ミートボールの話
注意!
自転車が喋るけど気にしないで!
フォークを持って、ミートボールにさして、口に運ぶ。
やはりうまい。
こいつと分け合うのが惜しいぐらいだ。
箸を持って、ミートボールを持ち上げて、口に運ぶ。
やっぱり美味しい。
彼と分け合うのが惜しいぐらい。
フォークを持って、
箸を持って、
ミートボールにさして、
ミートボールを持ち上げて、
口に運ぶ。
口に運ぶ。
フォークを──
箸を──
「あ!」
「あ。」
ミ……ミートボールが後一個だ……。
こいつも絶対食べようとしてるだろうな。
身構えてやがる。
これは先に提案したほうがいいな。
「……じゃんけんするか。」
「そうしましょう。」
へっへっへ。
お前は勝負に乗った時点で負けている。
なぜなら俺は後出しで勝つからだ。
「じゃーん。けーん。」
「「ポン!」」
なに?!
「……あなた後出ししましたね?」
「お前もだろうがよ。」
「あなたの見間違いじゃない?」
「じゃあ俺が後出ししたのもお前の見間違いだな。」
沈黙が流れる。
……埒が開かないね。
でも譲るのは惜しい。
少し右を見る。
「じゃあ、あのパンチングマシーンで決めましょう。強いほうがもらえる。それでいいよね?」
「おーけー。負けても知らねーぞ!」
「じゃあ俺からだ。行くぞ!」
彼は力を込めてるのかわからないポーズをしてから、パンチを出す。
マシンは「100」と表示した。
意外と低いですね。
「ふふ。」
「あ?何笑ってんだ」
「あら?声に出てたのかしら?」
「笑うんだったらお前がやってみろよ。」
「わかりました。」
あ〜ほんとどうしよっか。
あいつはあれでも運動部。少しはできるはずだ。
あのミートボールを取られるのは嫌だし……
でもイカサマはできなさそうだ。
見守ることしかできないか。
そうこう考えてるとあいつがパンチをする。
「100」
って
「一緒じゃんか!」
「……悔しいけどそうみたいね。」
「あ〜また引き分けかよ!」
そう言いながら後ろに手を回すとあいつの顔に当たってしまった。
「うげ!お前そこに居たのかよ!」
「何すんのよ!」
パシン。
「いってぇ!お前こそ何すんだよ!」
「先にやったのはあなたじゃない。」
「あぁ?俺はわざとじゃねえんだ!お前はしっかり狙ってやっただろ!」
「だって謝らなかったでしょう?わざとじゃなくても謝るのは常識です。」
「俺に常識がねぇってのか?」
「そうです。そう言いました。」
「なんだとぉ!」
「やりますか?」
「ったりめえだ!」
二人は殴り合う。
しかし、互角であるため決着がつかない。
「っち。こっちでも引き分けかよ!」
「私の方が優勢かもですね。」
「わかった。そんなにいうなら援軍を呼んでやる。」
「いいですよ。お好きにどうぞ。私もしますけどね。」
張り詰めた空気の中。
二人は携帯で同時に友人を呼ぶ。
少し経った後、二人が呼んだ友人が同じタイミングできた。
屈強そうな男が言う。
「あいつが喧嘩売ったやつか?」
「ああ、いきなり叩いてきた。」
「わかった。じゃああいつが呼んだ援軍を相手する。」
「おーけー。」
少し細身だが武術を習っている男が言う。
「あの人があなたに喧嘩を?」
「ええ。私にぶつかったのに謝りもせず。」
「それはそれは。」
四人がぶつかり合う。
レストランは騒ぎになっている。
白熱しているせいか。ウェイターも入る隙がない。
少し経つと、何人かが店に入ってくる。
おそらくどちらかの友人。いや、援軍だろう。
その援軍も喧嘩に加わる。
さらに喧嘩が大きくなる。
そこで、その騒ぎに紛れてか、不審な男がナイフを持って一人の男を刺す。
「いってぇ!武器使うのかおめえは!」
「なっ……それは私では……。」
「ごちゃごちゃうるせえ!おめえが使うんだったらこっちだって!」
男がフォークを投げる。
誰かに当たって、悲鳴が出るが、喧嘩のせいでかき消される。
やがて。
飛び合うのはフォークではなくナイフに変わり。
でも援軍は増え。
誰かが死んで。
かき消されて。
いずれ時が経ち。
二人の争いは大きくなり、
国がわかれ。
……。
────
「シド。」
「なに?」
「ここはどんな理由で戦争したんだろうね。」
「土地の奪い合いとか?」
メルが下を見ると、一つ黒い塊が。
それを拾い上げる。
「炭?」
「これ、ミートボールみたいだね。」
「食べないでね、メル。」
「大丈夫。」
どちらが勝ったのかより、どちらが手に入れたのかを考えるべきではないでしょうか。




