優しい魔女の話
注意!
自転車が喋るけど気にしないで!
「とあるところに、魔女の館というまさしく怪しいお店がありました。」
「ほおほお。」
「そのお店には魔女がいました。」
「当たり前でしょ。」
「その魔女は、過去へ人を戻す魔術が使えました。過去のことを見て占いとかもできました。」
「へぇ〜すごいね。それで?」
「そのお店が、このお店。」
メルとシドの前にはドーンと、というよりポツーンと、
魔女の館という看板を構えた素朴な家があった。
「へいらっしゃい!」
と、ラーメン屋のような服装をした女性が腕組みをしながらカウンター越しに話してきた。
「意外と前衛的な人だね、メル。」
「だね。」
「ご注文は?」
「じゃあ……占いでお願いします。」
「らっしゃい!」
と、女性がものすごい大声で言ってから店の裏側に急いで消えていった。
数分後、女性が水晶玉を持ってやってきた。
「服装はそのままなんだね。」
とシドが言ったが、聞こえなかったらしい。
「では、占っていきましょっ!」
「はい。お願いします。」
女性は近くにあった座布団をカウンターに置いてその上に水晶玉を置いた。
そして椅子に座って深呼吸をしてから、「ウルゥヮァァァァァ!!」とちょっと汚い声を出して水晶に手を翳した。
するとそういう仕掛けなのか水晶玉が紫色に光出した。
「ムムム……あなたは……すごい人生送ってきましたね。」
「そうですか。」
「なんかこう、ハイ。えー……。」
「何かわかったんですか?」
そう聞くと水晶玉から光が消えた。
女性は翳していた手を膝の上に置いた。
「ハイ。えーっと、今年にいい感じの人に出逢いますね!」
「結構適当だね。」
「いい感じの人……と言いますと?」
「そこまでは見れなかったですね〜!でも。」
「でも?」
「過去遡りサービスを受けることをお勧めします!」
「なぜ?」
「なんか可哀想な過去だったんで。酷いっていうか、やばいっていうか。」
「失礼って言われません?」
「ハイ!よく言われます!」
メルは少し考えて言った。
「やめておきます。」
「え!?なぜっすか?」
「なんか色々変わりそうですので。」
「ありがとうございやした〜!」
メルとシドは女性に見送られながら魔女の館を後にした。
「それでなんで過去に戻らなかったの?メル。結局今が一番だからとか?」
メルは首を振った。
「違うよ。」
「じゃあなんで?」
「なんか嫌だから。」
「なんかって?」
「なんかはなんかだよ。なんか。」
「……できるかわからないしさ。」
その声は、シドにも届かなかった。
「じゃあそのなんかはなに?」
「そのなんかは……」




