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ニセモノの話

注意!


自転車が喋るけど気にしないで!

そこに少年がいた。

その少年はとても高いところまで跳んでいた。

屋根を越えて跳んでいた。

「お〜。すごいねぇ。」

「だね。メルもあそこまで跳べたらいいのに。」

「跳べたって意味ないんじゃない?」

「確かに。」

その少年を珍しい目で見ていた旅人もいた。

旅人が少年を眺めて、自分の自転車とぼんやりと話をしていた時も、少年は跳び続けていた。


「ねぇそこの僕。すごいね。どうやってやってるの?」

「もしかしてスーパーマンとか。」

メルとシドが話しかけると、いつの間にか横にいた男が笑った。

「ねえ君。もしかしてあれを本物だと思ってるのかい?」

メルは男に視線を少し向けた後、また少年に視線を戻して、言った。

「本物じゃないと言いますと……あれは偽物なのですか?」

「ああ、あんなのにも引っかかるなんて今時いないよ。」

「へぇ〜よくできた偽物ですね。見入っちゃいました。」

「いや、あんなの見る価値もない。なんせボタンひとつで作れるからね。」

メルは少し驚いて、男の方を見て言った。

「ボタンひとつでそんな事が?」

「ああ、見てごらん。」

男はそういうと、さっと小さなボタンを取り出して、それを押した。

すると目の前に、何十段も重なったアイスを持った少女が現れた。

「ほらね。」

「おぉ。やっぱり本物みたいですね。」

「いいや、アイスを持つ手を見てごらん。」

さっきまでボヤーっと少年を見ていたシドがいきなり口を挟んだ。

「あ、指がおかしなことになってる。」

「だろう?あんた乗せてるやつより賢そうだ。」

「ふふん!おっちゃん見る目があるね。」

メルは少し不愉快そうな顔を浮かべたが、すぐにいつもの顔に戻った。

「やっぱり凄いですね。面白いものが簡単に作れるなんて。」

「毎日退屈せずに過ごせそう。」

「いやいや。偽物なんかより本物を見るべきだ。なんなら偽物は見てるだけで時間の無駄だ。あんた達、旅人だろう?だったらそんな偽物より、向こうでやってるサーカスを見るべきだ。面白いぞぅ。」

そう言って、男は去って行った。


メルとシドは男を見送った後、また少年の方に視線を戻した。

シドが実際にはないれどそこにあると思う目を顰めて、言った。

「確かによく見るとおかしな部分があるね。」

「うん。だけどもやっぱり凄いものは凄い。」

「それはどっち?この国の技術?それともあれ自体?」

「どっちも。」

少年はまだ跳び続けていた。

それはもう、素晴らしく、優雅に跳んでいた。

旅人と自転車に見守られながら。


何がニセモノなのか、あなたにわかりますか?

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