぼくのいる方へ、まっすぐに。
ぼくは、はっと我に返ると、あわてて階段をのぼった。でも、三階まで行く余裕はなくて、二階と三階の間にある踊り場で立ち止まった。ここなら、もしかしたら隠れられるかもしれない。
踊り場の隅っこに、掃除用具を入れておく古いロッカーがあった。ぼくは、そのロッカーの影にしゃがみこんで、小さくなった。ひざを抱えて、ぎゅっと目をつぶる。心臓の音がうるさくて、自分の呼吸まで聞こえてきそうだ。
(見つかりませんように。見つかりませんように……)
子どものころから、幽霊は苦手だった。暗いところも、ひとりぼっちも、ぜんぶ苦手。なのに、どうして自分からこんなところに来ちゃったんだろう。千夏ちゃんの言うとおり、素直に家で寝ていればよかった。
パタン、パタン。
足音が、もうすぐそこまで来ている。
「♪に~だんのぼって……こちょこちょこちょ……」
歌が、踊り場のすぐ近くで聞こえた。ぼくは、息を止めて、ぎゅっと目をつぶった。お願い、このまま行ってください。ぼくのこと、見つけないでください。
でも、そんな願いは届かなかった。
足音が、踊り場でぴたりと止まった。
しん、と静けさがおりる。
ぼくは、恐る恐る目を開けた。
目の前に、白い足があった。
ゆっくりと顔を上げていく。白い服。長い黒髪。暗くて顔はよく見えないけど、手は、わきわきと動いていて、今にもくすぐってきそうだ。それはまさに、颯太先輩が言っていたとおりの姿だった。
幽霊だ。
本物の幽霊だ。
ぼくは声も出せずに、その場でがたがた震えた。幽霊と目が合ったような気がした。
次の瞬間。
「キャーーーー!!」
ものすごい悲鳴が、踊り場に響きわたった。
でも、それはぼくの声じゃなかった。
幽霊が叫んだのだ。
「だ、誰!?誰なの!?」
幽霊は、わたわたと両手をばたつかせて、後ろに二歩下がった。なんというか、すごくドジな感じの動きだった。
ぼくは、あまりのことにぽかんとしてしまった。幽霊って、もっとこう、おどろおどろしいものじゃないの?なんで幽霊の方が驚いてるの?
でも、ぼくが何か考えるより早く、幽霊は突然、ぴたっと動きを止めた。
そして、すごく小さな声で、自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
「……そうだ。怖くない、怖くない。だって私は大人なんだから。もしこれが生徒の幽霊でも、こちょこちょで成仏させればいいんだから。うん、大丈夫。怖くなんかない」
そう言うと、幽霊はこぶしをぎゅっと握りしめて、こっちに向き直った。
「こ、こちょこちょこちょー!」
幽霊は、いきなりそう叫ぶと、ぼくに向かって飛びかかってきた。
「うわあっ!」
ぼくはとっさに逃げようとしたけど、しゃがんだ姿勢からはうまく動けなくて、その場で転がるように倒れてしまった。そして、次の瞬間には、幽霊の指がぼくのわきの下にするっと入りこんできた。
「ひゃあっ!?」
それはもう、すごかった。
幽霊の指が、ぼくのわきの下でこちょこちょこちょこちょって動き出す。千夏ちゃんの特訓で少しは慣れたはずなのに、そんなのぜんぜん関係なかった。この幽霊のくすぐり方は、千夏ちゃんとは比べものにならないくらい、ものすごく上手だったのだ。
まず、指が長い。大人の指だ。その長い指が、ぼくのわきの下のくぼみにぴったりとフィットして、すごい速さでモミモミ、こちょこちょって動く。ただ動かすだけじゃなくて、ときどき指先でつんつんってつついたり、指の腹でぐりぐりって押したり、動きに緩急があって、それがまたくすぐったい。
「あははははは!ちょ、ちょっと、まっ……!」
ぼくは、もう大笑いするしかなかった。体がビクンビクン跳ねて、床の上でじたばたするけど、幽霊は絶対に手を離さない。
「こちょこちょこちょ!成仏してくださーい!」
幽霊は、なぜか楽しそうに、というより必死な感じでそう言いながら、わきの下をくすぐり続ける。
「あはははは!な、成仏って、ぼく生きてるってば!」
「えっ!?生きてるの!?」
幽霊は、一瞬手を止めて驚いた声を出した。でも、すぐにぶんぶんと首を振る。
「ううん、そんなはずない!夜の学校にいるのは幽霊だけ!これは生徒の幽霊に違いない!だって、そんなこと考えないと、私が怖くてしょうがないんだもん!」
そう言うと、幽霊は今度は場所を変えて、ぼくのわき腹をこちょこちょってくすぐってきた。
「ひゃあああ!そこ、やめてぇ!」
ぼくの弱点は、わきの下だけじゃない。わき腹も、お腹も、背中も、もう全身くすぐったいのだ。千夏ちゃんに全部バレてるって前に言われたけど、この幽霊もまるで全部知ってるみたいに、ぼくの弱点を次々に攻めてくる。
「こちょこちょこちょ!わきの下もこちょこちょ!わき腹もこちょこちょ!お腹もこちょこちょこちょこちょ~!」
幽霊の指が、ぼくの体の上を縦横無尽に動き回る。まるで、ピアニストみたいなくすぐりだ。指一本一本が独立して動いていて、それぞれが違う場所を攻めてくる。こんなの、千夏ちゃんにもできなかった。
「あはははははは!もう、ほんとに、無理、あはははは!」
ぼくは、涙を流しながら大笑いした。お腹がよじれて、息ができなくなる。床をゴロゴロ転がって逃げようとするけど、幽霊はぴったりとくっついてきて、転がった先でもくすぐりをやめない。
仰向けになればお腹をこちょこちょ、うつ伏せになれば背中をすーっとなぞられて、ぞわぞわっと鳥肌が立つ。
「ははははは!や、やめて、ほんとに、あははは!」
「こちょこちょこちょ!成仏して!お願い!」
幽霊は、もう半泣きの声で、必死にくすぐってくる。怖がりながら、それでも勇気をふりしぼって、ぼくを成仏させようとしているみたいだった。……って、だからぼくは生きてるんだってば!
でも、もうそれを説明する余裕もなかった。くすぐったさが限界を超えて、頭が真っ白になって、何も考えられなくなる。
そのとき、幽霊の指がぼくの耳の後ろに触れた。
「ひゃんっ!?」
ぼくは、思わず変な声を出してしまった。耳の後ろは、ぼくの秘密の弱点だ。そこを、こしょこしょこしょって、幽霊のやわらかい指先がくすぐってくる。もう、声にならない声が出て、体がビクビクって大きく跳ねた。
「あ、ここが弱いんだ」
幽霊が、小さくつぶやいた。
その声が、なんだか妙にうれしそうで、ぼくは頭の片隅で「まずい」と思った。でも、もう遅い。
幽霊は、ぼくの耳の後ろを集中攻撃しはじめた。左右同時に、指先でこしょこしょこしょこしょ。さらに、ときどき耳たぶのうしろを、つんつんってつつく。そのリズムが絶妙で、ぼくはもう笑いすぎて声も出なくなった。
「は、はは……ひ、ひぃ……!」
「こちょこちょこちょ!もう少しで成仏できそう!がんばれ、わたし!」
ぼくは、もうこのままずっとくすぐられ続けるのかと思った。千夏ちゃんとの特訓は、まったく役に立たなかった。だって、千夏ちゃんのくすぐりは「からかい」だったけど、この幽霊のくすぐりは「本気」だ。大人の、しかも本気のこちょこちょ。小学生のぼくが耐えられるわけがなかった。
「あはは……も、むり……た、たすけ……」
ぼくは、なんとか立ち上がろうとした。このまま床に転がっていたら、本当に気絶しちゃうかもしれない。ふらふらしながら、手を床について、ひざを立てる。
でも、それは失敗だった。
立ち上がろうとしたぼくのわきの下が、がら空きになったのだ。
「こちょこちょこちょこちょ!」
幽霊は、そのスキを見逃さなかった。両手がぼくの両わきの下にするっと入りこんで、さっきよりもさらに激しく、もみもみこちょこちょと指を動かす。
「ぎゃははははは!!」
ぼくは、もう何がなんだかわからなくなって、体全体で大笑いした。立ち上がりかけた体が、くずれるように傾いていく。足に力が入らなくて、視界がぐるんと回った。
ぼくは、そのまま幽霊の方へ倒れ込んでしまった。
どすん、という衝撃。
そして、ぼくは気づいた。
ぼくの顔が、幽霊の胸のあたりに当たっている。
それは、ひんやり冷たい幽霊の体じゃなかった。
あたたかい。
人の体温だ。
しかも、すごくやわらかい。幽霊のはずなのに、ちゃんと息をしている。心臓の音まで聞こえてくる。どくどくどくどく、すごく速い。ぼくと同じくらい、ドキドキしている。
「え……?」
ぼくは、不思議に思って顔を上げた。
踊り場に差し込むかすかな月明かりが、幽霊の顔をぼんやりと照らし出していた。
白い肌。長い黒髪。大きな瞳が、涙でうるんでいる。その顔は、幽霊なんかじゃなかった。
見たことのある顔だった。
毎日、学校で会っている顔だ。
「……麻衣……先生……?」
ぼくが、かすれた声でそう言うと、幽霊……麻衣先生は、びっくりしたように目を大きく見開いた。
「え?」
「麻衣先生、ですよね?図書室の……」
麻衣先生は、ぱくぱくと口を開けたり閉じたりした。その顔が、みるみる赤くなっていく。暗くてもわかるくらい、真っ赤になった。
「ゆ、ゆ、ゆうとくん!?」
麻衣先生は飛びのくと、壁に背中をぴったりとくっつけた。
「な、なんでゆうとくんがここに!?そ、それより、生きてるの!?幽霊じゃないの!?」
「生きてますよ!最初からずっとそう言ってたのに!」
ぼくは、床にへたりこんだまま、ぜえぜえと息をしながら言った。まだ笑いの余韻で、お腹がひくひくしている。体中がくすぐったさの残像で、むずむずしていた。
麻衣先生は、口を押さえて、うるうるした目でぼくを見つめた。
「じゃ、じゃあ、私……また、生きてる生徒をくすぐっちゃったの……?」
「またって……」
ぼくは、そこでピンときた。颯太先輩だ。
「もしかして、この前の……六年生の颯太先輩も、先生が?」
麻衣先生は、こくこくと小さくうなずいた。そして、その場にしゃがみこんで、両手で顔を覆ってしまった。
「うう……もう、どうしよう……またやっちゃった……私、ほんとに怖がりで、夜の見回りが怖くて怖くて、それで、もし幽霊が出ても楽しい歌で成仏できたらいいなって思って、一本橋こちょこちょの歌を歌いながら見回りしてただけなのに……
そしたら、先週も夜に来てた六年生の子をくすぐっちゃって、その子が気絶してる間に私も転んで頭を打って、朝まで気を失っちゃって……そしたらその子、『夜が明けるまでくすぐられた』って噂を広めちゃって……
もう、恥ずかしくて、本当のことも言い出せなくて……」
麻衣先生は、一気にまくし立てると、しょんぼりとうつむいた。その姿は、もう幽霊でもなんでもなくて、ただのドジで怖がりな司書の先生だった。
ぼくは、なんだか力が抜けて、その場に大の字に寝転がった。
「なんだ……そういうことだったんだ……」
全部つながった。
くすぐり幽霊の正体は、麻衣先生だったのだ。夜の見回りが怖くて、自分を勇気づけるために歌を歌っていただけなのに、たまたま夜に忍び込んだ生徒を幽霊と勘違いして、くすぐり倒してしまった。そして、その噂がどんどん大きくなって、学校中の怪談になっちゃったというわけだ。
「あの、ゆうとくん……」
麻衣先生が、おそるおそる声をかけてきた。
「ほんとにごめんなさい。くすぐりすぎたよね……。
私、くすぐるの、昔からなぜか得意で……妹がいるんだけど、子どものころからよくくすぐって遊んでて、それで指が勝手に動いちゃうというか……」
「た、たしかに、ものすごく上手でした……」
ぼくがそう言うと、麻衣先生はますます小さくなった。
「迷惑だよね……。先生なのに、生徒をくすぐっちゃうなんて……。しかも二回も……。もう、クビかな……」
麻衣先生の声が、だんだん涙声になっていく。
ぼくは、あわてて起き上がった。
「だ、大丈夫です!ぼく、別に怒ってないし!それに、先生が悪いわけじゃないです!ぼくが勝手に夜の学校に来たのが悪いんです!」
「でも……ゆうとくん、あんなに笑ってたのに……」
「それは、くすぐったかったからで……」
「やっぱり迷惑だったんだ……!」
麻衣先生は、さらに落ち込んで、今にも床にめそめそと字を書き出しそうな勢いだった。
ぼくは、どうしていいかわからなくなった。さっきまであんなに笑わされてたのに、今度はぼくが先生を元気づけなきゃいけないみたいだ。
「せ、先生!あの、その歌、すごくいい歌だと思います!」
「え?」
「『かいだんのぼって、こちょこちょこちょ』ってやつです。なんか、聞いてると、くすぐったくなるけど、楽しい気持ちになるっていうか……。だから、もし本当に幽霊がいたら、きっと成仏してくれると思いますよ」
麻衣先生は、顔を上げて、ぽかんとぼくを見た。
「……ほんとに?」
「ほんとです。颯太先輩も、怖かったけど、なんか楽しかかったって言ってましたし」
颯太先輩は「楽しかった」とは言ってなかったかもしれないけど、まあ、誇らしげに話してたし、ちょっと楽しそうだったのは間違いない。
麻衣先生は、しばらくぼくの顔をじっと見ていた。それから、ゆっくりと、でも確かに、ほほえんだ。
「……ありがとう、ゆうとくん」
その笑顔は、図書室で見せるいつもの優しい笑顔と同じだった。ぼくは、なんだかほっとして、またその場に座り込んだ。
「でも、どうしてゆうとくんは夜の学校に?」
「え、あ、それは……くすぐり幽霊の噂を確かめたくて。颯太先輩から話を聞いて、本当にいるのかなって思って」
「そうだったんだ……ごめんね、幽霊じゃなくて」
「いえ、むしろ、先生でよかったです。本当の幽霊だったら、ぼく、どうなってたか……」
ぼくがそう言うと、麻衣先生は、ちょっと照れたように笑った。
「でも、私、ゆうとくんを幽霊だと思って、すごく激しくくすぐっちゃったよね。ほんとにごめんね。あとでお詫びに、図書室で好きな本を一冊貸してあげる」
「え、いいんですか?やった!」
ぼくが喜ぶと、麻衣先生はうれしそうに笑った。それから、ふと真面目な顔になって言った。
「でも、ゆうとくん。夜の学校は、本当に危ないから、もう来ちゃだめだよ。今度やったら、ほんとに朝までこちょこちょしちゃうからね?」
「は、はい……」
「いいお返事」
麻衣先生は、そう言って立ち上がると、ぼくが転げ回って落とした鈴を拾い上げた。そして、ぼくに手を差し伸べてくれる。
「立てる?くすぐりすぎて、立てなくなっちゃった?」
「あ、大丈夫です……たぶん」
ぼくは、麻衣先生の手を借りて、なんとか立ち上がった。まだ足がふらふらする。体中が笑い疲れて、ぐったりしていた。
「送っていこうか?」
「いえ、自転車で来てるので大丈夫です」
「そう。気をつけて帰ってね」
麻衣先生は、にこにこしながら手を振ってくれた。ぼくは、ぺこりとお辞儀をして、階段を降りはじめた。
一歩、一歩、階段を降りながら、ぼくは考えていた。
くすぐり幽霊の正体は、麻衣先生だった。怖がりで、ドジで、でもすごくくすぐりの上手な、司書の先生。なんだか、謎が解けたような、もやもやが晴れたような、すっきりした気持ちだった。
でも、ひとつだけ、まだすっきりしないことがある。
それは、麻衣先生のくすぐりのテクニックだ。
あれは、ちょっと尋常じゃなかった。千夏ちゃんの比じゃない。いや、比べるのも失礼なくらい、次元が違った。子どものころに妹さんをくすぐって遊んでただけで、あんなに上手くなるものなんだろうか。
それに、耳の後ろをこしょこしょされたときのあの感覚。今思い出しても、ぞわぞわする。
(麻衣先生って、ほんとにただの司書の先生なのかな……)
そんなことを考えながら、ぼくは一階まで降りた。
ふと、後ろを振り返る。
階段の上の方に、白い服を着た麻衣先生がまだ立っていた。暗くて表情は見えないけど、こっちを見ているのがわかった。
「ゆうとくん、おやすみなさい」
遠くから、麻衣先生のやさしい声が聞こえた。
「おやすみなさい、先生。見回り、がんばってください」
ぼくがそう言うと、麻衣先生は小さく笑った気がした。
ぼくは、裏口から外に出ると、冷たい夜風を胸いっぱいに吸い込んだ。空にはいつの間にか月が出ていて、校庭を青白く照らしている。
フェンスのすきまを抜けて、自転車にまたがる。こぐたびに、まだわきの下がむずむずした。さっきのくすぐりの感覚が、まだ体に残っている。家に帰ったら、ゆっくりお風呂に入って、ぐっすり眠ろう。
でも、月曜日に学校に行ったら、図書室に行ってみよう。麻衣先生に、ちゃんとお礼を言わなくちゃ。それに、あの歌のことも、もっと聞いてみたい。
「かいだんのぼって、こちょこちょこちょ……」
ぼくは、ペダルをこぎながら、小さく口ずさんでみた。
なんだか、くすぐったいけど、楽しい歌。
怖い夜の学校で、ひとりぼっちで見回りをしている麻衣先生のことを思うと、その歌は、お守りみたいなものなんだろうなと思った。ぼくが千夏ちゃんの鈴を持っていたのと同じ。
「よしっ!」
ぼくは、月に向かって小さくガッツポーズをした。
幽霊の正体はわかった。でも、これはこれで、おもしろい秘密ができた。颯太先輩にはなんて説明しよう。それとも、まだ内緒にしておこうか。
千夏ちゃんには、月曜日に学校に行ったら、全部報告しよう。くすぐり幽霊の正体は麻衣先生だったこと。くすぐりの腕前がすごかったこと。耳の後ろの弱点を見つけられちゃったことも。
それを聞いたら、千夏ちゃんはどんな顔をするだろう。きっと、目を輝かせて、「私も先生とくすぐり勝負したい!」って言うに決まってる。
想像したら、なんだかちょっと笑えてきた。
今夜は、本当に笑ってばかりの夜だったなあ。




