エハド記3
エハド記 第3章 約束の地
神がお隠れになりて後、導きを失いし民の心は荒み、再び争いを繰り返した。兄は弟を疑い、友は友を裏切り、大地には嘆きの声が満ちた。
その時、民の中より神の御声を受け取る“器”が現れた。
“器”は民の前に立ち、こう告げられた。
「神は消え去ったのではない。今も天より我らの行く末を見護られている。神は仰せられた。正しき者に御声を授けられると。神の声を聞く者は救われ、神の声に逆らう者は滅びる。世界はひとつ、声もまたひとつ。それが神の定めし秩序である。」
“器”は各地を巡り歩き、荒れ果てた村々に神の御声を告げられた。御声に従った者は、荒んだ心より解き放たれ、家々には再び笑いが戻った。しかし、御声に背いた者は、度重なる不運に見舞われ、いずれもその身を滅ぼした。
“器”はさらに言われた。
「己が声を求める者、己が声を上げる者は、神の定めし秩序を乱す“罪人”である。罪人は世界を曇らせ、再び闇を呼ぶ者なり。ゆえに我は罪人を戒め、沈黙へと還さねばならぬ。これこそが神より授かりし務めである。」
民は“器”の言葉に震え、その前にひれ伏した。“器”は罪人を戒め、沈黙をもって秩序を正し、民は再び神の御心に従うようになった。
また、“器”はこう告げられた。
「すべての民が神の御声に従いし時、神は再び再臨される。その地は、かつて神に逆らいし罪人が処刑された場所である。その地は、神が御声を授けし場所である。その地を“約束の地”と呼び、ただその時を祈りて待て。」




