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最果てのアリヤ  作者: 霜月兎灯
ナザルアド王国編
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第30話 潜入作戦

 ラヴィとの出会いから一週間後、僕らは宗教国家“ナザルアド王国”の門前に到着した。


「さあ、今度はどうやって侵入する?」


 僕らは茂みから門を観察していた。ナザルアド王国の門はシェレト王国よりも小さく、威圧感はない。しかし門番として騎士が立っており、簡単に入れる雰囲気ではなかった。


「ナザルアド王国は、シェレト王国と違って領地全体が壁で囲まれているわけではありません。顔が割れていない私が先に入り、侵入できる隙を探しましょう」


「それが良さそうね」


「じゃあ、連絡は君に任せるよ」


「カアッ」


 僕の呼びかけにラヴィが返事をする。ラヴィはとても賢いようで、少し教えたら、この一週間で伝書鳩のように手紙を運べるようになっていた。


 ケセフさんはラヴィを連れて、ナザルアド王国の中へと入っていった。


 僕らは国の近くの森で、ケセフさんからの知らせを待った。

 数日後、ラヴィが手紙を持って戻ってきた。


「どれどれ……」


 ダンが手紙を読み上げる。


 “国の北側は谷になっており、壁もなく、警備も手薄だ。谷を上がるのは大変だろうが、最も安全に入れるルートだと判断した。国境付近で待つ。到着したらラヴィで知らせてくれ。健闘を祈る“


「だとよ。こりゃ骨が折れそうだな」


「今は国の南側にいるから、ぐるっと回らなきゃいけないわね」


 僕らはさっそく北側へ向かうことにした。


 数日後、無事に北側へ到着した。そこは断崖絶壁とまではいかないが、かなり急な谷地形で、木々が生い茂っていた。


「ここを……登るの?」


 目の前の斜面を見て、思わず弱音が漏れた。


「この地形なら他国も攻めづらい。警備が手薄なのも納得だな」


「今は口より足を動かしましょう。陽が暮れる前に登りきらないと大変よ」


 僕らは斜面を登り始めた。木々が多く、地面はぬかるんでいて、何度も斜面を転がり落ちそうになった。棘のある低木もあり、転びかけるたびに体に棘が刺さった。


 なんとか登り切る頃には全員泥だらけで、服もボロボロになっていた。陽もすっかり暮れてしまっていた。


「な……なんとか……登りきったわね」


「ふざけんな……なんで……こんなしんどい思い……しなきゃなんねぇんだ……」


「……あれ?ラヴィは?」


 斜面を登るのに必死で気づかなかったが、ラヴィの姿が見えない。


 すると――


 カァーカァー。


 遠くから鳴き声が聞こえた。

 声のする方を見ると、ラヴィとケセフさんがこちらへ走ってきていた。


「みなさん!お疲れさまでした!」


「お疲れさまじゃねーよ!もう一歩も動けねぇっての!」


「まったく……そんな子供みたいなこと言わないでください。情けない」


「んだと!テメェもいっぺん登ってみろよ!」


 ダンがケセフさんに掴みかかろうとする。


「なんだ、動けるじゃないですか」


「あ゛ぁ!?喧嘩売ってんのか!」


「うるさい。せっかく苦労して登ったのに、大声出したら見つかるでしょ」


「ちっ……」


 アリヤにたしなめられたダンは、まだ不満そうにケセフさんを睨んでいた。


「カァー」


 そんな様子を見ていると、ラヴィが僕の肩に止まった。


「君が先回りしてケセフさんを呼んできてくれたんだね」


「カアッ」


 僕には、ラヴィが胸を張って得意気に答えたように聞こえた。


「ふふ。ありがとう、ラヴィ」


「カアッカアッ」


 こうして僕らは、なんとかナザルアド王国に入ることができた

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