完璧である人を想像した人の話
注意!
自転車が喋るけど気にしないで!
恐ろしいほどまでに清々しい晴れの日に、木陰で休みながら本を読んでる旅人がいた。
近くにはグルグルと回りながら暇を潰している自転車もいる。
「メル〜。読み終わった〜?」
「あと33ページと5行。」
「もしかしてあとがきまで読むつもり〜?」
「そうだよ?」
「早くしてよね〜!」
そう言ってシドはまた周りをうろうろし始めた。
数十分か経ったあと、シドがまたメルに話しかけた。
「まだ〜?」
「まだ〜。」
「そんなに面白いの?その本。」
「まあね。」
「どういう内容だっけ?」
「完璧な少女の話。」
「その少女が完璧を求めすぎるの?」
「それは別のやつ。これはもっと完璧なの。」
「もっと?」
「そう、完璧っていうのはね、友情とか、愛情とか、そういうのもあってこそ完璧っていうんだよ。」
「メルらしくないね。」
「小説のセリフの引用。」
するとシドは少しあきれたように振る舞った。
メルは本を持っていた手を膝の上に下ろして、少しシドの方を向いた。
「私思うんだ。」
「何を?」
「この本の作者はさ、決して完璧じゃなかったんじゃないかなって。」
「まあそうでしょ。」
「でも、完璧を知ってたんだ。」
「なるほど?」
「それって凄いことじゃない?自分にはできないことを、想像して。」
「つまり言いたいことは?」
少しメルは微笑んだあと、本を持ち上げて言った。
「さあね。」
「そう言うと思った。で、あと何ページ?」
「30ページ。」
「まだまだじゃ〜ん!」
メルはまた読書に戻って、シドはまた暇つぶしに戻った。
あと何十分か経てば、旅はまた始まるのでしょう。




